「杉の花粉」の独断と偏見に満ちた愛読書紹介コーナー

2012/11/04(日)09:21

世の中は、「情報」と「思い込み」だと思うので

 Livedoorさんで、『日立、ソニーと相次ぐ工場閉鎖に揺れる岐阜・美濃加茂の悲鳴』と云う「記事」を見た。  ソニーが、美濃加茂市にある子会社の工場を来年3月に閉鎖すると発表した。  美濃加茂市役所さんは、「まさに青天の霹靂(へきれき)」だった、ようで。  「19日の15時頃、ソニーのホームページ上で、初めて工場の閉鎖を知りました。  事前の連絡はまったくありませんでした」(市役所幹部A氏)  突然の撤退通告に市役所は大混乱。  17時、部長級7名が緊急招集され、異例の幹部会が開かれた、とか。  市役所幹部A氏によると  ソニーの工場は、「スマホの普及に伴ってここ数年は減産の嵐」で  「実はその間、ソニーさんとは年2回の協議の場を持ってきたのですが、毎回、『厳しい』『いつどんな事態になるかわからない』と聞かされていた。」  「従業員約2,400人のうち、直接雇用800人は市外の別工場」へ、「非正規1,600人は契約更新されません。」  同工場と取引関係のある派遣会社の社員は。  「非正規雇用の大半がブラジル人労働者。豊田市や浜松市の自動車工場に、外国人労働者を受け入れてくれる余地があるかどうか?  なければ、帰国を余儀なくされるでしょう。」  けれど  ソニーの工場で働く日系ブラジル人(28歳)。  「大丈夫です。もう福井県の越前市というところで、今より300円も高い時給1,300円の工場を見つけました。  日本の派遣会社に頼らなくても、私たち(ブラジル人)にはネットワークがあるから心配いりません。」  そして  市内のガソリンスタンドの店員。  「ソニーの期間従業員を乗せる送迎バスはウチの常連。  工場が閉鎖されたら、この店はやっていけなくなります。」  市内の不動産業者。  「ウチでは今でさえ、アパートの7割が空室なんです。  3割しかいない契約者もほとんどが外国人。彼らがいなくなったらほとんどのアパートが廃虚になってしまう。」  と、美濃加茂市の方々は震えている、と結んでいる。  あたし流に、端的に要約する、と。  日本に出稼ぎにきたブラジル人には、「自分の生活を守る私的ネットワーク」が在るのに  ずっと日本に住んいでる美濃加茂市民には、「市役所とのネットワーク」すら、なかった。  と云う、お話でした。  日経さんを見る、と  関西電力が、一株当たり60円の株式配当を見送ると発表した途端、株価が暴落したらしい。  関電には「配当金目当ての個人株主」が多く  ここ2年間で、株価が三分の一になって、加えて、配当が無くなったので、みんな、嫌になって売っちゃった、とか。  たかが、60円でしょ?  売ったら、財産が三分の一になっちゃう、じゃない。  と、思ったんだが、よくよく考える、に。  退職金で買ったんなら、10,000株?  なら、年に60万円も配当収入が在る、じゃない。  あたしは、眼を引ん剝いた。  で、そりゃ売るだろう、と納得した、わけ。  いま、600円くらいなの?  配当が復活したら、1,800万円(三万株)の投資で、年に180万円も受け取れる。  ほんに「世間さま」ってのは、金持ちが「生きるに楽」に出来ている、よーで。  どビンボで、株なんか出来っこない、あたしは  「ホント、大変だねぇ」と、腹の底から、微笑んだ。  まあ、みなさんは優しいから、「性格が複雑骨折している」あたしとは、違うだろーけど。  少なくとも、株や小豆相場に手を出して「家が飛んだ」人に、世間の風は冷たい、よーな。  でも、ね。  アパート持ってる人とか、どんだけ財産がある、んだろう。  それに、ガソリンスタンドなんて、軽く「億」を越えてんじゃない?  だから、って  彼らは、財産を失って良い、とは言わんけど、さぁ。  もっと「情報」に気を遣ったら、どう?  