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酔生夢死

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全9件 (9件中 1-9件目)

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書籍 伊坂 幸太郎

2010年09月11日
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カテゴリ:書籍 伊坂 幸太郎

あるキング

おまえは王になるためにこの世に生まれてきた

[登場人物]
山田 王求・・・主人公。生まれながらに野球の王になるべく宿命を負った男
山田  亮・・・王求の父。
山田 桐子・・・王求の母。

南雲慎平太・・・仙醍キングスの監督


[物  語]
仙醍キングスの熱狂的ファンである山田亮、桐子夫妻の子供・王求はくしくもミスター仙醍キングスともいうべき南雲慎平太監督の最終試合の日に生を受ける

その日から仙醍キングスの王となるべく、山田夫妻は王求に英才教育を施していく

また、王求もそれに応えるべく、人生のすべてを野球に賭けるような生きざまを見せるが、そこには想像を絶する茨の道が横たわっているのだった



[観想的なもの]
うーん。正直伊坂幸太郎っぽくない作品

遊びがなくて、むしろ鬼気迫るものがあるし、途中登場する3名の魔女?とかユニホーム姿の亡霊(こちらは最後にネタばらしありだが)の意味があまりよくわからなかった

野球にすべてをかけ、その結果、プロの世界だろうがなんだろうが打てばほとんどがホームランという常識はずれな男・王求がいて、その現実離れした才能ゆえに野球というスポーツの醍醐味を破壊してしまうのではないかと悩むとことか妄想のレベルだよねw

なんか、酔っ払いがスポーツ中継を見ながら俺がここで登場すれば代打逆転満塁ホームラン打っちゃるのに、とかいうレベル

なんか伊坂らしくなく、ハズレだったなぁ。。。








最終更新日  2010年09月11日 08時16分35秒
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2010年04月04日
カテゴリ:書籍 伊坂 幸太郎
8年後に地球に小惑星がぶつかることが避けられないことが分かってから5年

小惑星衝突が発表された当初は大混乱が発生したが、その混乱に疲れたかのように、世の中は一時の平和を取り戻していた

絶縁状態となっていた娘が夫婦の元へ顔を出しに来て、昔を懐かしむ「終末のフール」

忘れたころに妊娠した妻とこの状況で産むべきかどうか悩む優柔不断な夫の「太陽のシール」

猥雑なワイドショーに妹を奪われた兄弟とその司会者を襲う事件「籠城のビール」

現実を締め出し、父の書斎にこもる少女「冬眠のガール」

ストイックなキックボクサーの強さにあこがれ、追従する少年「鋼鉄のウール」

天体観測を趣味とするかつての友人との旧交を温める「天体のヨール」

コミュニティが崩壊した中で、仮初の親子関係や家族を演じる女性とその周辺「演劇のオール」

大洪水を観賞するためにマンションの屋上に櫓を立てる父とその息子一家の交流を描いた「深海のポール」


伊坂作品らしく、仙台が舞台で、それぞれの話の世界観が一致する連作ってやつ

登場人物も重複し、ほぼ長編作品で、視点が章ごとに異なる感じ


物語の世界は地球が存続できないことが分かり、それなりに酷い状態を経て、小康状態を保っている

あえてパニックのときでも、地球が終わるその時でもなく、中だるみ?の瞬間を切り取る伊坂幸太郎らしいユルい作品

なんか、伊坂作品って「陽気なギャングが地球を回す」とか犯罪小説が多い割に悲壮感はないし、なんか温かさが根底にある気がする

この作品も、地球最後まであと3年と緊迫するには微妙に長い期間を設定し、それぞれのキャラクターの内面を描いてくる



[観想的なもの]
自分の命があと3年だったらどうしよう?

急にパニックになってなにかやるにしても3年は長いし(笑

やっぱりユルく生きていそう

いつごろ頑張ろう?

