びじねすまん坂本竜馬
長崎港を眼下に見下ろす現南山手町の丘の上にグラバー商会の建物はある。 急な坂道をトントンと駆けあがって来た坂本竜馬をトーマス・グラバーは愛(いつく)しむような目で迎えた。 「竜馬、君にビジネスを手伝ってもらいたい」 「びじねす?」 「そうだ。大砲10門とゲベール銃を百丁売って来てくれないか。価格は銀10貫」 「銀10貫?ちくと安いのじゃないがぜよ」 「いいんだ。まもなく長州と薩摩に手を組ませて幕府に戦いを仕向ける。そうしたら、武器は幾らでも必要になる。それからが本当のビジネスの始まりだよ、竜馬。萩に行ったらこれからも毛利版の中で中心となる人物を見つけて来てくれないか。私の元には高杉晋作とか桂小五郎などという情報がはいってきているが」 「チャッチャー、面白いことになってきちゅうがぜよ」 グラバーから渡された納品請求書を顔をこすりつけるようにして見たド近眼の竜馬がニタアッと笑う。 土佐の豪商才谷屋の血をひく「びじねすまん」坂本竜馬の心が躍動する。 『オトメねえちゃん、儲かるがきに。。。フホホ』