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カテゴリ:書籍 道尾 秀介
[登場人物] 真備 庄介・・・真備霊現象探求所所長。霊現象の研究者? 道尾 秀介・・・作家。真備の学生時代からの友人 北見 凛 ・・・真備の助手 歌川 春芳・・・旅館あきよし荘の主人 糠沢 耕一・・・神隠し事件の第一の被害者 [物語] 東京で作家をしている道尾秀介は、湯治がてら福島県の白峠を訪れる。 唯一の観光名所である白早川の滝を見物に行った秀介は、幻聴を聴き、怖くなって東京へ逃げ帰る。 レエ・・・オグロアラダ・・・ロゴ 偶然にも、その滝はかつて少年が殺害され、その首が流れ着いた現場だった・・・。 自らの体験を相談すべく、霊現象に詳しい友人・真備を訪ねた秀介だったが、真備も白峠近辺に不思議な現象が起こっていることを突き止める。 1年半前に糠沢少年が殺害されて以来、連続して3人の少年が行方不明になっていること 白峠近辺で「背の目」が写りこむ心霊写真らしきものが複数撮られ、しかも、背の目が写っている人物は、その後、自殺していること 事件に霊現象の予兆を感じ取った真備は、霊現象を確認すべく白峠に乗り込む。 はたして、秀介の幻聴の正体とは? 「背の目」の正体とは? [観想的なもの] 第五回ホラー・サスペンス賞・特別賞受賞作 選者・綾辻行人の講評にもあるが、京極夏彦の京極堂シリーズの匂いがぷんぷんし、それ故に期待度も高い作品。 文章もそれなりに巧く、特に後半部分は次々と伏線が絡み合い、一気に読めた。 京極堂シリーズが、妖怪をテーマにし、その来歴と事件とをリンクさせていく手法を使いながら、あくまで現実世界で事件が完結するのに対し、今作は、主人公真備が霊現象といわれるもののうち、科学的に実証できるものは科学的に解釈ながら、本物の霊現象もあってほしいと渇望するスタンスそのままに、中途半端に霊現象を肯定してしまう。 あくまでロジックに犯人捜しをしていくミステリの部分と科学的に証明できそうもないからとりあえず霊現象を肯定してしまう歯がゆさ。 この辺の整理をしておかないと、たとえば密室殺人の捜査をした挙句に、霊が壁をすり抜けて殺人をしましたとか、空を飛びましたとか、時空を超えましたとかそもそもの推理小説の前提すらぶち壊しかねない。 京極堂も実は、結構あやしいものだが、あちらは「この世の中に不思議な事など何もないのだよ。」のスタンスで一応、すべてロジックの範囲内に収まるよう図られている。 ほかに、単行本版には、ホラー・サスペンス大賞の選者による講評が載せられている。 大賞ほか最終選考に残った3作品について、それぞれの選者による講評が載っているのだが、これが結構イカス 手放しでほめられているのは辛うじて大賞だけ。ほかは特別賞の今作でさえ、冗長だとか空回り感が強い文章とかぼろくそでした。 ほかの作品についても同様に、辛辣なコメントが寄せられており、識者はこう読むのかととても参考になりました。 人物描写 ★★★☆☆ 物語 ★★★★☆ 技術 ★★★☆☆ インパクト ★★★★☆ 総合 ★★★★☆ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2007年04月15日 22時00分07秒
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