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酔生夢死

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全8件 (8件中 1-8件目)

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書籍 東野 圭吾

2010年04月04日
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カテゴリ:書籍 東野 圭吾
加賀恭一郎シリーズ

ただし、今作の主人公は加賀のいとこの松宮脩平

加賀は所轄に所属し、松宮は警視庁の捜査一課の刑事

加賀の父は病状が進行し、いつ最期が来てもおかしくない状態

頻繁に様子を見に行く松宮を尻目に、加賀は頑なに見舞を拒む


そんな中、少女の行方不明事件が発生

ごく普通のサラリーマン・前原昭夫は、妻からの連絡で家に帰るとひきこもりの息子直巳が、その行方不明の少女を連れ込み殺害してしまったことを知らされる

頭を抱える昭夫は、息子を溺愛する妻に押し切られ、泥沼に足を突っ込む決断をする

加賀&松宮は事件の真相に行きつくことができるのか

加賀と父の確執の正体とは



[観想的なもの]
今回は、倒叙式になっていて、犯人は初めの段階で分かっている

それよりは、前原家が認知症の母親を抱え、同じように末期の父を持つ加賀と境遇をオーバーラップさせている

前原家の事情が解けるとき、加賀家の真相も明らかになっていく

ミステリーというよりは人間ドラマ重視の作品

加賀恭一郎シリーズとしては、外伝的な位置づけというか、ちょっとパワー不足の気が^^

東野さんはたまに、"?"な作品があったりする

東野ブランドとしては少々物足りないか






最終更新日  2010年04月04日 18時23分51秒
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2008年12月03日
カテゴリ:書籍 東野 圭吾

流星の絆

[登場人物]
有明功一・・・「アリアケ」の長男。作戦担当
有明泰輔・・・「アリアケ」の二男。実働部隊
有明(矢崎)静奈・・・「アリアケ」の末子。色仕掛け担当

戸神 政行・・・洋食「とがみ亭」オーナー。
戸神 行成・・・政行の息子

柏原・萩村・・・神奈川県警の刑事


[物語]
功一・泰輔・静奈の三兄弟は、ペルセウス流星群を見るため、夜中に家を抜け出す

しかし、家に帰ってみると両親は惨殺されていた

三人は犯人を見つけ出し、自分たちで殺すことを誓う

成長した三人は、自らが詐欺に引っかかったことから自らだます側になることで身を立てようとする

天賦の才により、男を手玉に取る静奈、何物にも成りきれる泰輔、明晰な頭脳をもつシナリオライター・功一のチームワークは数多くの成果を上げる

最後にターゲットに選んだのは洋食「とがみ亭」のぼんぼん・戸神行成

しかし、戸神行成に近づくとき、泰輔は行成の父・政行こそが14年前に両親を殺した犯人であることに気がついてしまう

兄弟は両親の事件の真相を暴くことができるのか



[観想的なもの]
TBSで放映中の「流星の絆」

ドラマが中盤にさしかかったあたりから読み始め、今日とうとうドラマを追い抜いて結末まで一気に行ってしまった

やられたす

やっぱ東野圭吾は天才っすね

最後の最後にどんでん返しを持ってきて、それ自体はけっこう強引かなとは思うけど、終盤までのいかに戸神政行を追い詰めるか!?って展開と

最後の最後にどんでん返しがあって、混乱の極致に陥ってからの数ページがものすごく力強くてドラマ版でも衝撃を与えること必至

できれば犯人側からの視点での14年間も見てみたい気がする


宮藤官九郎の脚本は賛否両論あるみたいだけど、この作品は「IWGP」と並ぶ、彼の代表作になるんじゃないかな

もともと東野圭吾の作品は映像化と相性がいいのだけど、今回はクドカン流に料理してあってそこが視聴者をよりひきつけているのだと思う

クドカンの脚本と比べると原作は三兄弟が戸神行成に行き着くまでが味気ない感じがする

功一が戸神行成に行き着いたが、食堂の常連さん(ドラマ)、たまたま脇が甘そうな金持ち(原作)、でドラマ版も都合がよい感じだが、原作はたまたまターゲットにした男が両親の敵の息子ってのはあまりにも都合がよすぎる

その辺を巧いことコーディネートしつつ、コメディタッチに仕上げたクドカンの手腕は大したものだ!