長時間かけて破滅がやってくるとなんだかんだで覚悟はできそうだ

ゆでガエル体質だね、つくづく。








最終更新日  2010年04月04日 18時07分44秒
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2008年11月25日
カテゴリ:書籍 伊坂 幸太郎



[登場人物]
渡辺 拓海・・・主人公。SE。
渡辺佳代子・・・拓海の妻。シンプルな考えの持ち主で、これまで浮気した二人の夫は行方不明か死亡している。

大石倉之助・・・拓海の後輩。
五反田正臣・・・拓海の先輩。含蓄のある言葉を吐くが、基本的に変人。
井坂好太郎・・・拓海の友人。軽薄な小説を書く作家。

岡本猛・・・佳代子が拓海の浮気を疑って差し向けた暴力を生業とする男
永嶋丈・・・「播磨崎中学校襲撃事件」で英雄に祭り上げられた政治家

安藤潤也・・・「魔王」の中の「呼吸」の主人公。「十分の一」の能力者。
安藤詩織・・・潤也の妻。
愛原キラリ・・・潤也の親類。心の中を読めるらしい


[物語]
しがないSEの拓海は、殺人的なスケジュールをやりくりしながら、仕事を全う

その一方で、社内の女の子に手を出し、妻の差し向けた男に拷問を受け、爪をはがされたり、指を切り落とされそうになったりする

なぜ、過去に二人の夫の浮気を疑った末に行方不明にしたりした女性と結婚したのか?

また、なぜよりにもよって浮気などしてしまったのか?


そんなとき、優秀なSEで自由人な先輩五反田が失踪

彼が残した仕事を引き継ぐことになる

彼の残した仕事は簡単なものであったが、分析を進めるうち、あるキーワードを検索した人物を追跡する機能を持っていることを発見

早速検索してみた後輩大石は犯罪者に仕立て挙げられ、そのサイトの秘密を知った人たちが次々と不幸になっていく

このサイトは何だったのか?



[観想的なもの]
チャップリンの「モダンタイムス」を現代版にリメイクした作品

あちらは産業革命後に人々が工場の一歯車となって、人間性を失っていく、いうような話だったと思うが、こちらはそれをIT革命やらその後の産業革命やらとオーバーラップさせている話

主人公は、SEとして受注先の仕事を言われるがままに設計、改修する仕事をしている

それがふと気がつくと不審なプログラムをいじっていることに気がついてしまう

そして、そのプログラムの正体を探ったところ、恐ろしい反撃が待っていた

今までは、犯罪に加担することなくまっとうに生きていたはずなのにいつの間にか加害者になっている

不審なプログラムを発注した会社もそれが危害を加えるものとは思っていない

プログラムから発せられた"情報"を次のプロセスにのせることを仕事だと思っている

そうして出来上がったシステムによって、誰一人として悪意を持つことなく特殊な語彙を検索した人物に天罰が下るシステムが出来上がる

この検索追尾システム自体、「播磨崎中学校襲撃事件」を隠ぺいするために始められたものだったが、それが変容し、当初の目的でつかわれることはなくなったのに動き続けている

国家とは何なのか。そして自分はそこで何をしているのか?

なによりも「検索」という現代では必要不可欠な行為にトラップを仕掛けるというのが恐怖として面白い。

一時、携帯電話をテーマとしたホラーが流行ったが、それに近いものを感じる。


この作品はいろいろと伊坂作品らしいエンターテイメントの要素も加わっていて、一つは小説家"井坂好太郎"の存在

もう一つは「魔王」の安藤兄弟の潤也が主要なキャラクターとして使われること

時代的には「魔王」の何十年もあとで安藤潤也が「十分の一」の能力を持ってその後どうしたのか?とかが記されていて興味深い


全体の流れとしては、前作「ゴールデンスランバー」に近いかもしれない

巨悪の存在を掘り当て、対決するけど、跳ね返されて隠遁する

この辺が「R-25」のインタビューで言っていた「ルービックキューブ2面揃いましたけど何か?」的な感じなのかなぁ

シンプルな勧善懲悪なら、巨悪を発見し、退治しておしまいなんだろうけど、最近の2作は、その撃退法を提示しながらそれ以上の対策を取られてすごすごと逃げ帰るパターンが続いている

