2007/07/03(火)11:51
治療法が無いと言われて・・・その1の補足
昨日書いた「治療法が無い」と言われた40代女性患者さんの話の補足を。
スキルスで手術を受け、1年後に再発。
この間も再発予防の為の補助化学療法であるTS-1の服用をしていました。
それでも、残念ながら再発してしまった患者さんでした。
再発してタキソールを始め劇的に効いた訳では無いけれど、進行性の胃癌ですから進行しないという事が奏効しているとも言える訳で・・・
腹水が溜まった訳でもなく、骨に転移した訳でもなく、ただ腸閉塞の兆候が出たというだけなのに治療中止は早すぎる!!と私個人は思ったのです。
そもそも、それまでに使用した薬剤はTS-1、シスプラチン、タキソール・・・確かこれだけだったと記憶しています。
最初の主治医をとても頼りにしていて、主治医が変わる事にとても不安を感じていました。
春の定期的な移動に、たまたま彼女の主治医は当たってしまったのです。
そして、主治医が変わった途端に「治療に効果が期待できない」と言われてしまいました。
彼女にとっては、TS-1単剤でもかなりきつかったようです。
抗癌剤治療の副作用の出方は、患者さんによって大差がありますし、辛さの感じ方も人それぞれで基準などありませんが、彼女にとっては辛い治療でした。
だから開放されたかったのでしょう。
ここまでの経緯に到るまで、彼女との間には友情が芽生えていましたし、私自身もまだ頑張って欲しいと願った、彼女の周りにいる人の一人でした。
それでも、あの時の彼女には「頑張れ」は言えませんでした。
でも、結果的に「頑張れ」を言えなかった私が治療再開に向けて背中を押した形になりました。
その後の経過は昨日書きました。
緩和ケアをお願いした小さな内科だけの病院から、外科がある病院に転院したのです。
奮起して再開した化学療法は、特別な治療ではありません。
タキソールを再開し、その後はCPT11へと移りました。
治療の辛さも増していったけれど、辛さを知ったゆえに得た幸せがあり、そして悟りの境地さえ開いた彼女でした。