これからクライマックスのドラマがますます楽しみ


[採点]

人物描写    ★★★★★
世界観     ★★★★☆  
物語      ★★★★☆  
技術      ★★★★★
インパクト   ★★★★★  

総合      ★★★★☆




















最終更新日  2008年12月04日 09時38分36秒
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2008年06月08日
カテゴリ:書籍 東野 圭吾


[登場人物]
長峰 重樹・・・絵摩の父
長峰 絵摩・・・被害者。高校生

織部・・・警視庁刑事
真野・・・警視庁刑事

和佳子・・・長野のペンションのオーナーの娘

菅野 快児・・・犯行グループのリーダー
伴崎 敦也・・・犯行グループの一員
中井 誠 ・・・犯行グループの一員


[物語]
花火大会の夜、高校生の娘・絵摩が行方不明となる

数日後、荒川の河川敷に死体となって発見される

悲しみに暮れる父だったが、謎の密告電話により犯人の手掛かりを得て、アパートに忍び込むとそこで、娘が少年らに襲われ、玩ばれる姿が映ったビデオを発見する

事件の真相を知った父は、現行の少年法によって少年たちが"保護"されるのをきらい、自らの手で事件を終結させるため、動き始める


[観想的なもの]
久しぶりに東野圭吾作品をチョイス

主なテーマは少年法の限界と被害者感情

少年なんだから間違いは処分ではなく、更生させて真人間にして社会に戻す、という"理想"はすでに現実に即さなくなっている

少年法で守られてるが故にグレーゾーンを堪能するものやもっと早く矯正しなければいけないのに成年になるまで見逃されてしまうものなど少年側の問題も多い

また、被害者側にしても相手が大人なら処分があるが、少年犯罪なら罪に問えないとなると光市母子殺害事件の遺族が一時口にしていたように自らの手で処刑するから早く更生施設から出してくれということにもなりかねない。

少年だから勘弁してやってほしいというのは、加害者や国側の言い分であって被害者の心情にはそぐわない

少年に甘い少年法は結局少年にも被害者にも不利益を出しているように思える


あとは作品自体について感じることは、プロットが宮部みゆきの「スナーク狩り」に似ているなと

かなり昔に読んだので記憶があやふやだけど復讐もので、猟銃を使ってるところまでは一緒だったと思う

また、長峰以外の被害者鮎川を終盤まで不確定要素として残しているあたり、なんとなく新聞や雑誌での長期連載だったのかなぁと思ったりもした

話の展開として、結末がそれほど選択肢がないため、そのへんは苦労したのかなと(結末に意外性を求めるのはミステリを読みすぎてるからかも。これはミステリでなく社会派小説だったし。)

ついでに、タイトルの「さまよう刃」の刃が当初は、復讐の遂行に揺れる長峰重樹の心情かと思っていたが、最終的には立場上長峰と対立せざるを得ない警察側が、ちゃんと自分たちが正義の実現のために役立っているのだろうか?と疑いを持つところだったのが秀逸。


[採点]

人物描写    ★★★★★
世界観     ★★★★☆
物語      ★★★★☆
技術      ★★★☆☆
インパクト   ★★★☆☆

総合      ★★★★☆

[言葉の精髄]
・自分たちが正義の刃と信じているものは、本当に正しい方向を向いているのだろうかと織部は疑問を持った。向いていたとしても、その刃は本物だろうか。本当に「悪」を断ち切る力を持っているのだろうか。






http://mutsugoro.myminicity.com/
  ←こそっとワンクリック















最終更新日  2008年06月08日 17時52分44秒
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2007年07月25日
カテゴリ:書籍 東野 圭吾


昨日いろいろと駄文を書き散らしたところなのだが、ほかの方のブログや書評をみて結構読み違えているところがあったので、補足など。

思いっきりネタばれありなので、そのつもりで。







まず、美冬の正体を明らかにしなかった点について
作中では、戸籍上の新海美冬が就職先の社長に憧れ、連れだって動くうちに震災にあい、過去を消したかった女社長が美冬になり変った、もしくはそもそも戸籍上の美冬に美容整形癖があり、その社長と瓜二つの容貌をしていたという説もある。

じゃあ、最終的にどっちなんだってところがはっきり明記されなかったわけですが、そもそも「ホワイトナイト」の女社長とは何者だったのか?

