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カテゴリ:ボードゲーム
(BoardGameGeekより転載) プレイ人数:2人 プレイ時間:60分(とあるけれど展開によって異なる) デザイナーは「蒸気の時代」でも有名なマーティン・ワレス氏。 まだそんなにプレイしたことはないけれど、彼のゲームと言えば楽しいカツカツの借金ゲー。「蒸気の時代」では序盤の資金繰りが苦しくてとても悩ましかった。 彼が世に放つボードゲームは名作が多いが、「数エーカーの雪」もそんな作品のひとつ。「ドミニオン」でも有名なデック構築システムを採用し、ウォーゲームに組み込むことに成功している。 17世紀から18世紀にかけて争われたイギリスとフランスによる北米の支配を描いたゲーム。 鍵となるのはインディアンの存在で、どちらの陣営にも支援を行う。事実、歴史的にもそうだったようだ。南側のイロコイ連邦はイギリス側に、北側のアベナキ連邦はフランス側についたとの解説がある。詳しくはルールブックの後半にJohn Ellisによる歴史的解説(とても丁寧だ)が掲載してあるので手にした方はそちらを参照して頂きたい。 プレイヤーは南に陣を構えるイギリス軍か北を制圧しているフランス軍に分かれてゲームをプレイする。新たな地域に入植したり、その地域を発展させたり、砦の建設、相手地域への攻撃、奇襲、待ち伏せなど様々なプレイをすることができる。最終的に相手の本陣を占領したとき、または一定数の村駒/町ディスクを獲得する、一方のプレイヤーが村駒と町ディスクを置ききったときにゲームは終了する。 これはフランス軍とイギリス軍の地域カード。はじめに持っているカードは外枠が濃いカードのみ。上部に書かれているのはその地域の名称、真ん中は連絡している地域を表しており、その必要な手段が描かれている。下部のマークと文章は使用法を示していて、プレイする際に使用する。 これはイギリス軍の帝国カード。地域カードとは異なり、様々な効果を持つカードがある。最初からデッキには入っていない。 これは中立カード。どちらの陣営も得ることができるが枚数が限られている。 入植をすることでその入植先のカードを得てデッキの捨て札置き場に置く。または帝国カードの獲得を行いその帝国カードを捨て札置き場に置く。こうしてデッキが構築されていく。無駄にカードを増やしてしまうとデッキが膨張するので注意が必要だ。 手番では2回プレイを行う。数が多いが、以下のアクションがある。 拡大アクション ●地域への入植 連絡している地域カードをプレイし、更に必要なコストを支払うことでまだ入植がされていない地域に入植することができる。 ●地域の発展 その地域カードと入植者マークが描かれているカードをプレイすることで村駒を町ディスクに置き換えることができる。 ●砦の建設 「砦の建設カード」と3金、その地域カードをプレイすることで砦を建設することができる。砦が建設された地域は包囲戦時に2兵力を追加され、また奇襲の影響を受けない。砦の先にある地域も奇襲はされない。 攻撃アクション ●地域の包囲 連絡している地域カード、それに必要な手段のコスト、軍事力を持つカードをプレイする必要がある。このとき軍事力として使用したカードは捨て札置き場ではなく包囲戦スペースに置く。その地域は包囲されたことになり、その地域カードを使用することができなくなる。包囲している間はゲームは終了しない。 ●包囲戦への増援 軍事力カードを包囲戦に使用することができる。包囲戦スペースに置く。 ●奇襲 奇襲することができるカードを使用する。任意の支配地域から連絡路2本でつながっている地域を奇襲することができる。奇襲されたプレイヤーは奇襲を阻止できるカードをプレイすれば阻止できる。奇襲に成功したならその地域の村駒もしくは町ディスクを受け取る。これは後に勝利点となる。 ●待ち伏せ 待ち伏せができるカードをプレイする。相手には待ち伏せを阻止できるカードを使用し阻止する機会がある。阻止に失敗すると待ち伏せマークがついたカード(帝国カードに多い)を1枚帝国カードの山に戻さなければならない。 ●司祭/インディアンのリーダー 相手の手札に(中立の)ネイティブインディアンカードがあれば、それを1枚受け取る。 