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酔生夢死

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2006年01月08日
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カテゴリ:書籍 伊坂 幸太郎
魔王

[登場人物]
安藤さん ・・・超能力「腹話術」に目覚める。「魔王」の主人公
安藤 潤也・・・安藤さんの弟。
詩織ちゃん・・・潤也の彼女。「呼吸」の主人公。

犬養   ・・・未来党党首。後の首相。
マスター ・・・「ドゥーチェ」のマスター。後に犬養の側近。


[物語]
〈魔王〉
ある日安藤は、自分の心の中で念じたことをそのまま他人に強制的に話させる能力《腹話術》に目覚める。

一方で、日本の政治界には、若手の犬養率いる未来党が明快な未来のビジョンを掲げ、大躍進を遂げる予兆を見せ始める。

犬養の言動にファシズムの匂いを嗅いだ安藤は、不信感を抱き、《腹話術》を使い、犬養の暴走を止めようと試みるが・・・

〈呼吸〉
物語は、安藤が犬養の演説会に向かってから5年後の世界。

安藤の弟、潤也と詩織夫妻は、東京を離れ、仙台で暮らしていた。

詩織と潤也は平凡ながら穏やかな日々を過ごしていた。

犬養は日本国の首相となり、憲法改正のために精力的に動き、国民投票を行うところまでこぎ着ける。

同じころ、潤也は自分に《驚異的な強運》が備わっていることを知る。

二人は、憲法改正や犬養のリーダーシップなどにいわれない脅威を感じ、潤也の能力を使い、最後まで自分たちらしく

振る舞えるようそのときに備える。


[感想]
伊坂幸太郎作品では「陽気なギャングが地球を回す」で、特殊能力を持った主人公が登場するが、今作でも、

他人に思ったことを話させることができる《腹話術》と1/10の確率までは確実にモノに出来る《強運》を操る兄弟が登場する。

何でよりによって《腹話術》なのかは、最後までわからなかったが(笑)、宮部みゆきの「龍は眠る」にも通じる、異能者の

苦悩を描きたかったのかもしれない。

結局、犬養は本当に悪者だったのか、それとも日本に現れたただのカリスマ政治家だったのか判断することは出来なかった。

それにも拘らず、主人公達の反応の仕方は鋭い。そこまでして現状を守ることに意味があるのか?

軍隊を持ってしまえば戦争への道を転がり落ちてしまうのか?

主人公達がヒステリックになることで、却ってこれらの問題が浮き彫りになり考えさせられることは多かった。


[オススメ度] ★★★★☆





[感想~裏~]
この本は犬養をムッソリーニに見立て、日本でファシズムが発生した場合の仮想現実を著わしているように思っていたが、

本の始めのほうにもあったが、ファシスト=統一が必ずしも悪だろうか?

犬養が政権を取る際には、インターネットを使い、外に敵を作って愛国心を煽ったり、政敵となるものを密かに葬ったり

まるで、ヒトラーやムッソリーニのようなことをしている。憲法改正されれば外国へ侵略していくというシナリオなのかもしれない。

でも、それは、作者が作為的にヒトラーたちにあわせていっただけで、ファシズムの一つの形態に過ぎない。

サッカーの代表を応援する形で《統一》することもあるだろうし、文化や経済などで愛国心を育むことも否定してはならない。

インターネットを利用して若者を煽って、一気に愛国心を芽生えさせたり、一度に改革を行うのではなく、一旦ソフトな形で

変更をしておき、次に本来の改革を行うと抵抗が少ない、などというのは重要な指摘である。

(ちなみに自民党の憲法改正案でもなぜか徴兵制は採っていないはず。二度目の改正で徴兵制を採用するつもりなら納得がいく。)






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最終更新日  2006年01月08日 18時32分58秒
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