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Apr 16, 2015
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「信玄の戦略」(107章)


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    (弥五郎の伝言)

 翌日、城攻めがはじまった。武田の鉄砲足軽が物陰を利して接近した。

 城内の将兵も気づき、武者走りで鉄砲の標準をあわせている。

 山県勢の赤備えが銃弾の届かない地点に待機している。

 山県三郎兵衛が采配を手にし、大手門を鋭く見つめている。

 傍らに小十郎の貧相な姿があった。 

「小十郎とやら、川田弥五郎から連絡があったら直ぐに兵を退く」

「畏まりました。顔さい覚えれば結構にございます」

 相変わらず、抑揚のない声で応じ、

「山県さまは川田さまをご存じにございますか?」

 小十郎が低く訊ねた。

「逢うてみなければ分からぬ」

「それは面倒にございますな」

 そう小十郎も答え、内心は三郎兵衛門さまと同じじゃ、と思った。

(今川家に居った時の川田さまの顔はすっかりと忘れてしもうたわ)

「大殿を駿河に追放した時に顔を見た。まだ年端もゆかぬ少年であった」

 山県三郎兵衛の脳裡に、川田弥五郎の幼い顔が浮かんだ。

 あれは天文十年であった、既に三十年も経ているのだ。

「生きておれば、何か動きがあろう」

 小十郎の相手をしながら、三郎兵衛が前方の武者走りを鋭く見つめている。

 寒気と共に風向きに変化が生じ始めた。

 山県三郎兵衛の采配が振られ、待機していた鉄砲足軽が前進を開始した。

 物頭が素早い動きで先導し、その後を足軽が追走している。

「放てー」  

 山県三郎兵衛が大音声で叫んだ。

 凄まじい銃声が、二俣城を囲む山々に響き渡り白煙が湧き上がった。

 それに呼応するかのように二俣城内からも応戦の火蓋がきられた。

 双方とも射撃戦となり、大手門前は硝煙が充満し視界が遮られている。

 今が好機じゃ、そう山県三郎兵衛は瞬時に感じた。

「者共、攻め寄せよ」  
 
 山県三郎兵衛が潮時と見て、大身槍を手に白煙の中に向って馬腹を蹴った。

 喚声と軍馬の嘶きと馬蹄の音が入り混じり、あっという間に大手門に接近した。

 流石は剽悍で聞こえる赤備えの山県勢である。

 双方の銃撃が、益々、烈しさをましている。

 山県三郎兵衛が、小十郎を従い大手門を横切った。

 突然、彼の肩先を一本の矢が空気を切り裂き飛来し掠め去った。

 山県三郎兵衛が手綱をしぼり兜の眼庇より、きっと矢の飛来した方角を

見据えた。城内から渋い声が懸かった。

「山県殿とお見うけいたした。仕留める事が出来なんだとは些か残念」

 城門の上に一人の武者が現われた、その兜のなかの顔に笑みがある。

「何者じゃ」  

 三郎兵衛が剽悍な眼差しをみせ吠え、小十郎がじっと武者を見つめている。  

「徳川の軍監、川田弥五郎。この顔忘れるでない、今度会ったら命を頂く」

 喊声の轟く中で武者が名乗りを挙げた。

 紛れもなく川田弥五郎と名乗った。

「小十郎、しかと見たか?」  

「はっ、今宵、城内に忍び込みます」

(矢張り面影は残っておる)と小十郎は確信した。

 山県三郎兵衛が片手を大きく振って、引きあげの合図を送った。

 赤備えが一斉に馬首を返した。

 弥五郎に違いない、三郎兵衛は先刻の顔を懐かしく思い浮かべていた。

 日没ともなると、二俣城は寒気に覆い尽くされる。谷底から風が吹きあがっ

てくる所為である。暗闇をぬって小十郎の躯が、素早く城内に消え失せた。

 周囲に人気がないことを確認し、彼は大手門に向って疾走した。

 この寒気の夜に一人の武者が闇にまぎれて立ち尽くしていた。

「川田さまに御座いますか?」 

 物陰に潜んだ小十郎が武者に声を潜めて訊ねた。 

「信虎公の使いの者か?」  

「小十郎に御座います」

「わしは、そちを知らぬな」  

 そっけない返事が返ってきた。