株価が下落して、それでも持ち続けて、でも、配当が無くなって売る。  それは個人投資家自身の判断だから  彼らは、大損をしても誰にも文句は言わない。  まあ、言ったトコロで、鼻で嗤われるのがオチだろう、けど。  ソニーの業績が悪化しているなんて、みんな判ってたこと、じゃない。  実際、市役所幹部は  ソニーから『いつどんな事態になるかわからない』って聞かされてたんでしょ?  市役所なら、市内企業の情報集め、近隣市町村の工場巡り。  ガソリンスタンドやアパート持ちなんて資産家なら、同業他社と手を組んで、採算施設に集約して、後は転売するなり、別の施設を作るなり、市役所・銀行と融資の話を詰めるとか、「工場閉鎖」が公表されて「身動きが取れなくなる」前に、幾らでも遣り様は在ったでしょーに。  なのに、『急に工場が閉鎖されたぁ!』って、何なのさ。  これで  「工場出ていくな!」とか、デモンストレーションしちゃったら、笑うに笑えない。  株や小豆相場で、「大損したから補填しろ!」って騒ぐのと、一緒だよ。  それ、実際に、証券会社とかに要請しちゃうと、犯罪だから。  なんか、さぁ。  見知らぬ土地でも、いや、「だから」なのかも、知れんけど  自分の生活を守るために、必死に、仲間を拵(こしら)えて、いつも聞き耳を立てる。  それは、ブラジル人だけじゃない。  日本人だって、単身、海外で生活してりゃ、みんな、そうしてる。  なのに、日本国内じゃ  「ネット」とか情報が氾濫しているのに、半世紀前から、ちっとも変わらない。  あたしたちは「善良な市民」で、その生活を脅かす者は、いつも「悪党」で。  国や市役所とか、他人(ひと)に頼っては、愚痴ばかり。  それで、マス・メディアさんとか、「何も悪くない善良な市民が可哀想」って書き立てる。  そんな茶番、もう止めませんか?  あたしは、世の中、「情報」と「思い込み」だと思っている。  入試や就職や海の外へのお散歩で、「情報」に助けられ、その何倍も、「情報不足」に臍(ほぞ)を噛んだ。  根拠が検証された「正確な情報」なんて、何処にも存在したりはしない。  ただ、自分自身の少ない「経験」と、持てる「知識」を総動員して、何とか乗り切る。  何時も不安で、けれど、自分自身で選択した「情報」だから、正しいと信じ込む。  みんな、そうして生きてきたんじゃないの?  就職や転職、結婚なんて、人生が掛かってるんだ。  あやふやな「情報」でも信じ込んで、大博打しなきゃ生きられんじゃない。  まさか、それすら、他人(ひと)から言われるまま、だった?  どれ程、平凡な人生だとしても  あたしたちは、何時も、ちいさな「選択」を積み重ねて、生きている。  それで、雁字搦めになって、身動き出来ないこともある。  それを嘆いて、他人(ひと)の所為にしちゃうのは簡単だ。  けれど、自分自身でしてきた「選択」の結果なんだ。  「責める」のは他人じゃなく、自分自身で  そして、幾ら嘆いたって、自殺寸前には、前を向いていたい、じゃない。  何も彼も、他人の所為にしちゃって浮足立ってたら、現実は何も見えてこない。  そんな時にこそ  しっかり自分自身を見詰め直して、地に足を付けて初めて、将来に続く、微かな「蜘蛛の糸」が見えるのかも知れない。  あたしたちの先祖は、そうして、今よりも遥かに過酷な時代を生き抜いてきた。  それなのに、過保護なマス・メディアさんの慰め、に  何時しか、あたしたちは、生きるに必須な自己責任、自己完結すら忘れちゃってない?  ガソリンスタンドとか、アパートとか、関電株とか。  そんな資産なんか何もなく  いや、全財産を売っ払っても半年も生きられん、ビンボな、あたしだけど  あたしの人生は、あたし自身の責任だから、あたしは、何時も、前を向いていたい。

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