2008/12/20(土)13:05
チームバチスタの栄光 その10
第十回
今回だいぶ真実が明らかになり、まとまるかと思いきや最後にもうひとつどんでん返しがある模様
原作を超えた部分で不安があったが、とりあえず今週分まではうまく作れていると思う
次の一手は勇み足となるか否か
バチスタ・ケース27は予想どおり桐生の目(正確には脳腫瘍)の不調+普段桐生の目代わりとなっていた鳴海の不在により引き起こされたことがわかった
そしてそれ以降続く、"連続殺人"は氷室によるもの
氷室の暴走の原因は、元来の気真面目すぎる性格に加え、尊敬する桐生が医療ミスを起こし、それを手術室が密室なのをいいことにうやむやにした(ように見える)ことにより、それまでの価値観・倫理観が崩壊し、一気に殺人に駆り立てた
バレなければ何をしてもいいのか?からいつしかどこまでバレないのか?に転じ、もしかするとどこまで"通常の医療"として処理されるか境界を探ることで、一般社会のにおける"通常の医療"がどれだけ狂っているのかを明らかにしようとしたのかもしれない
しかし、"魔"に魅入られ、気がついたら自分では抜け出せないところにいて田口先生に救いを求めていたのかもしれない
一方で、桐生はサザンクロス病院にいたころから目の具合が悪かったことを自覚していた
しかし、バチスタ手術を行えるのは自分だけだという自負(現実に氷室の件がなければ成功率は90%以上)、そして自分が手術をしなければ患者が死んでしまうという歪んだ正義感。そして何より、鳴海と組めば失敗がないという経験
しかし、想定外の術死が続く
ケース27では機械出しの看護師の交代、鳴海の不在と不確定要素が多すぎた
そして自らをだましながら手術を続けるたびに術死が起きる(原因は氷室)
桐生のキャラクターとしてはすぐにでも目のことを公表し、チームバチスタを解散させようと思ったことだろう
しかし、自らが外科医としての将来をつぶしてしまった鳴海の生きがいを奪ってしまうことになるため、患者がいるという大義名分を掲げ、手術を続ける
その辺の苦悩がにじみ出ていてよかった
なぜ手術の裏側を嗅ぎまわる田口に親切に対応するのかとも整合性がある
現実には桐生+鳴海コンビであれば桐生の目のことがあっても一流の医師よりもいい仕事はすると思うが、なかなかそうもいかないのだろう
(心臓外科医で生涯成功率が99.5%ってのはあり得ないけどね(笑。生涯無敗を誇った宮本武蔵じゃないんだから)
前回氷室を突き落した酒井の真相も明らかに
桐生の目のことは実はチームバチスタ全員の公然の秘密で、それを氷室が警察にしゃべることでチームは崩壊してしまう
それを避けるため、説得に向かったが、勢いあまってということらしい
先週の理由よりは納得しやすい理由である
原作の後日談を創造していく、というところにおいては、まあ成功だったと思う
ケース27も故意の殺人というよりは、不幸な状況が重なった末の医療ミスということで落ち着いた
その後、氷室が暴走したことについてもミステリとしては上出来だと思う
(逆にここで氷室が暴走しないとミステリにならないからね)
ツッコミ所としては
まず、桐生先生の目の原因となる脳腫瘍。視野が狭まるとかまだ手術ができるとかの問題ではなく、早く治療しなくては?じゃないのかな
もちろん今回明らかになった外部の病院で治療してるんだろうけど、その割に緊迫感がない。
(サザンクロス時代からホワイトアウトするくらい症状が進行していたのにケース27まで車の運転をしていたり)
あとは、視野が狭くなりながらそれがチーム以外には伝わらないくらいの神がかり的な桐生の腕
今回の終盤、桐生の成績として成功率99.5%という数字が出ていたが、心臓(しかも病気で弱っている)を手術する以上、かなり難しい手術のはずなのに、あの数字は不自然
この驚異的な数字が、彼をもって余人に代え難し、という論調を生み出しており、多少目が悪かろうが桐生でなければ、という雰囲気を作ってしまっている
目が悪くなってからは格段に成績が落ちる、とかしないとおかしいだろう
とりあえず、あと一週
ほんとのほんとに勇み足でなければいいのだが
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