エンターテイメントなんだからシンプルに行ったらいい気もするけど、世の中そんな簡単にはできてないよってのを知らしめんとするのかなぁ


[採点]

人物描写    ★★★★☆
世界観     ★★★★★  
物語      ★★★★☆  
技術      ★★★★★
インパクト   ★★★★☆  

総合      ★★★★☆
















最終更新日  2008年12月20日 13時13分59秒
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2008年10月11日
カテゴリ:書籍 伊坂 幸太郎


[登場人物]
戸田・・・画商。拝金主義。
志奈子・・・戸田に迎合する女性画家
黒澤・・・美学を持つ泥棒
佐々岡・・・黒沢の幼馴染の画商
河原崎・・・新興宗教にはまる画家志望
塚本・・・河原崎の信奉する宗教のナンバー2
京子・・・精神科医
青山・・・京子の不倫相手
豊田・・・リストラされ途方に暮れる中年


[物語]
拝金主義者の画商戸田と、彼に振り回される新進の女性画家志奈子

空き巣に入ったら必ず盗品のメモを残して被害者の心の軽減を図る泥棒の黒澤

新興宗教の教祖にひかれている画家志望の河原崎と、指導役の塚本

それぞれの配偶者を殺す計画を練る女性精神科医京子と、サッカー選手の青山

四十社連続不採用の目にあっている失業者の豊田    (解説引用)

それら5つの物語が一つに収斂する壮大なだまし絵


[観想的なもの]
5つの物語が同時進行しているようで実は時間軸がずらされていて、それぞれが干渉しあい、クライマックスでは、まさに"ラッシュ"のようにぶつかり合う

すべての話に登場するエッシャーのだまし絵がそれを象徴しているようだ

また、駅前で"一番好きな日本語"を募集している白人女性に対する対応もそれぞれの人物のキャラクターを反映していて面白い

"力"  河原崎(画家志望)

"夜"  黒澤(泥棒)

"心"  京子(精神科医)

"無色(無職)"→"イッツオールライト"豊田(失業者)

一度だけではもったいない。2度3度読み返すと新たな驚きが隠れている素敵な作品でした


[採点]

人物描写    ★★★★★
世界観     ★★★★★  
物語      ★★★★★  
技術      ★★★★☆
インパクト   ★★★★☆ 

総合      ★★★★★


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最終更新日  2008年10月11日 13時53分03秒
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2008年09月14日
カテゴリ:書籍 伊坂 幸太郎


[登場人物]
青柳 雅春・・・主人公。元宅配ドライバー
森田 森吾・・・青柳の学生時分の友人。「森の声」が聞こえる
樋口 晴子・・・青柳の学生時分の恋人。現在夫と子供あり。