財政アクション ●お金の獲得 金貨マークのついたカードをプレイし、その金額を得る。 ●商人 船マークのついたカードをプレイすることで、金貨マークのついたカードを1~2枚使用できる。 ●貿易商 毛皮マークのついたカードをプレイすることで、毛皮マークのついたカードを好きなだけプレイする。プレイしたマークごとに2金を得る。 ●海賊(フランスのみ) 特定の地域カードと船マークを持つカードをプレイすることで、イギリス軍から2金を奪うことができる。 カード管理アクション ●帝国カードの獲得 帝国カードの山から好きなカードを1枚デッキの捨て札置き場に置く。コストがあればそれを支払う。 ●カードの破棄 好きなだけ手札から捨てて捨て札置き場に置く。2枚以上捨てる際は1枚につき1金を銀行に支払う。 ●カードの蓄積 蓄積スペースにカードを1枚置く。上限は5枚まで。 ●蓄積カードの回収(フリーアクション) プレイヤーは蓄積カードのすべてをとる。1枚につき1金を支払う。 ●総督 総督カードをプレイし、手札からカードを2枚まで選び対応する山札に戻すことができる。つまり圧縮することができる。 ●行政官(フランスのみ) 行政官カードを支払い、2金を払って捨て札置き場から1枚選び手札に加える。 ●本国の支援(フリーアクション) 山札から3枚引く。 その他のアクション ●包囲戦からの撤退(フリーアクション) 包囲戦から撤退する。負けたときと同じ処理をする。 これだけのアクションから2つ(同じでもよい)を選んで実行する。こんなに覚えられない、と思うかもしれないが、その場その場でできることは手札によって限られているのでので1度プレイすればすぐに理解できると思う。 このゲームのすごいところは、「ドミニオン」のように毎回手札が変わるわけではなく、「5枚になるようカードを引く」ところ。これはカードのめぐりが非常に悪くて、思うようにしたいプレイをさせてもらえない。これが実際に補給線のじりじりした戦いを上手く表現しているのである。 ゲーム開始時の両軍の状況が異なる点も良い。双方で戦い方が完全に違うからだ。 そしてデザイナー自身、どのような戦略があるか完全に理解していないところがすごい(?)。自分のアイディアを詰め込んで、「さあプレイしてみて!」という感じなのにここまで素晴らしいゲームになっているのが驚きである。 僕はこのゲームが好きでよくぺんとプレイしている。僕がイギリス軍でぺんがフランス軍。 基本的には、フランス軍はすばやく入植をしつつ発展させていくのがベターのように思われる。イギリス軍と比べて戦力を増強するカードが少ないので、包囲戦は基本的に向いていない。そして資金繰りにも困りやすいので、短期戦が◎。 対するイギリス軍は、フランスの入植を簡単に許すと勝ち逃げされてしまう恐れがあるので、先にデトロイトまで侵攻するか敵陣を包囲して駒やディスクを得るのがベターかと思われる。イギリス軍の主な支配地域は価値が低く、町ディスクに変えても得点に繋がりづらい。ただし軍事力もフランス軍より多くあるし、資金にはあまり困ることはないはずなのでやはり包囲をして長期戦に持ち込むのがいいだろう。 奇襲や待ち伏せも大きな効果を生む。待ち伏せによって多額の資金が必要となる正規軍歩兵(軍事力2)などを捨てざるを得なくなったりすればかなりの痛手だ。また奇襲をたくさん成功させてしまうとゲームが終了してしまう(相手の駒/ディスクを12点分奪うと終了)ので、なるべくなら防ぎつつ奇襲を仕掛けていきたいものだ。 デッキを圧縮するのも大きな効果がある。やはり効果の薄いカードが回ってくるのと効果が多きカードが回るのでは後者が有利だ。しかし必要になると取り返すためにまた入植したりカードを獲得しないといけないので慎重にプレイする必要がある。 たくさんの勝ち筋があり、未だに遊び飽きない名作である。 ゲームフィールド:数エーカーの雪 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2013年10月08日 17時45分50秒
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