671352 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【フォローする】 【ログイン】

「杉の花粉」の独断と偏見に満ちた愛読書紹介コーナー

「杉の花粉」の独断と偏見に満ちた愛読書紹介コーナー

27 こんな『夢』を見た。

どん底・・・こんな『夢』を見た。

♪月がぁ~侘びしぃい 路地裏のぉ~
 屋台の酒のぉ ほろ苦さぁ
 知らぬ同士が お皿叩いて
 チャンチキおけぇさ~ぁあ
 おけさ切なぁ~や 
 遣る瀬(やるせ)なぁあやぁ~♪

 三波春夫先生デビュー曲『チャンチキおけさ』

 15年前に配属された処は、殆どが若い者で占める稀有(けう)な職場だった。
 そして・・・
 その若い者同士の飲み会で、「或る男」が歌いだす。
 それが・・・『チャンチキおけさ』
 正(まさ)しく、‘お皿叩いて’状態になったのを思い出す。
 ・・・「我々の世代」本来知っているはずがないのに。

 その「男」は、別の職場に配属された数年後、急に仕事を辞めた
 
 『チャンチキおけさ』は、こう続く
 「故郷(くに)を出るとき持って来た 大きな夢を杯(さかづき)に
 そっと浮かべて 漏(も)らす溜め息 チャンチキおけさ・・・」
 20代半ば
 「夢」未だホンの少しばかり残っていた

 今朝、こんな『夢』を見た
 
 は、ただ只管(ひたすら)に走っている
 堪えられない「何か」を振り払うように。
 そして・・・
 途中、「聖天(しょうてん)様の社(やしろ)」周辺が慌ただしい。
 それでも、私は走り続ける

 大きな競馬施設に飛び込む。
 競走馬の両側には、何故か「ブレーキ」が付いていた

 急な坂道を降って、深夜の「職場」に戻る。
 幾つかのコースを設けた「職場研修会」が開催されると云う。
 は、直ぐに、どの「研修会」に参加するか決めなければならないらしい。

 「この研修にしなさいよ。」
 「何なら・・・私も一緒に参加してあげても良いわ。」
 仕事の関係で、仲の良かった『女性』が声を掛けてくる。
 彼女は、つい最近結婚したばかりである。

 何があっても守りたかった「女性(ひと)」だった
 
 理屈なんて。
 ・・・彼女が結婚した今、私に如何することも出来ないし
 「しちゃいけない」と考えていた。
 でも私の中には・・・
 「死んでも良い」と思うほど「彼女への未練や渇望(かつぼう)」惨めにも残っている
 ・・・そう感じてもいた

 如何しようもなくなって・・・
 は、席を立つ
 彼女の、追い縋(すが)る眼、視線
 そして・・・俯(うつむ)いて黙り込む姿

 「堪ったモンじゃないよな」
 眼が覚めて煙草を咥えた「独り言」である。

 「夢」なので・・・
 日本に在るはずのない「聖天の社」など「荒唐無稽(こうとうむけい)な場面」「展開」無理はある
 「本当の時間」の順番完璧に混乱している

 でも・・・
 たった一つ「真実」がある
 だから・・・
 「夢の残滓(ざんし)」が、私の中「忸怩(じくじ)たる蟠(わだかま)り」を残している。

 「堪ったモンじゃないよな」
 再び、呟(つぶや)く
 咥えた煙草「灰」になろうとも、その思いは消えない
 いや一生消せないのだろう

 紫煙漂う私の周り幻の「うた」が聞こえてくる。
 ・・・『チャンチキおけさ』
 未だ「夢」を見ることが許されていた時代(とき)名残(なごり)
 その「あたたかさ」が・・・不意私を包み込む

 「慙愧(ざんき)の咆哮(な)く声」
 今の私にとっては・・・
 「あたたかい」想い出すら後悔の羽織を着てる。

 だから・・・口ずさんでいる
 ‘大きな夢杯(さかづき)に、そっと浮かべて 
 漏(も)らす溜め息 チャンチキおけさ・・・’

 ・・・「あの子」は今、如何してるんだろう


© Rakuten Group, Inc.