轟・・・花火会社の社長。通称ロッキー


[物語]
平凡な男・青柳は配達先でたまたま強盗に遭遇し、救助した相手が人気アイドルだったことから一躍時の人となる

それから2年後、青柳はチカンに間違われそうになったところを大学時代の友人・森田に救われる

そして、森田と行動を共にしていくうち、森田は青柳を大がかりな陰謀に巻き込んでしまったらしいことを告白する。

ちょうどその時、仙台を訪れた首相が爆殺され、青柳が犯人であるかのような状況証拠が次々と発見される

青柳は無事に逃げきることができるのか



[観想的なもの]
本屋大賞受賞、第21回山本周五郎賞受賞、そして"幻の"第139回直木賞受賞作でもある

題名の「ゴールデンスランバー」とはビートルズの後期の作品の名前

そのころすでにメンバーの心はばらばらとなっており、ポール・マッカートニーが個々の作品を必死につなぎ合わせた作品・・・らしい

首相暗殺という陰謀に巻き込まれ、しかも町中に張り巡らされた監視機器に追い回される、という流れはウィル・スミス主演の「エネミー・オブ・アメリカ」に似てるかも

自分的には伊坂作品の個性は、軽妙なセリフ回しと特異能力、そしてプロットの隙のなさ、だと思うのだが、今回はそんな個性を抑えているのが気になる

洋楽や映画のエピソードはふんだんに込められていたものの、伊坂作品の一番の特徴(と勝手に思っている)ウンチクを含めた軽妙なセリフ回しはほとんど見られなかった

また、特異能力として、今回は森田森吾が操る「森の声」がそれにあたると思われるが、それも実は種明かしすると鋭い洞察力に他ならなかったりする

らしくなかったかも。自分的には伊坂作品の最高峰とは思えない・・・でも、なぜか心に残る作品なんだよね。伊坂作品最後の特徴の隙のないプロットは遺憾なく発揮されていたし。

そんな中で一番印象に残ったのは、逃亡中の青柳が思い出の車のダッシュボードに「俺は犯人じゃない」とメモを誰あてというわけでもなく差し入れたあと、同じ車に行き着いた晴子がメモに気が付き、「だと思った。」と書き加えているところ

不覚にも泣きそうになってしまった

あとは、やはり青柳と晴子のエピソードで「よくできました」どまりだから別れた青柳が最後に「大変よくできました」をもらったところ

そんなこんなをつらつら考えていたらやっぱり、この作品侮れないなって気が付き始めたぞ!


[採点]

人物描写    ★★★★★
世界観     ★★★☆☆  首相暗殺とその後の流れ自体はリアルじゃないかも
物語      ★★★☆☆  同上
技術      ★★★★★ 
インパクト   ★★★★★★ じわじわと効いてくるものが・・・

総合      ?????


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最終更新日  2008年11月25日 08時58分19秒
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2008年05月16日
カテゴリ:書籍 伊坂 幸太郎


[登場人物]
陣内・・・大学生→家裁調査官。破天荒。
鴨居・・・陣内の友人
永瀬・・・ひょんなことから陣内の友人に。盲目。
優子・・・永瀬の恋人
武藤・・・家裁調査官。大人になった陣内の後輩。


[物語]
銀行強盗の現場

陣内とともに人質となった大学生・鴨居はKYな陣内の言動に冷や冷やさせられながら解放されるときを待つ

盲目のもう一人の人質(永瀬)はその場の空気からある推理に行き着く  (バンク)


家裁調査官・武藤は罪を犯した少年と向き合うことを生業としている

ある日先輩調査官である陣内から管内で起きた強盗事件が武藤の前に立ち塞がるだろうと予言される

その日武藤は万引きした少年とその父を面接する

高圧的な父親、過度に父親の顔色を伺う少年

武藤は少年に陣内から託された本「侏儒の言葉・芥川龍之介」(と陣内の落書き集)を手渡す

半年後、その少年は誘拐事件の被害者として新聞に載る

不思議なことにそこに写っていた父親の顔はまったくの別人だった  (チルドレン)


「あらゆるものごとのなかで一番悲しいのは、個人のことなどおかまいなしに世界が動いていることだ。もし誰かが恋人と別れたら、世界は彼のために動くのをやめるべきだ」

ほとんど会話らしい会話もないビデオ店の店員にアタックし、玉砕した陣内は銀行強盗以来付き合いのできた永瀬と優子、盲導犬ベスを相手にクダを巻く

そこで陣内は世界が彼のためにとまった証拠として、広場にいるひとたちがこの2時間の間ほとんど動いていないことを指摘する

不倫風の男女、鞄を抱えた会社経営者風の男、ヘッドホン男、文庫本を読む女 (と五、六羽の鳩)

納得しない二人に対し、直接周囲の人間に質しに行く陣内

そこで周囲の人間は動き出し、またも永瀬はある推理に行き着く  (レトリーバー)


離婚調停を担当する部署へ移動した武藤は、ある男女の離婚調停に立ち会う

少年審判に携わる陣内に誘われ、訪れた居酒屋で少年と出会う

少年と離婚調停中の夫、そして武藤は陣内の演奏するライブへ招待され、それぞれに光明を見出す  (チルドレン2)


陣内がアルバイトしているというデパートの屋上に来た永瀬と優子とベス

陣内に気がつかない優子

警戒を解かないベス

隣にいるのは本当に陣内なのか?