ここで登場してくるのが、「白夜行」の主人公である唐沢雪穂なんですね。美冬が立ち上げたショップの名前も「BLUE SNOW」"雪"が付きます。

なぜ"青"なのかはわかりませんが、知っている人がいたら教えてください。

年齢的にも「白夜行」の3年後くらいのところから「幻夜」が始まっているので不自然はない。

雪穂=美冬にしてはかなり性格が歪んでいますが、その間に桐原亮司の死を挟むと雅也への辛辣な態度は理解できなくもない。

というより、白夜行の恋愛観に引きずられているだけで、雅也も美冬の駒のひとつでしかなかったと解釈すれば、雅也が思いすぎただけかもしれない。

あえて、雪穂のゆの字も出さないで、微妙に匂わせているだけってのが、高級テクニックなんだけど、言われなきゃ気がつかないっす。

二つ目に、最後に雅也が丹精込めて作ったはずの拳銃が暴発を起こし、刑事である加藤とともに爆死してしまうところ

天才職人であった雅也が自らの最後の作品が暴発て!思わず突っ込んでしまいましたが、あえて暴発するものを作ったのだ!という解釈があります。

雅也ははじめから美冬を巻き添えに爆死するつもりであればありなんですね。

もともと雅也の射撃の腕では至近距離で発砲しないと当たらないと伏線も張られてましたしね。

雅也のプランでは至近距離まで近づき、恨みごとのひとつも言って引き金を引くといったものだったのではないでしょうか。

女々しいようですが、それはそれで騙されていたことに気がついた男としては最後のプライドの示し方だったような気がします。

そんなことも分からずに、"やっつけ仕事"とかいってたのが恥ずかしいかぎりです。


もっと深く読まなきゃね!







最終更新日  2007年07月25日 19時39分01秒
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2007年07月24日
カテゴリ:書籍 東野 圭吾


「ねぇ、昼間の道を歩こうと思たらあかんよ。」
「あたしらは夜の道を行くしかない。たとえ周りは昼のように明るくても、それは偽りの昼。そのことはもう諦めるしかない。」

[登場人物]
新海美冬・・・ヒロイン。震災に遭遇し、そこから這い上がるため手を汚しながら雅也と生きていく。
水原雅也・・・主人公。小さな町工場の息子だったが、震災にあいすべてを失う。美冬とともに生きる。
加藤刑事・・・美冬と雅也を追う刑事。

[物語・ネタばれあり]
阪神大震災前夜、雅也の家では父の通夜を行っていた。

工場を倒産させた挙句、方々に借金を作り自殺した父。

少ない弔問客の中には、残された生命保険から借金を取り立てようと企む叔父の姿があった。

そこへ未曾有の大震災が発生。

運よく生き残った雅也は、瓦礫の中から叔父の姿を見つけ、借用書を奪い取ったが、叔父は息を吹き返し、とっさにとどめを刺してしまう。

その一部始終を見つめていた女性がいた・・・。

警察に突き出されることを覚悟した雅也だったが、女性(美冬)は、その秘密を抱え、一緒に生きていく道を選択する。

そこから、ふたりはお互いの身を守るために、手を汚すことを厭わない夜の道を駆け抜けていく。


[観想的なもの]
『名作「白夜行」から4年半、あの衝撃が、今ここに蘇る』と銘打って満を持して
発表された本作。

前作は、ドラマ化もされており、子供時代に起きた事件に翻弄され、互いの身や人生を護るために、互いに犯罪に手を染め、破滅していく男女を描いた傑作だった。

自分の中ではベスト3には入るいい本。

残念ながらドラマは、「最終的に二人をモンスターにしたくなかった」とかのたまって、何故二人がモンスターにならざるをえなかったかとか、たとえ犯罪行為であっても相手を護るためには手を下さなければならないとか、その辺の深いところまでは表現しなかった。(究極のところでは)犯罪をしても許されるってのはメジャーなところでは出しづらかったのかもしれないが・・・。(それならそもそも映像化するなって話です。)


