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酔生夢死

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書籍 三崎 亜記

2009年04月19日
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カテゴリ:書籍 三崎 亜記

廃墟建築士


[物語]
・相次いでマンションの七階で事件事故が発生したことから"七階を撤去すべき"という風潮が起こり、図らずも七階に住んでいた主人公はこの"七階闘争"に巻き込まれていく・・・「七階闘争」

・廃墟に魅せられ廃墟の建設に携わる主人公。しかし、あるとき同業者による"偽造廃墟"を見つけた彼は告発するべきか否か悩む・・・「廃墟建築士」

・図書館の"夜間開館"を行うため、図書館の持つ"野性"を調教する調教師。何事もなく興行は成功したかに思われたが・・・「図書館」

・物心がついたころからそこに存在した蔵。そしてその生涯を蔵守として全うする蔵守。やがて彼らの前に略奪者が現れる。蔵の存在意義とは?・・・「蔵守」


[観想的なもの]
「となり町戦争」「バスジャック」の三崎亜記の作品

この人の作品は想像を絶するヘンテコな物語設定をスタートとしながら、物語自体は気真面目に展開していくこと

たまたまビルの七階で事件が立て続けに起きたところで、七階をなくしましょうとは普通ならない

主人公も常識人なのだが、役所が想定外に七階撤去の方針を出したことから物語は動き始める

また、廃墟を"新築"するために存在する廃墟建築士という設定もかなりシュールだ

この世界観では、廃墟は元から人が住むことを想定してはいない

廃墟となるべくして建築され、生活の用に供してはならない

本来の、人がかつて住んでいて廃墟化したモノ、は"みなし廃墟"として廃墟界では、正式な廃墟とは認められないという徹底ぶり

その辺がアートとしての茶器なども実用してなんぼ、と考える日本人にはなじまない考え方だ、とかまっとうに考察してみたりして


図書館では、前作「バスジャック」の「動物園」で登場した日野原さんが再登場。今度は夜の図書館で擬態を用いて奮闘する。

前作同様、その特殊能力は手段として用いられ、むしろ描かれるのは人間で、映像化しても十分耐えられるんじゃないかな

一転して倉守は、なんだか不思議な感じのまま物語が進む。そしてその仕掛けがわかると面白さが一気に押し寄せて、そして最後にクライマックスを迎える

ただ、それまでの引き寄せる力から比べると最後のネタばらしの部分は少しインパクト不足だったかなというのが正直な感想


全体としては、やっぱり三崎亜記

この人は同じ時代に生きていてよかったと思える何人かのうちのひとり

あまり多作ではないので、余計に貴重だ











最終更新日  2009年04月19日 17時03分50秒
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2008年09月28日
カテゴリ:書籍 三崎 亜記




[観想的なもの]
三崎亜記の作品の特徴は、シュールな設定

台風の代わりに鼓笛隊が押し寄せる表題作「鼓笛隊の襲来」

ほんものの(しかも人語をしゃべる)象が公園に来て滑り台になる「象さんすべり台のある街」

日常生活で覆面を被る人たちの話「覆面社員」


ちょっと「世にも奇妙な物語」チックなんだけど、あれよりは秀逸な気がするんだけど

映像でなく、文章だからだろうか


鼓笛隊の導入部

赤道上に、戦後最大規模の鼓笛隊が発生した。

鼓笛隊は、通常であれば偏西風の影響で東へと向きを変え、次第に勢力を弱めながらマーチングバンドへと転じるはずであった。だが今回は、当初の予想を超えて迷走を続け、徐々に勢力を拡大しながら、この国へと進路を定めた。



この導入部だけでもやられてしまった



[採点]

人物描写    ★★★★☆
世界観     ★★★★★  
物語      ★★★★☆  
技術      ★★★★☆
インパクト   ★★★★☆ 

総合      ★★★★☆


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最終更新日  2008年09月29日 22時58分09秒
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2008年02月28日
カテゴリ:書籍 三崎 亜記