「お弓殿の配下に御座る」  

「近くに寄れ」

 慌しい会話を交え弥五郎の声が途絶え、小十郎が傍らに寄り添っていた。  

「驚くほど身軽じゃな」  

「忍び者に御座います」

 小十郎の答えに弥五郎が不審げな顔をした。

「川田さま、それがしをお忘れか?」

「・・・どこぞで逢うたか?」

「駿府城で何度かお会いいたしましたぞ」

 小十郎の言葉に弥五郎は何の反応も見せず、短絡に訊ねた。

「何が知りたい」  

「城の井戸の数」  

「水の手を断つか、笑止」

 風が吹きぬけ、城内の各所には篝火が焚かれ、火の粉が舞っている。

「我等の計略が可笑しゅうござるか?」  

 小十郎が怒気を含んだ忍び声で訊ねた。

「この城に井戸なんぞあるものか、城の下は川じゃ。大櫓を組んでそこから

毎日汲みあげる」  

 川田弥五郎が周囲を警戒し小声で告げた。

「成程、その大櫓を壊せば城は干しあがりますか。その手立てを教えて下され」

「その前に聞く、大殿の信虎公はお元気か?」

 弥五郎の声に懐かしさが込められている。

「八十才を越えらましたが、お元気で京に暮らして居られます」

「そうか、京に居られるか。お会いしたいものじゃ」  

 川田弥五郎の声が湿って聞こえた。

「川田さま、武田家にお戻りには為られませぬか?」

「わしは信虎公の家来じゃ、今更、戻れぬ。良いか上流で大筏(おおいかだ)を

組んで何艘も流すのじゃ。必ず大櫓に追突いたし壊れる筈じゃ」

「有り難し、早速、明日から掛かりまする」  

 小十郎が嬉しそうに言った。

「小十郎、信虎公にお会いしたら、漸く大殿のお下知が果たせたと伝えてくれえ」

「畏まりました。して貴方さまは如何成されます?」

「徳川家に留まる、そうすれば信玄公のお役にたとう」

「承知、そのようにお伝い申し上げます」

「小十郎、見つかると不味い、去れ。お弓さまに宜しく申してくれえ」

「分かりました。お礼を申しあげます」

 抑揚のない声と同時に、小十郎の姿が闇に溶け消えた。

 それを確認し、川田弥五郎は甲冑の音を響かせ持ち場にもどって行った。

 数日、何事もなく武田軍団は山の如く静まり、厳重な監視の将兵が風を

避け屯している。

 その様子を天守から眺めた、城主の中根正照は安堵の笑みを浮かべた。

 流石の信玄も、この城には手を焼いておるなと感じたのだ。

 そうした膠着状況の中で武田勢は、城の水の手を絶つ準備に追われていた。

 城方の将兵が仰天する光景が、唐突に目前に起こったのだ。

 何艘もの大筏が上流から押し寄せるように、天竜川の激流を流れ下ってくる。

「敵の策略じゃ」

 知らせを受けた守将の中根正照は望楼から眺め唇を噛んだ。

 あの大筏が大櫓に激突すれば、大櫓は破壊され水の手が断たれる。

 二俣城は大櫓から、釣瓶でもって飲料水を汲みあげていたのだ。

 城を包囲する武田勢の将兵も、息を飲み手に汗を滲ませ見守っている。

 白く泡立っ激流が岩にあたり、烈しく牙を剥く急流を大筏が流れるさまは、

壮観、壮大な眺めである。

 筏は激流にもまれ、岩に当たり砕けるものもあるが、何艘かは大櫓に激突し、

大櫓がきしみ音を響かせ、今にも崩れそうである。

 信玄は熊の羽織りを着込み帽子を深く被り、その光景を凝視している。

 容赦なく天竜川の冷たい川風が吹きつのってくる。

 これも父上の策と思うと自分の病魔に憤りを覚えていた。

「わぁー」  

 大筏を見つめていた武田勢の将兵が歓声をあげた。遂に大櫓が崩れ水飛沫を

挙げ天龍川に雪崩落ちたのだ。

「これで二俣城は陥ちたな」  

 信玄は満足し本陣に戻った。

 総大将の四朗勝頼と、援軍の山県三郎兵衛は一ヶ月以上も苦戦を強いられ、

漸く水の手を絶つ事に成功したのだ。


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Last updated  Apr 18, 2015 08:09:38 PM
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