2005/12/27(火)18:29
ナオコ
いつか別れが来ることは分かっていた。
それも突然であろうと、覚悟もしていた。
ただそれが、自分のいない時に起こっただけだ。
そう分かっていても、涙が出る。
少しの後悔も心をよぎる。
自分ではどうしようも無かった事とはいえ、ずっと一緒にいたかったから。
私がバイトを始めた頃、「研ナオコに似てる」と言った事で
『ナオコ』と呼ばれるようになったキャバリア(オス)
『ナオ~』と呼び続けるうちに名前も覚え、
呼ばれると必ず尻尾を振って待つようになった。
子犬っぽい歩き方も、変な鳴き声も、
そのすべてが可愛くて、
ナオを飼いたくて飼いたくて何度も親に話したが、
どう頑張ってもうちのマンションでは犬は飼えず、
あきらめるしかなかった。
そうこうしているうちに、クリスマス。
ナオに‘家族’というプレゼントが届きました。
ただその日に私がいなかっただけで、
ナオは幸せに店を去っていった。
犬の飼える所で一人暮らしをしてでも一緒にいたいと思った。
でもそれじゃナオに寂しい思いをさせ続けることになる。
だったら、姉妹もいる家族の一員になれて、
ナオは幸せなんだ。
分かっていてもこの別れはつらい。
「また新しいキャバリアがくるよ」と言われても、
私が飼いたかったのは『キャバ』でなく『ナオ』だったんだ。
他にお気に入りの子はいるけど、
『ナオ』はあの子しかいないんだ。
もうどんなに望んでも、努力しても、『ナオ』は飼えないんだ。
どんなに可愛がっても、いつか自分の元を去る。
ペットショップとは、そういう仕事だと改めて思った。
「また連れて遊びに来ます」
ナオのお父さんになった人は、そう言ってくれたらしい。
でも、きっと、当分私は会えないと思う。
会ったらきっと、泣いてしまうから。
ナオ、幸せにね。