失われた町


[登場人物]
白瀬 桂子・・・管理局の職員。「倉辻」消滅時の唯一の生き残り
脇坂さん・・・居留地出身の写真家

茜さん・・・「月ヶ瀬」消滅後の汚染物質回収員。月ヶ瀬のとなり都川の「風待ち亭」に居つく
和弘さん・・・「月ヶ瀬」の住人でありながら消滅時外出しており生存した画家。記憶を喪っている

由佳さん・・・幼馴染の潤を消滅により喪い、潤の遺志を継ぎ「町の消滅」の謎に挑む
潤・・・由佳の幼馴染。頭脳明晰で「町の消滅」のメカニズムの一端に気がつくが消滅により死亡


[物語]
三十年に一度「町の消滅」という災害に見舞われる世界

消滅にあがなうため管理局の白瀬桂子は自らの身が汚染されるのも構わず職務に専念していた

桂子自身「倉辻」消滅時の唯一の生き残りとして「町の消滅」に対峙する宿命を背負っていた

そんな桂子の前に現れたカメラマン・脇坂

桂子はどこか愁いを帯びた居留地出身の男に惹かれていく


「月ヶ瀬」消滅後、汚染物質を回収するため召集された茜は、月ヶ瀬村の中で生き残りの少女を救出する

直後回収員の任から解放された茜は「月ヶ瀬」のとなり町都川の馴染みのペンションに転がり込む

月ヶ瀬の住民でありながら生き残った和弘は、「町の干渉」を受け、町にいた頃の記憶を喪っていた

ある日、記憶の断片が戻った和弘は「月ヶ瀬」に舞い戻り、更なる「汚染」により言葉を喪う


出産のため「月ヶ瀬」に戻った妻を消滅により喪った英明は妻の「本体」をたずねることを思いつく

妻そっくりの「本体」と生活をするようになった英明たちは、子どもをもうける

子どもの生まれた日は「月ヶ瀬」で妻子の命が喪われたちょうど2年後だった

本来「別体」と同時に喪われるはずの「本体」はやはり「町」の意識からは逃れられず、徐々に衰弱していく

母が力尽きる、その直前、息子(娘)ひびきは「ワタシタチガオワラセル」とつぶやく


学校でも目立つ存在だった由佳は勇治に恋人のふりをしてもらうよう頼む

由佳は消滅により喪われた潤の遺志を継ぐため、「町の消滅」の謎に挑む

たとえ何を犠牲にしようとも


すべての関係者が繋がったとき、「町の消滅」への反撃が始まる


[観想的なもの]
「町の消滅」「汚染」「消滅順化」「本体・別体」「管理局」「古奏器」「ハンドマスター」「居留地」「陰族」

不思議なコトバたちと完成された世界観

特に説明もなくこれらのコトバたちがまかりとおり消化不良を起こしながらも物語りはずんずん進む

管理局員白瀬桂子を中心に町の消滅により何らかの心の傷を負った人たちがやがてひとつになることで町への反撃が始まる

初めにエピローグがあり、終わりにプロローグがある不思議な展開

最後まで読んだ後に、最初に立ち返ると、そこで始めてエピローグ(プロローグ)に出てきた人物のキャラクターが分かる仕組み

1周して更に少しだけ行き過ぎると完結する物語


アニメや映画のような現実離れした世界観

それでも最後にはどっぷり浸かって無理を感じなくなっていく筆力はすごい

前作「となり町戦争」や「バス・ジャック」も読んで、筆者のファンではあったが、ここまでスケールの大きなものを書けるとは思っていなかった

これまでも不思議なシチュエーションを生み出して、そこで物語を展開させていく手法は秀逸だったが、ここまでの世界観を破綻させることなく展開させることができるとは!


[採点]

人物描写    ★★★★☆
世界観     ★★★★★★
物語      ★★★★☆
技術      ★★★★☆
インパクト   ★★★★☆

総合      ★★★★★ 















最終更新日  2008年02月28日 21時56分06秒
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2006年01月01日
カテゴリ:書籍 三崎 亜記
あなたは本当にリアルな「戦争」を知っていますか?

