胃癌にようやく新薬ハーセプチン
ようやく胃癌にも「新薬登場」となりました。胃癌に新薬って言葉は、10年前のTS-1以来じゃないでしょうか。。。10年前にTS-1を使用したいが為の苦労を思い出しますわここ10年、胃癌の治療に関わって参りましたけど、他の癌ではチラホラでてくる言葉「新薬」って、胃癌では「何それ?ドコの言葉?それ美味しいの?」みたいな?横目で大腸癌も見てきましたけど、大腸癌には、ほれオキザリプラチンだ、ほれアバスチンだ、ほれほれゼローダだと、ちょくちょく新薬が登場しているのに、なんで胃癌だけ除け者なん「あんまりじゃありませんかぁ」と思ってましたからねぇ。。。それがようやく、乳癌でその実力を発揮したハーセプチンさんが胃癌にも来て下さることにあぁ~ありがたや、ありがたや~このハーセプチンですが、使用に際して条件があります。それは事前検査で、HER2陽性患者さんにのみ適用ってこと。癌と一言で言っても、それぞれ個性がありましてね。同じ細胞じゃないんですよね。ハーセプチンという薬は、兵糧攻めが目的の治療薬なので、HER2タンパクを沢山持ち合わせている癌じゃないと効果なし。HER2タンパクってヤツがですね、癌に栄養を補給している悪いヤツって考えられてるからなんですねぇ。だから手術時もしくは内視鏡検査で胃の癌細胞を採取して、その癌のタイプを調べる必要があります。条件は「HER2過剰発現で、治癒切除不能及び、再発胃癌」の患者さんであることなんですねぇ。色々と調べたところ、胃癌の場合、このHER2陽性の癌患者さんは4~5人に1人程度の割合のようです。とは言え所詮、抗癌剤ですからね。あくまでも、癌をどれだけの期間、抑えられるかってことになります。癌が治る訳じゃないです。Toga試験によれば、手術不能もしくは、再発胃癌に関しての結果は、ガイドラインによる治療の生存中央値11ヶ月13ヶ月に向上。完全奏功(CR)と呼ばれる効き具合は、2.4%5.4%に向上。部分的に奏功が見られるのは、32.1%41.8%に向上。全体をみた場合の奏功率は34.5%47.3%に向上。となってました。これは国際的な検査結果ですんで、日本人の患者さんも含まれているようですが、殆どが欧州での結果です。例えばTS-1。これはアジア系の人種には良く効く抗癌剤ですが、欧州人にはあまり効かない。だから、このハーセプチンの数字が日本人にとってはどうなのかは、これからわかることです。ぶっちゃけて言うと、生存期間はあくまでも生きている時間であり、元気な時間ではありません。寝たきりの状態でも生存期間に入ります。癌患者さんが欲しい時間、これは癌患者さんに限らず、誰もが望むことでしょうけれど、元気な時間が欲しいはずです。その元気な時間と表現すると問題ありですが、癌患者さんの場合は癌の無憎悪期間と呼んで良いのではないかと思いますけど、これは5.5ヶ月6.7ヶ月に向上したとありました。※これらの数字は、他の抗癌剤との併用によるものですしかしながら。。。このハーセプチンが胃癌に認可が降りたのが、なんと3月10日なんです。3月10日に厚生労働省から正式に認可が降りたんですねぇ。※ハーセプチンの薬価 ハーセプチン60 23992円 ハーセプチン150 56110円この翌日にあの東北大震災でしょう。これが1日でもずれていたら、認可に「待った」がかかっていたかもしれません。ギリギリセーフのタイミングで、胃癌に新たな光が灯りました