本作は、帯文にもありますが、まさに「白夜行」を読んだ人向けの姉妹作品と言えるでしょう。

「白夜行」の特徴として、主人公二人(桐原亮司、唐沢雪穂)を視点とした章がないことが挙げられます。

二人は常に物語の中心にいますが、その視点は友人であったり、被害者であったりで二人は常に視られる立場で物語が進行します。

つまり、二人が「どう思っていたか」というところがすっぽり抜けているのです。
(周りの人間がこう思っているだろうという推測を重ねて物語が進行している)

翻って、「幻夜」のほうは、一方の主人公・水原雅也の視点からなる章があるのです。

これは何故か。最後にはわかります。


さて、物語の出来としては、前作と比べると格段に落ちます。

前作が、運命に弄ばれる無垢な少年・少女の悲劇(悲恋)であるのに対し、今回は主人公が成人である上、そのエゴが丸出しになってしまっていて、自分のツボである、善意の積み重ねの結果起きてしまった悲劇みたいなところからかけ離れてしまっているからですね。

前作の、長期間足掻いた結果、結局最初のボタンの掛け違いによってすべてが瓦解するみたいなやりきれなさがなく、美冬がすべてにおいて万能すぎ、未来から来たんじゃないかってくらい、未来の流行やら運命に精通しすぎているのが気になります。(現在にいる作者が過去にさかのぼって物語を創り出しているんだから好きにやりすぎると単なる妄想になってしまいます。)

美冬の"正体"についても最後は確定的な決着は残しませんでしたし、雅也の結末もあり得なくはないものの、不自然でした。

連載もの、ということで最後は時間切れでやっつけ仕事で終えてしまった感がぬぐえません。

「白夜行」で期待してしまっただけに、少し残念でした。


[採点]
人物描写    ★★★☆☆
物語      ★★★☆☆
技術      ★★★★☆
インパクト   ★★★☆☆

総合      ★★★☆☆


[ツッコミ]
・加藤刑事が美冬、雅也を追う際、雅也は途中で美冬と袂を分かつが、そのあたりの事情を知らないはずの加藤が、なぜか雅也の叛意のタイミングと同時に、雅也と美冬が敵対していることを前提に捜査を始める。









最終更新日  2007年10月20日 22時38分12秒
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2006年05月13日
カテゴリ:書籍 東野 圭吾
白夜行

[登場人物]
桐原 亮司・・・質屋「きりはら」の息子。
西本(唐沢)雪穂・・・小学生時代に桐原洋介の殺人事件に巻き込まれ、運命に翻弄される女性。

松浦  勇・・・質屋「きりはら」店員。亮司の母と関係を持っている。
桐原 洋介・・・亮司の父。「きりはら」店主。

笹垣 潤三・・・桐原の事件を担当する刑事。

篠塚 一成・・・雪穂の大学時代のダンス部の先輩。


[原作者]
東野 圭吾・・・第134回直木賞受賞。「放課後」「秘密」「容疑者Xの献身」「天空の蜂」など


[物語]
大阪にあるとある廃ビルで男の死体が発見された。

被害者の身元は、近くの質屋の主人とわかり、早速周辺が捜索される。

しかし、捜査線上に上がった被害者の愛人と思われる西本文代、そして実行犯と思われた寺崎忠夫が、相次いで事故死することで捜査は終結を見る。

それから年月が経ち、被害者の息子・桐原亮司、容疑者の娘・唐沢雪穂はそれぞれの十字架を背負いながら成長していた。

「あたしの上には太陽なんかなかった。いつも夜。でも暗くはなかった。太陽に代わるものがあったから」

彼らの運命を狂わせたのは何だったのか。


[観想的なもの]

