「エピデミック」 川端裕人
[登場人物]島袋ケイト・・・国立集団感染予防管理センター「実地疫学隊」隊員仙水 望 ・・・ケイトの同僚。獣医棋理 文哉・・・某大学教授。元実地疫学隊の責任者。御厨 潤一・・・「実地疫学隊」責任者。ウイルス学者高柳 相太・・・T市総合病院小児科医[物語]首都近県C市での院内感染事案を解決したケイトは、なりゆきで近くのT市に発生した壮年のインフルエンザ肺炎の重篤化という事案に呼び出される従来壮年層では重篤化が考えづらいインフルエンザで3人の患者が次々死亡し、SARSが疑われる事を穏便に済ませようとする行政当局を尻目に、ケイトたち実地疫学隊(FET)は、アラート(注意報)を発動し、世界の注目を浴びる震源地となった崎浜地区には、カルト集団のアジトや動物愛護団体の治療施設、渡り鳥の大量死、コウモリの飼育など多くの要素が詰まっているはたしてケイトたち、FETは感染の「元栓」を発見し、閉じることができるのか[観想的なもの・ネタばれあり]「夏のロケット」の川端裕人の感染ものウィルスも含めて、生態系の一部であり、生態系の埒外となんとなく思い上がっている人間に対し、動物の一部でしかないと分からせる存在=ウィルスてなテーマがありそうな感じホップズのリヴァイアサンを引用し、無秩序を生みだす闘争の状態=ウィルス、そしてそれを統治するリヴァイアサン=疫学という構図を描き出す「元栓」となりそうな要素がいくつもあって、それを消去法で徐々に絞り込んでいく展開もリアルだし、FET自体も実は一枚岩ではないってところもサスペンスを盛り上げる(ただし、捜索中は一丸となって、最終的には御厨隊長がおいしいところをさりげなく持っていく、というのが微笑ましい感じ)カルト集団の少年がクローズアップされたところはちょっとひやひやものだったカルト集団のバイオテロって結末だと興ざめだから人為的な事故、というやつはやりようによってはなんでもありになってしまうからそれであれば、むしろもっと初期に犯人側の描写を入れて、倒叙式で進めたほうがしまると思う結果からみると、カルト集団の少年は、カルト集団に騙されていただけで、カルト集団にバイオテロをする用意はなかったそれにもかかわらず少年が夢想していたような事件が起きた、というのは都合がよい展開すぎるか途中までは「ハーメルンの笛吹き」をモチーフにしているのかと思っていたが、少年のくだりは、不完全燃焼といったところ逆にいえば、少年のくだりさえなのとかなれば、パニックの中でのスリルなんかは抜群なので、映画化とかにも向いてきそうなのだが