|
カテゴリ:低周波音
北海道新聞社説 2010年7月31日 http://www.hokkaido-np.co.jp/news/editorial/244062.html 普天間訴訟 国の怠慢に警鐘鳴らす国の怠慢を司法が厳しく指弾した。 沖縄県宜野湾市の米軍普天間飛行場の周辺住民が、夜間・早朝の飛行差し止めなどを国に求めた「普天間爆音訴訟」の控訴審判決である。 福岡高裁那覇支部は飛行差し止め請求は退けたものの、一審の約2・5倍に当たる約3億6900万円を原告に支払うよう国に命じた。 注目すべきは、国の責任を指摘した判決内容である。 夜間・早朝の飛行制限などを盛り込んだ日米の騒音防止協定を米軍が守っていないと認定した。 その上で「国は適切な措置を取っておらず、騒音防止協定は事実上形骸(けいがい)化している」と断じた。国は米軍に協定順守を働きかけるなどの手続きを怠り、その結果、騒音問題を放置してきたとの認識だ。 批判の矛先は国の対米追従の姿勢にも向けられたとみるべきだろう。 「国は改善を図る政治的責務がある」とした判決に、政府は真摯(しんし)に対応すべきだ。一日も早く騒音被害を改善するよう対策に乗り出さなければなるまい。 飛行差し止め請求を棄却した理由について、判決は「国は米軍の活動を制限できない」とした。 これに対し、記者会見した原告団代表は「独立国の日本に管理権がない」と述べ、失望感を表明した。飛行差し止めを求めて最高裁に上告する考えという。司法は原告団の言葉を重く受け止めなければならない。 周辺住民が被っている睡眠障害などの健康被害は深刻だ。そうした中、今回の判決が全国の基地騒音訴訟で初めてヘリコプターの低周波音被害を認定した意味は大きい。 沖縄・嘉手納基地がジェット戦闘機主体なのに対し、普天間はヘリ主体で、低周波音による被害は嘉手納より深刻とみられていた。 低周波の騒音被害は、風力発電施設などでも指摘されており、判決は基地以外の施設をめぐる各地の訴訟にも影響を与えよう。 判決は2004年、沖縄国際大構内に米軍ヘリが墜落した事故に触れ、「普天間は世界一危険な飛行場と呼ばれている」と言及した。 騒音や危険を根本的に除去するためには、基地の閉鎖・撤去か移設以外にない。しかし、普天間飛行場の移設問題は日米両政府の合意後、14年にわたって迷走し続けている。 最近になって、在沖縄米海兵隊8千人のグアム移転計画について米側は予定より数年以上遅れるとの見通しを示した。普天間飛行場の移設にも影響を与えるとみられている。 政府は普天間問題の解決に向け、沖縄県や地元住民と真剣に協議し、具体策の策定を急ぐべきだ。
お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2010.08.10 07:40:54
コメント(0) | コメントを書く
[低周波音] カテゴリの最新記事
|
|