自分の中では、ミステリ・サスペンス部門ベスト3にはいる秀作。

初めてこの本に触れたのは4~6年前だっただろうか。一気に読んで最後の最後で号泣した覚えがある。

だから、この本がドラマ化されることを聞いた時には、悲しかった。

絶対、原作の持っている魅力を引き出すことは出来ないから。原作者東野圭吾も中々OKをしなかったらしい。

原作を読んで、ドラマを見て、また原作を読んでやっぱりドラマは原作を超えることはなかった。
(東野作品は、映像との相性がよく、「秘密」「ゲームの名は誘拐」など原作以上のできばえのものも多い。)

でも、それはアプローチの違いだとわかった。

いわばドラマは表面、原作は裏面。

この作品は桐原亮司・西本雪穂の小学生時代に起きた事件が発端となっているのだが、その真相がドラマでは最初に明らかにされて、時系列に

物語が進んでいくのに対し、原作では"そこ"だけすっぽりと欠落しており、最後の最後に明らかにされる。亮司と雪穂の関係も終盤まで明らかにされない。

だから、原作を読んだときは最後に号泣し、ドラマでは第一話で号泣した。

ドラマのほうが、淡々と物語が進んでいき、ある意味安心して物語だけを追うことが出来、原作は常に何か引っかかったまま最後まで読み続けることを

強いられる。(作者の筆力自体が優れているので苦役ではないのだが。)

結論を言ってしまえば、ドラマ→原作と当るのが正解だろう。

原作にはドラマにない伏線やより複雑な仕掛けが施されているからだ。

できれば原作を二度読むことをオススメするが、ドラマでもポイントは押さえてあるので流れを把握するだけであれば十分である。

ドラマを見て満足してはいけない。あれは予告編に過ぎないのだから。


人物描写    ★★★★★
物語      ★★★★★
技術      ★★★★★
インパクト   ★★★★★★

総合      ★★★★★







最終更新日  2006年05月13日 22時14分30秒
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2005年12月24日
カテゴリ:書籍 東野 圭吾
「このミステリーがすごい!」の今年度版第一位。

容疑者Xの献身

[主な登場人物]
湯川 学 ・・・帝都大学助教授にして、天才物理学者探偵。通称ガリレオ
草薙 刑事・・・警視庁刑事。湯川の同窓にして友人。

石神 哲哉・・・天才数学者ながら現在は一高校教師。

花岡 靖子・・・石神の隣人。弁当屋店員。
花岡 美里・・・靖子の娘。高校生。
富樫 慎二・・・靖子の別れた夫。


[あらすじ]
花岡靖子は、母子2人でささやかな生活を送っている。

そこへ別れた夫(慎二)が行方をかぎつけ、金の無心をしに来る。

娘を、そしてそれまでの生活を守るために慎二と跳ね除けようとする靖子。

しかし、反撃に遭い、娘・美里の協力の下、慎二を殺害してしまう。

隣人の異常を察した石神は、靖子への想いから死体の遺棄を手伝う決意をする。

天才数学者・石神の考案した完全犯罪は巧くいくかに見えたが、石神の同窓生にして、天才物理学者・湯川の登場により、

彼の計画は徐々に破綻をきたしていく。


[感想]
探偵ガリレオの第三弾。

前二作はよく覚えてはいないけど、同じく倒叙形式だったように思う。(古畑任三郎のような形式)