となり町戦争

[登場人物]
北原 修路・・・主人公。となり町戦争において戦時特別偵察業務に従事する。
香西さん・・・役場の総務課となり町戦争係の職員。
主任・・・北原の勤める会社の上司。海外放浪時代に傭兵経験ありとの噂あり。

[物語]
ごく平凡なサラリーマン北原は、ある日町の公報によりとなり町との「戦争」が開始されることを知る。

「戦争」は始まったもののその気配は感じられなかった。

「戦時中」もいつもと変わらぬ生活をしていた北原だったが、思いもかけず戦時特別偵察業務従事者に任命され、主体として
戦争に関わっていく。

行政は一つの事業として粛々と「戦争」を執行していく。

北原は知らぬうちに戦争の渦中に呑み込まれていく。


[感想]
「バスジャック」の三崎亜記のデビュー作。第17回小説すばる新人賞受賞作。

「バスジャック」でもそうだったが、この人の作風は設定がシュールだ。

シュールにも拘らず、劇中の誰もがそれを自然に受け入れていることで不思議な世界を表出する。

今回の作品も「戦争」を行政の一業務として位置づけ、徹底的にお役所仕事として扱うことで「戦争」の悲惨さを薄め、

日本人が「戦争」という言葉に感じる負のイメエジを払拭しようとしているように思える。

また、公務員出身の作者らしくお役所仕事のいじり方が絶妙。

公文書の構成の仕方がまんまだし、法令規則で決まっている以上自分達の主義主張を挟む余地がないと決め付けているところなど

(元)公務員ならではの描き方だったように思う。

思うに、この作者はお役所仕事にあまりいい想い出がないのかもしれない。

実際の住民の生活と乖離した書類仕事、目的を喪った業務、思考を止めて原理原則に拘る職員達。

作中の香西さんが愚直に公務員たろうとしている姿が、公務員達への強烈な皮肉となってあらわされている。

ただ、実際は、公務員に限らず、自分達がしている仕事の意味・目的・波及効果などをしっかり理解して、より効率的に

とか意識している人はほんの僅かだと思う。

公務員の中にも「出来る人」はたくさんいるし、民間にも「出来ない人」はたくさんいる。

公務員をフォローするわけではないけど・・・








最終更新日  2006年01月01日 23時34分28秒
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2005年12月29日
カテゴリ:書籍 三崎 亜記
「バスジャック」 三崎 亜記

バスジャック

表題作「バスジャック」を含む7つの短編集。

「となり町戦争」で一躍有名になった三崎亜記の最新作。

この人の書く作品は(少なくともこの本は)へんてこな設定に立脚しているのが特徴である。

バスジャックが流行し、「正規の」手続きを踏むことに拘るバスジャック犯やゲームに参加する感覚で半ばバスジャックを
期待しながら長距離バスに乗り込む乗客。(「バスジャック」)

赤字の動物園を救うため、自らの能力で動物を描き出す異能者。(「動物園」)

一歩間違えると出来損ないの「世にも奇妙な物語」となってしまうところを、巧くハートウォーミングな出来に仕上げていく。

一番のお気に入りは「動物園」。

カラの檻にあたかも動物が存在するかのような幻覚を見せる能力者・日野原柚月。

彼女は生きることに疑問を呈し、派遣先の動物園の老飼育員野崎に相談する。

柚月から見ると動物達は檻の中で不自由に暮らしているように見える。しかし、いざ檻がなくなったらどうすればいいのか。

人間にとっての檻とは社会であったり、所謂世間体だったりするのだと思う。

檻を出て野性に生きることも出来るが、多くの人間はそれでも檻の中で生活を続けていくのだろう。それぞれの予定調和の中で。

飼育員野崎は、その檻が必ずしも悪ではなく、柚月を守るためのものかもしれないし、柚月自身が生み出したものかもしれないと説く。

「檻」という領域は存在しないことを半ば識りつつも、檻を言い訳にして、一生その中で「自分」という動物を演じ続ける。

設定自体はへんてこなのに結構深いなぁとか思うね。







最終更新日  2005年12月29日 12時04分51秒
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