「杉の花粉」の独断と偏見に満ちた愛読書紹介コーナー

2007/11/21(水)10:22

寂光・・・「しょくりょうぶそく」と「せんそう」について(その2)

寂光(56)

寂光・・・「しょくりょうぶそく」と「せんそう」について(その2)  そして、インド。  後数年内に「中華人民共和国」抜き去る猛烈な人口の増加。  インドには不幸なのだろうけれど。  今でも「カースト」が根強く残っている。    「カースト」って云うと。  「身分差別」の代名詞で、「諸悪の根源」のよーに語られることが多い。  でも。  「カースト」の「貧者救済システム」って側面を無視することはできない。    「裕福な者」は「貧しい者」に、必ず「喜捨(きしゃ)」しなきゃなんない。  だから。  「物貰いの子」は「物貰い」にしか成れないけれど。  決して「食い扶持(くいぶち)」に困ることはない。    また。  「カースト」が制定された時に「存在してなかった職業に着く」ことは自由である。  従って「IT産業」には「カースト」が適用されない。  そのため。  「下級カーストに属する者」が、成功を求めて「IT産業」に雪崩れ込んだ。  だから。  世界の最先端を突っ走る「インドのIT技術」は、「カーストの裏返し」なのである。  そして今度は。  「IT産業」で裕福になった者が、「貧しい者」に喜捨をする。    驚くべきことだが。  身分制度を厳しく定めた「カースト」の向かう処は。  ・・「富の平準化」なのだろう。    だから。  インド社会では「大金持ち」が居る限り、「極貧者」でも生きていける。  だから。  人口増加は・・止まらない。    将来的に。  インドから「大金持ち」が居なくなる・・なんて。  ドッかの国が「馬鹿の一つ覚え」のよーに繰り返す「格差社会の是正」がなされた時に、  始めて、インドの人口は減少に転じるのだろう。  アフリカは。  元々の主食である「クスクス」や「ウガリ」なんてモン食べてりゃ良かったのに。  かつての「宗主国」が、テメエらの都合で「小麦」なんて持ち込んでしまった。  戦後の日本国では。  小学校のグラウンドなんかに「サツマイモ」を植えた。  ・・「不味いっ!」って酷く不評だったらしいが。  「サツマイモ」は。  繁殖能力が大変高いうえに、痩せた土地でも育つ。  そして。  「作付け面積当り」の「人を養う能力」は、「こめ」なんかよりも遥かに高い。  そのため。  戦後の食糧難の時代には、多くの人命を救った。  でも。  「小麦」なんて「こめ」よりも・・ズーっと低い。  そもそも。  慢性的な食糧難に苦しむ「アフリカ」で、「小麦栽培」なんて「無茶苦茶な話」なのだ。  だから。  何時も「飢饉」に苦しめられてしまう。  そして。  幾ら人口が増えようが。  繰り返し発生する「飢饉」や「病気の大流行」のために莫大な人口が失われていく。    「中島らも」が著書『ガダラの豚』の中で。  「病気の名前が判るよーなものは、アフリカじゃ病気とは言わない」って書いていた。  「劣悪な衛生環境」に「絶望的な食糧難」。  そんな「アフリカ」で。  継続的な人口増加なんて望みようもない。  このように私は。  「食糧」や「資源」が在る限り、世界人口は増大していくが、  「喰うもの」が無くなりゃ、当然に「人口は激減する」と考えている。  そして。  「食糧」や「資源」が無くなった時、  果たして「戦争」は起きるのだろうか?  エチオピアの例で考えてみたい。  「エチオピアでは1980年代に人口が約三分の一に減少しました」  と著書『愛と幻想のファシズム』で村上龍が書いている。  彼は、厭味なほどの「調査マニア」だから、何らかの根拠はある・・と思ってる。  そして。  2004年現在、エチオピアの人口は「6千7百万人」である。  だから。  1980年代の「大干ばつ」による餓死者数は、少なくとも数千万人。  ヒョッとすると・・1億人を超えたのかも知れない。  そん時の政治状況は。  1974年に、最後の皇帝「ハイレ・セラシエ1世」が軍部により廃位させられ、  1977年に、「メンギスツ・ハイレ・マリアム」が「臨時軍事行政評議会(PMAC)議長」に就任。  恐怖独裁政治や粛正により数10万人が殺害された。  と云う・・「泥沼状態」だったのだけど。  現在、世界有数の「最貧国の一つ」に数えられているが、  建国を紀元前11世紀とする「エチオピア」は誇り高い民族である。  何か起こると、直に「超大国」を頼る「ドッかの国」みたいに、  決して「腰抜け」なんかじゃない。  2007年11月11日の毎日新聞の配信記事では。 「ソマリア情勢の安定化が行き詰まっている。  暫定政府支援のため駐留する『エチオピア軍』は、激しい武装抵抗を前にして撤退に踏み切れず、戦況は泥沼化。  ・・・  首都モガディシオでは8~9日に『エチオピア軍』とイスラム過激派の間で激しい戦闘が起こり、民間人を含む70人以上が死亡、200人以上が負傷した。  過激派は路上で兵士の遺体を引きずり回し、  これに怒った『エチオピア軍が住宅密集地を猛爆撃した』との情報もある。」  なんて。  平気で、他国に「軍事介入」なんかしちゃうのだ。    その「軍事政権下のエチオピア」でさえ、  国民の2/3を失う「飢饉」に際しても、  決して他国に攻め入ることはなかった。  だから。  「飢饉」が戦争に直結する  って「発想」は・・私にはない。  寧(むし)ろ。  「食糧の奪い合い」で「国内が極度に疲弊」し、  とてもじゃないが「戦争」なんて出来る状態にゃなんない  なんてのが・・精々ってトコじゃないのかなぁ。  最後に「マルサス」を紹介する。  18世紀の末に『人口論』を書いたトマス・ロバート・マルサス。    彼の。  〈人口法則〉により。 「『人口の自然増加』は幾何級数をたどるが、  『生活資財』は算術級数で増加するに過ぎないから、  この『過剰人口』による貧困の増大は避けられない」  と云うのは有名だ・・が。 「これに対する唯一の方策は」  禁欲を伴う結婚年齢の延期、即ち〈道徳的抑制〉である。  そして。  疫病・戦争・飢饉は、過剰人口への自然による救済である」  って・・続くらしい。  オッさんっ。良く言ったっ!  当然に。  社会からは・・批難轟々だったらしいが。  でも。  今の先進国の人口逓減は、「結婚年齢の延期」が大きな理由なんだろう。  ・・禁欲的か如何か・・は知らないが。  そして。  アフリカなんてトコじゃ。  「疫病・戦争・飢饉」が人口増加の「歯止め」になってるのも事実である。  中国の「一人っ子政策」なんてヘンテコな人口抑止政策は。  社会の世代別人口構成に甚大な影響を与え、将来に計り知れない禍根を残す。  だから。  イッソのこと。  世界中の『喰いもん』を、みーんな喰い尽くしてしまって。  それでも。  「生き残った奴だけ」で、次の世界を創っていきゃ良いんじゃないの?  って・・非常に無責任に感じているのだ。

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