これだと、犯人がいかに緻密な計算をもって犯行を行っているか、また、それがいかにして探偵に見破られていくのかが

分かってミステリーの醍醐味を味わうにはいい形式。

この作品は、トリックやそれを見破る道筋など、ミステリーとしての魅力も満載なのではあるが、もう一つの見せ場は、

ラブストーリー。それももてない男が心を寄せる女性に捧げるまさに「献身」ぶりが心を撃つ。

恋に不器用な男が精一杯彼女に尽くし、また負担のかけ方がわからない故に全てを背負い込んでしまう。

きっと石神は、運命のいたずらで一寸道を踏み外した花岡親子を元の平穏な生活に戻してあげようとそれだけを思っていたのだと思う。

たとえ靖子が石神に感謝の念を持ち、それが恋愛感情に転じたとしても、石神自身は事件云々を言い訳にして取り合わない気がする。

彼は靖子との恋愛に向き合うだけの勇気を持ち合わせていない。

だから、自ら死を選ぶことによって、必要以上に靖子に負担をかけるのを潔しとしなかったのではないか。

恋愛対象(感情)としてではなく、あくまでプロデューサー(理屈)として事件に接しようとしたのだと思う。

似たようなテイストとしては、「白夜行」もそうだったなぁ。あれはもう一つ無垢な子どもの純情ってのも心を撃たれたが。



オススメ度・・・★★★★★







最終更新日  2005年12月30日 10時22分56秒
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2005年01月05日
テーマ:お勧めの本(5296)
カテゴリ:書籍 東野 圭吾
片想い ( 著者: 東野圭吾 | 出版社: 文藝春秋 )

[物語]
かつて帝都大学アメフト部でクォーターバックをしていた西脇哲朗は、かつての仲間との同窓会の夜

アメフト部でマネージャーをしていた日浦美月と出会う。

日浦はかつての日浦ではなく、男性へと変身を遂げていた。

それだけでなく、殺人を犯してしまい自首するところだという。

西脇はかつての仲間を救うため、事件の真相を追究するうちに、性同一性障害に苦しむ人々の

現実に直面していく。


[感想]
 この物語は、肉体の性と精神の性が一致しない性同一性障害がテーマ。

それだけでなく、半陰陽(幼児期外見的に女性であったものが思春期に自然に男性化すること)

も登場するので、男とは何か女とは何かという、ものすごく深いテーマが掲げられています。

単純に云えばおちん××がついていれば男で、なければ女なんだけど、性同一性障害の人は

ついていも女性として生きているし、半陰陽の人は、普通に女性として生きてきたのに、

ある日突然、「あなた男ですから」って宣告させるようなもの。

余談だけど[リング]の貞子も半陰陽だったと記憶している。思春期で生殖本能が

アンバランスになっているところに、日本で最後の結核だか天然痘のウィルスが感染し、

ウィルスの存続本能と貞子の超能力がリングウィルスを作り出してしまう。

その場面を見ているときに、ウィルス云々よりも半陰陽という存在が妙に空恐ろしかったことを覚えている。

(この本を読んでホラーの類ではなく、在り得るんだと認識してからは怖くはないが。)

とにかく、外見的な特徴なくして、男と女を区別するのってとても難しい。

東野圭吾はこの本の中で性というのはメビウスの輪のようなもので、普通の紙ならばどこまでいっても

表は表、裏は裏だけど、メビウスの輪はあるとき表だったものが、あるときは裏となる。

つまり、両者は繋がっていて、その輪のどこにいるかだけであって、完全な男や女など存在しない

と訴えている。

普通の生活をしている人にとっては、男は男だし、女は女。両者の境界線など意識することもないだろう。

だけど、世の中には、その境界が強固であればあるほど苦しまなければならない人もいる。

何も識らなければ、リングのときのようにただ恐れ、遠ざけることになりかねない。

性同一性障害にしても、半陰陽にしてもただ先天的に発動すべき仕組みがうまく働かなかっただけで、

特別な存在ではないんだとこの作品を通じて感じることができた。



東野圭吾は初期に学園ものをテリトリーとしていたが、本来大阪府立大の電気工学化卒で

エンジニアをやっていた経歴から、理系トリックを使った推理小説へとその範囲を広げ、

また、大阪人ということもあり、エッセイを書かせれば大阪テイスト満載のおもろい作品を

いくつか残している。

ここ最近は「白夜行」、「幻夜」、そして今作と社会派というんだろうか、なんか殺人事件

よりももっと深いテーマが描かれているものが多い。

そして、デビュー当時から比べると確実に作品の円熟度が増している。

伏線はバシバシ決まるし、むしろそんなことは当たり前で安心して物語の世界へどっぷり

浸かれる感じ。はずれも少なく、今後映画化される作品も多いので、そちらも注目したい。

(普通、原作→映画はがっかりさせられることが多いのだけど東野作品は「秘密」「ゲームの名は誘拐」

とも秀作。映画と相性が良いのかもしれない。)


お勧め度…★★★★★






最終更新日  2005年01月05日 20時06分05秒
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