そこで陣内は父親を発見し、いけ好かない父親に彼らしいやり方でけじめをつける  (イン)


[観想的なもの]
言葉の軽業師・伊坂幸太郎の作品

直木賞、大藪春彦賞、山本周五郎賞、本屋大賞"候補"作品

相変わらずおシャレな言葉をふんだんに鏤め、軽妙に仕上げている

舞台は仙台、キャラクターたちの出会いのきっかけは銀行強盗と「陽気なギャング」シリーズと同じような体裁で、主人公?陣内を周囲の人間の視点で映し出す

陣内のキャラクターは「陽気なギャング」の響野に近いか。ぽんぽんと強引な理屈を繰り出し、ブルドーザーのように周囲のツッコミを弾き飛ばす感じ

永瀬が成瀬のような物語の引き締め役を担っており、論理と感覚で事件を解決していく

陽気なギャング」よりはミステリ色が強いか。でも全体的にみるとエンターテイメント


[採点]

人物描写    ★★★★★
世界観     ★★★★☆
物語      ★★★★☆
技術      ★★★★★
インパクト   ★★★★☆

総合      ★★★★☆


[言葉の精髄]
・パンクロックってのは、立ち向かうことなんだよ
・発砲しない強盗なんてのは、強盗とは言わないんだ!
・人間は縛られてたってな、飛ぶことくらいできるんだよ
・家裁の調査官がサラリーマンよりも多く経験できるのは、裏切られること
・大事なのは何を読ませるかじゃない。何かを考えさせることだ。次の面接の時までに、『この本の中から気に入った文を選んで来い』って言ってみろよ。どれがいいかって自分で考えさせることが大切なんだ
・(調査官とは)法律に通じながらも、それを度外視したところで少年と対話をする人(家裁の中堅職員)
・(調査官とは)拳銃を隠し持った牧師(陣内)
・二十八才が「中年」の仲間かどうかなんて、「シロアリが蟻の一種ではなくて、むしろゴキブリの仲間である」というのと同じくらいに、日常生活にはあまり影響のない話だ
・子供のことを英語でチャイルドと言うけれど、複数になるとチャイルズじゃなくて、チルドレンだろ。別物になるんだよ。
・黄金時代が現代であったためしはない














最終更新日  2008年06月28日 23時38分22秒
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2007年09月05日
カテゴリ:書籍 伊坂 幸太郎


[登場人物]
鈴木・・・妻を寺原に殺され、復讐のため寺原の会社に潜入する男
鯨・・・"自殺屋"。鯨=体が大きいから。相対する人間を自殺に追い込む能力者。自殺させた相手の幻覚に苦しむ
蝉・・・"殺し屋"。蝉=ひたすら五月蝿いから。上司に使われていることを快く思っていない

