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May 21, 2012
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カテゴリ:改訂  上杉景勝
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       「改訂  上杉景勝」 (83)

「佐吉、伏見はいつ出立いたす」

 白布のみが三成に向けられた。

「今のところは分からぬ。荒武者どもの出方次第じゃ」

 三成が平然とした態度で答え、受けて山城守が尋ねた。

「ご貴殿は加藤、福島殿と事を構えるつもりにござるか」

「彼等に脅され伏見を去っては、石田三成の武がすたり申す」

「佐吉、お主は奴等と合戦に及ぶつもりか」

「太閤殿下の喪中に騒ぎは起こしたくないが、仕掛けられた喧嘩は

買わずばな」

「佐吉、それは無謀と申すものじゃ」

「うむ-」 大谷形部の言葉に三成が腕を組んで瞑目した。

 部屋に重苦しい空気が漂い、三成が眼を開けた。

「分かった。わしは佐竹義宣殿の屋敷に隠れ、宇喜田家に匿われる」

 三成のいう佐竹義宣は常陸、下野二十一万七千石の大名で三成とは

親密な大名である。直江山城守とも密かに関係をもっていた。

「石田殿、隠れ遂せられますか」

 加藤清正や福島正則は何をするか分からぬ大名であり、兼続が危惧を

示した。

「駄目ならば、敵の懐に入り込みます」

「なんと-」

 三成の言葉に二人が驚愕の声を漏らした。

「おおさ、内府の懐にもぐりこむ魂胆じゃ」

 三成が平然とした態度で驚嘆すべき事を漏らし、二人が声を飲み込んだ。

 矢張り傑物じゃ。山城守は目の覚める思いで童顔の三成を見つめた。

「佐吉、そこまで覚悟を固めたか、ならば言うことはない」

「紀之助」

「何も申すな、友垣としてお主に命をあずける」

 兼続はそこで男子の友情を見た。

「石田殿、徳川家に曲者が居ることをお忘れあるな」

「謀臣の本多正信にござろう。山城守殿の忠告は心しておきましょう」

 三人はあらためて酒肴をかさね、家康討伐の秘策を語りあい、夕暮れを

迎えた時刻に、それぞれが屋敷をあとにした。

 兼続は上杉屋敷に戻り、景勝に面談し今日の出来事を報告した。

 景勝は例のごとく浅黒い顔つきで、兼続の言葉を無言で訊いている。

 語り終えた兼続は冷えた酒で咽喉を潤した。

「石田三成殿は稀有の武将じゃな、わしは政務を急ぎ済ませ会津に戻る。

天下をむこうに廻した大戦の支度を整えねばな。そちは伏見に留まり事の

一件を見届け帰国いたせ」

「承知にござる、徳川の狸爺の始末なぞを考えてみましょう」

「上杉家の頭脳は、とうにそちに任せてある」

 景勝が剽悍な眼差しで兼続を見つめ、大杯を呷った。

「お屋形、神指原(こうざしはら)城の築城を急がねばなりませんな」

「あの城が出来れば、ずいぶんと面白い合戦が出来るな」

 景勝が満足そうな顔つきをしている。

 この神指原城とは若松城の西方の神指原に築いている巨城のことである。

 上杉家が会津に移封された時期に、兼続が縄張りをした城であった。

 本城は東西約百八十メートル、本丸は南北約三百メ-トルの規模で、

それを五百メ-トルの二ノ丸が取り囲む回廊式の近代城砦で、人夫だけ

でも十二万名を徴発しての、大工事が今も懸命に行われていたのだ。


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Last updated  May 21, 2012 10:50:36 AM
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