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酔生夢死

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2008年06月08日
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カテゴリ:書籍 東野 圭吾


[登場人物]
長峰 重樹・・・絵摩の父
長峰 絵摩・・・被害者。高校生

織部・・・警視庁刑事
真野・・・警視庁刑事

和佳子・・・長野のペンションのオーナーの娘

菅野 快児・・・犯行グループのリーダー
伴崎 敦也・・・犯行グループの一員
中井 誠 ・・・犯行グループの一員


[物語]
花火大会の夜、高校生の娘・絵摩が行方不明となる

数日後、荒川の河川敷に死体となって発見される

悲しみに暮れる父だったが、謎の密告電話により犯人の手掛かりを得て、アパートに忍び込むとそこで、娘が少年らに襲われ、玩ばれる姿が映ったビデオを発見する

事件の真相を知った父は、現行の少年法によって少年たちが"保護"されるのをきらい、自らの手で事件を終結させるため、動き始める


[観想的なもの]
久しぶりに東野圭吾作品をチョイス

主なテーマは少年法の限界と被害者感情

少年なんだから間違いは処分ではなく、更生させて真人間にして社会に戻す、という"理想"はすでに現実に即さなくなっている

少年法で守られてるが故にグレーゾーンを堪能するものやもっと早く矯正しなければいけないのに成年になるまで見逃されてしまうものなど少年側の問題も多い

また、被害者側にしても相手が大人なら処分があるが、少年犯罪なら罪に問えないとなると光市母子殺害事件の遺族が一時口にしていたように自らの手で処刑するから早く更生施設から出してくれということにもなりかねない。

少年だから勘弁してやってほしいというのは、加害者や国側の言い分であって被害者の心情にはそぐわない

少年に甘い少年法は結局少年にも被害者にも不利益を出しているように思える


あとは作品自体について感じることは、プロットが宮部みゆきの「スナーク狩り」に似ているなと

かなり昔に読んだので記憶があやふやだけど復讐もので、猟銃を使ってるところまでは一緒だったと思う

また、長峰以外の被害者鮎川を終盤まで不確定要素として残しているあたり、なんとなく新聞や雑誌での長期連載だったのかなぁと思ったりもした

話の展開として、結末がそれほど選択肢がないため、そのへんは苦労したのかなと(結末に意外性を求めるのはミステリを読みすぎてるからかも。これはミステリでなく社会派小説だったし。)

ついでに、タイトルの「さまよう刃」の刃が当初は、復讐の遂行に揺れる長峰重樹の心情かと思っていたが、最終的には立場上長峰と対立せざるを得ない警察側が、ちゃんと自分たちが正義の実現のために役立っているのだろうか?と疑いを持つところだったのが秀逸。


[採点]

人物描写    ★★★★★
世界観     ★★★★☆
物語      ★★★★☆
技術      ★★★☆☆
インパクト   ★★★☆☆

総合      ★★★★☆

[言葉の精髄]
・自分たちが正義の刃と信じているものは、本当に正しい方向を向いているのだろうかと織部は疑問を持った。向いていたとしても、その刃は本物だろうか。本当に「悪」を断ち切る力を持っているのだろうか。






http://mutsugoro.myminicity.com/
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最終更新日  2008年06月08日 17時52分44秒
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■コメント

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Re:「さまよう刃」 東野 圭吾(06/08)   ミシェル・デマルケ さん
「さまよう刃」は読んでないです
(ってか、知らなかったです)。
「スナーク狩り」といわれると、
ああナルホド、そっち系のテーマ
かなんてことが浮かびます。

とにかく、ここ何年かですっかり
売れっ子社会派小説家もしくは
ヒューマン小説作家って感じの
東野さんの本なら、きっとミシェル
も★をいっぱい付けると思います、
読んでいたら。 (2008年06月12日 22時01分22秒)

Re[1]:「さまよう刃」 東野 圭吾(06/08)   やはちろう さん
ミシェル・デマルケさん
東野圭吾さんは昔から好きで結構読んでますね。
最近は一寸ご無沙汰してましたが、たしかに昔は社会派というよりはミステリに比重を置いたものが多かったように思いますね。
はずれが少ない作家さんで映像との相性も抜群なので、これからもがんばってほしいものです。
(2008年06月14日 08時33分17秒)

今朝、読み終えました。   あさぼん さん
さまよう刃を読んでいる時期に秋葉の事件がありました。テレビでは自分の嫁を死ぬまで殴り続けるという内容の刑事ドラマがありました。読みながら胸くそが悪くなってきましたが、早く結末を知りたくて一気に読み終えました。ん~結局、和佳子にしても、長嶺に情報提供していた人物(警察?)にしても長嶺を救うことはできなかった。正義とは何か?世の中に投げかける事すらできなかったと思うとこの結末はすごく残念に思います。先日起こった秋葉の加藤事件で、最近テレビでマスコミで流している加藤の言い訳めいた動機について、いろいろと批評しておりますが、中には格差社会が生み出した等と更なる問題を投げかけて議論を広げようとしている番組もありました。これも番組造りの一環でしょうか?何やら今回は小説の世界と現実の世界がオーバーラップしてしまいました。小説の中くらい良い方向で終わって欲しかったと思うのですが・・・ (2008年06月15日 07時47分00秒)

Re:今朝、読み終えました。(06/08)   やはちろう さん
あさぼんさん
個人的には秋葉の事件は、格差社会というよりはムラ社会の喪失やそれによるコミュニケーションの喪失に原因があるのでは、と思っています。
閑話休題
今回の作品は上にも書きましたが連載っぽい感じがしました。だので途中から結論に向かって一気に突っ走るというよりは、最後の章まで結論がわからないように配慮しているように感じられました
その辺が一寸感情移入しずらかったかなとおもい、残念でしたね。
(2008年06月16日 22時11分08秒)

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