槿・・・"押し屋"。対象者を押して車や電車に轢かせる殺人者。

寺原・・・非合法結社"フロイライン"代表の長男。極悪非道。鈴木の妻をはじめ多くの人を殺している


[物語]
妻を殺された鈴木は、復讐の機会を求め、寺原の率いるフロイラインに潜入し、非合法な薬をばらまいていた

しかし、鈴木のようなリベンジャーは殊の外多いらしく、忠誠を試すため無関係な人間を攫って殺すことを求められる

現場へ向かう途中、寺原は鈴木の目の前で背中を"押され"車に轢かれ、犯人は逃亡、鈴木は成り行きで押し屋を追いかけることになる


鯨は自殺屋の仕事を続けるうち、それまで手に掛けた者たちの幻覚に襲われるようになっていた

政治家の不祥事をもみ消すため、秘書を自殺させた鯨だったが、今度は逆に口封じのため命を狙われる立場になってしまう


連絡役と2人で仕事をこなす殺し屋・蝉は、連絡役にいいように使われていることに不満を感じていた

そんな中、引き受けた依頼は自殺屋・鯨を始末すること

押し屋"槿"&鈴木を中心に徐々に収斂していく3つの物語


[観想的なもの]
3人の殺人者とその周辺の物語

伊坂作品らしく、そこここにちりばめられている言葉が印象深い

・トンネルから飛び出す前こそ気をつけろ
・二十代の男は、知らないことが多いほうが幸福
・同じ場所に置かれたものは腐る

それ以外にも科白の端々におしゃれな感じがあってやっぱ伊坂はいい

ストーリー的には最後にしっかりオチがあって、最後の最後にもう一個くるかと緊張させておいて、それすら裏切って、弛緩した終わりだったけど、なんか印象的な終わり方だった。


人物描写    ★★★★☆
物語      ★★★★☆
技術      ★★★★★★
インパクト   ★★★★☆

総合      ★★★★☆







最終更新日  2007年09月05日 20時44分43秒
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2006年03月14日
カテゴリ:書籍 伊坂 幸太郎
死神の精度

[登場人物]
千葉・・・いわゆる死神。仕事をするときはいつも雨が降るジンクスを持つ。

藤木一恵・・・"死神の精度"のターゲット。苦情係。執拗なクレーマーに悩む。

藤田・・・"死神と藤田"のターゲット。いまどき珍しい任侠。

田村聡江・・・"吹雪に死神"のターゲット。夫婦ともに死神に取り付かれている。

萩原・・・"恋愛で死神"のターゲット。近所の女性に片想いをしてる。

森岡・・・"旅路を死神"のターゲット。殺人を犯し、逃亡中。

老女・・・"死神対老女"のターゲット。死期を悟り、死神を見つめる女。


[物語]
人間に事故や病気による死を与える死神。彼らは保険会社のサラリーマンのように対象を調査し、その運命を決定付ける。

死神はたいていの場合、人間のミュージックを愛し、CDショップの試聴コーナーでいつまでもたたずんでいたりするのは

たいてい"千葉"かその同僚らしい。

・ターゲットの"声"を聞きたがる執拗なクレーマーに悩むターゲットの意外な運命を描いた"死神の精度"

・ヤクザの抗争に巻き込まれながら、その男気や逆に裏側の汚さを浮かび上がらせる"死神と藤田"

・あたかも本格推理小説のような舞台設定の中、死神同士の思惑が交錯する"吹雪に死神"

・不器用で淡い恋愛と突然の幕切れが切ない"恋愛で死神"

・身勝手な若者とそれを創り上げた悪劣な環境。しかし、真実を知ったときには彼には死神がついていた、"旅路を死神"

・数奇な運命から、死期を悟り、死神に最後の願いを託す老女との静かな交流"死神対老女"


[感想的なもの]
「陽気なギャングが世界を廻す」「魔王」の伊坂幸太郎。

去年の福井晴敏に引き続き、今年はこの人がくる様な気がするのだけど如何だろう。

この人の特徴は会話の巧さ、そして特異な能力。

今回も姿かたちは立派な大人な死神が、人間の言葉を完全には解さず、暗喩や比喩をそのまま返して空回りしたり、

意外と人間でないことをぽろっと出したりするところがキュートだった。

とはいえ、見所はそんなところか。

本格的にミステリに走るでもなく、恋愛物やハートウォーミングなモノも織り交ぜ、軽い娯楽作品に仕上げてある。

読んでてインパクトがあるわけでもなく、どこかベタな感じ。

特異なシチュエーション、巧みな会話などいいものは持っているので、まだまだこれからがんばってほしい作家

ではあると思うにとどめておく。

[オススメ度] ★★☆☆☆









最終更新日  2006年03月14日 23時29分37秒
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2006年01月08日
カテゴリ:書籍 伊坂 幸太郎
魔王

