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スキルス胃癌 サポート

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難航する病院探し

2002年8月

レジデントの先生から紹介状とCT画像を貰い受け、病院探しが始まった。
末期の癌患者に加え、脳挫傷を負った介護認定を受けられるような寝たきりになった父を受け入れてくれる病院は、なかなか見つからなかった。

この時私は「治療」もどこかまだ、頭の中に入れていた。
だが、そんな淡い夢はことごとく、砕け散った。
病院を探しながら、わかった厳しい現実がある。
父は「介護認定を受けられるような寝たきり」という大きなハンデがあったが、実際に病院を探してみると、このハンデが無くても受け入れてくれるような病院は無いという現実を知る。
ことごとく病院に断られる・・・・この情けない思いを毎日持て余した。

ようやく個室に入る事が条件で、受け入れてくれる病院が見つかる。
個人病院だった。
認知症のお年よりが沢山入院している、言わば老人病院だ。
ここの病院には、介護認定5の祖母が時々お世話になっているので、良く知っていた。
ヘルバーさんが、食事やらオムツ交換やらせわしなく患者さんの世話をしている様を何度も見ていた。
その様は、とても人と接しているようには見えなかった。
父もあんな対応を受けるのかと思うと、どうしてもこの病院に入れるのは嫌だった。
ちょっと前まで、父は普通の人だったのだ。
毎朝晩新聞を読み、テレビゲームのマージャンに熱中し、積極的に家電製品の取り扱い説明書を読む人だったのだ。
確かに、もうそんな事は出来なくなってしまったけど、未だ私の中の父は変わっていない。
現実がどうしても受け入れられない。


もう一つ、受け入れに前向きな返事をくれた病院があった。
緩和医療を看板に上げている公立の病院だった。
だけど、ベッド待ちでいつ空くかわからないと言う。
数ヶ月先になるかもしれないらしい・・・とても待っていられない。

病院探しに難航しながらも、H病院に入院している父の元へはよく足を運んだ。
手がかかる患者となってしまったので、家族が交代で泊り込んでいた。
時折、病院側から
「病院は見つかりましたか?」と聞かれるのが辛かった。



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