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カテゴリ:癌告知
昨日に引き続き、癌告知に関するお話です。
癌告知と言いましても、ここではスキルスに限定してのものですが。 多くの告知パターンの一つに医師→家族→患者という流れがあります。 突然の事でご家族も動揺し、落ち込み、嘆き悲しみ、そして迷った末に本人に告げる・・・こういう事が多いです。 この時に多くのご家族は余命を告げずに全てを話す、もしくは一部を外して残りを話す・・・こういう結論に至ります。 スキルス胃癌という病気になった方が、その時点でこの病気を熟知している方などまずいません。 ドラマや有名人の話題で名前だけは知っているけれど・・・この程度です。 そして、今や癌は治る病気だという風潮もあります。 それでも、癌は癌だと落ち込み「あと何年生きられるのだろう」と、そんな思いもよぎります。 あと数年の命なのだろうか・・・そんな思いが。 知子さんも、そんな患者さんの一人でした。 全ての癌が取りきれなかったと説明を受けてはいましたが、それが何を意味するのかは理解してはいませんでした。 今後の化学療法で、良くなると思っていました。 もう長くは生きられないかもしれないと、感じていた様子でしたが、開腹時に余命半年と言われた事は知りませんでした。 私は父の時に、もっとちゃんと時間を告げるべきだったと後悔していましたので、知子さんには半年とは言わなくても、長い時間は無いという点は話すべきだと思いました。 ですが、ご主人も実姉もこれには反対で言わずにおこうと言う事になりました。 知子さんは普通の主婦です。 家計を考え、当時中3だった三男にかかるお金を考え、同居しているお姑さんへの遠慮もあり、自分のことなど二の次の人です。 入院・手術でかなりの出費もかさみました、その中で自分の事など優先するはずもありません。 行きたい所、やりたい事、会いたい人・・・あったはずです。 それとなく、薦めてみましたが 「三男が高校受験だから、来年あたりね」と笑うばかりでした。 ○○が食べたい・・・程度の事は言いましたが、それ以上の事は言いませんでした。 抗癌剤の副作用による下痢、取れない痛みで、旅行しよう!なんて気にもなれなかったのでしょうけれど。 私は今は無理してでも思いを叶えてあげる時だと、常に思っていましたので、ご主人にも実姉にも何度もお尻を叩くように薦めていました。 一度だけ、日帰りで山梨の温泉に実姉夫婦が連れて行きました。 その時に撮った知子さんの写真の明るい笑顔は、遺影となりました。 また、後日続きを お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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