[登場人物]
安藤さん ・・・超能力「腹話術」に目覚める。「魔王」の主人公
安藤 潤也・・・安藤さんの弟。
詩織ちゃん・・・潤也の彼女。「呼吸」の主人公。

犬養   ・・・未来党党首。後の首相。
マスター ・・・「ドゥーチェ」のマスター。後に犬養の側近。


[物語]
〈魔王〉
ある日安藤は、自分の心の中で念じたことをそのまま他人に強制的に話させる能力《腹話術》に目覚める。

一方で、日本の政治界には、若手の犬養率いる未来党が明快な未来のビジョンを掲げ、大躍進を遂げる予兆を見せ始める。

犬養の言動にファシズムの匂いを嗅いだ安藤は、不信感を抱き、《腹話術》を使い、犬養の暴走を止めようと試みるが・・・

〈呼吸〉
物語は、安藤が犬養の演説会に向かってから5年後の世界。

安藤の弟、潤也と詩織夫妻は、東京を離れ、仙台で暮らしていた。

詩織と潤也は平凡ながら穏やかな日々を過ごしていた。

犬養は日本国の首相となり、憲法改正のために精力的に動き、国民投票を行うところまでこぎ着ける。

同じころ、潤也は自分に《驚異的な強運》が備わっていることを知る。

二人は、憲法改正や犬養のリーダーシップなどにいわれない脅威を感じ、潤也の能力を使い、最後まで自分たちらしく

振る舞えるようそのときに備える。


[感想]
伊坂幸太郎作品では「陽気なギャングが地球を回す」で、特殊能力を持った主人公が登場するが、今作でも、

他人に思ったことを話させることができる《腹話術》と1/10の確率までは確実にモノに出来る《強運》を操る兄弟が登場する。

何でよりによって《腹話術》なのかは、最後までわからなかったが(笑)、宮部みゆきの「龍は眠る」にも通じる、異能者の

苦悩を描きたかったのかもしれない。

結局、犬養は本当に悪者だったのか、それとも日本に現れたただのカリスマ政治家だったのか判断することは出来なかった。

それにも拘らず、主人公達の反応の仕方は鋭い。そこまでして現状を守ることに意味があるのか?

軍隊を持ってしまえば戦争への道を転がり落ちてしまうのか?

主人公達がヒステリックになることで、却ってこれらの問題が浮き彫りになり考えさせられることは多かった。


[オススメ度] ★★★★☆





[感想~裏~]
この本は犬養をムッソリーニに見立て、日本でファシズムが発生した場合の仮想現実を著わしているように思っていたが、

本の始めのほうにもあったが、ファシスト=統一が必ずしも悪だろうか?

犬養が政権を取る際には、インターネットを使い、外に敵を作って愛国心を煽ったり、政敵となるものを密かに葬ったり

まるで、ヒトラーやムッソリーニのようなことをしている。憲法改正されれば外国へ侵略していくというシナリオなのかもしれない。

でも、それは、作者が作為的にヒトラーたちにあわせていっただけで、ファシズムの一つの形態に過ぎない。

サッカーの代表を応援する形で《統一》することもあるだろうし、文化や経済などで愛国心を育むことも否定してはならない。

インターネットを利用して若者を煽って、一気に愛国心を芽生えさせたり、一度に改革を行うのではなく、一旦ソフトな形で

変更をしておき、次に本来の改革を行うと抵抗が少ない、などというのは重要な指摘である。

(ちなみに自民党の憲法改正案でもなぜか徴兵制は採っていないはず。二度目の改正で徴兵制を採用するつもりなら納得がいく。)







最終更新日  2006年01月08日 18時32分58秒
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