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カテゴリ:癌告知
もう何ヶ月も前の話なのですが・・・
(ひょっとして、過去に書いたかも?です) スキルス胃癌の末期と言える状態の患者さん(60代・女性)の娘さんから相談メールが届きました。 一縷の望みを・・・という思いを持ちながらも、もう、どうする事も出来ない状態である事もわかっておられ、言うならば、私から最終通告を受けて納得したい・・・という風な思いを感じ取りました。 何度かメールのやり取りがあった後、訃報の報告が届きました。 この娘さんは、何年か前に自営業者の父親を亡くしていました。 突然倒れ、それから間もなく亡くなったそうで・・・ 自営業の社長さんという立場柄、他界直後から、この娘さんは母親と一緒に、それはそれは大変な思いをしたそうです。 泣くヒマもなく、とにかく慌しい日々が続いたそうです。 ようやく落ち着いた頃、母親が もし、私がこれから死ぬような病気になったら、必ず、真実を話して頂戴 残した人に、こんな大変な思いはさせたくないから と娘さんに言ったそうです。 残した人へ負担をかけたくないという思いと、ご自分自身が残したい思いやら、やっておきたい事やらを考えたのでしょう。 それから時間が経って、この母親がスキルス胃癌である事が判明しました。 娘さんは、以前言われていた通りに、包み隠さず真実を伝えたそうです。 現代で癌治療を受けるに当たり、患者さん本人が、「真実を知る権利がある」 というより、「知る義務がある」 と言えます。 その上で治療の選択が許されるとでも申しましょうか・・・ 時代は変わって「知る権利」から、今は「知る義務」 となったように思います。 真実を告知された母親は淡々と聞いていたと言います。 治療も前向きに受けていたようです。 ですが病状は進み、治療が出来ない状態となり、少しでも自宅で過ごせるようにと工夫された生活に切り替わりました。 そんな生活の中、 本当のことなんて、知らなきゃ良かった と呟いたのが聞こえた娘さんは、そうとう落ち込んだそうで・・・ ご本人が、「必ず言ってね」 って言っていたから、言ったのに、「知らなきゃ良かった」と言われてしまったんです。 元気な時と、実際に癌になった時では「違う」のだけれど、言わなければ言わなかったで、きっと後悔したでしょう。 真実は時に残酷で、嘘は時に希望になるけれど、嘘が更なる残酷を招くこともあり。。。 何が正解とは言えないけれど、患者さんが背負いきれない重荷はご家族が背負う・・・ これが癌という病気なんじゃないかと・・・ その荷物は、時として患者さんが旅立った後に、ご家族が背負わねばならないモノかもしれないけれど。。。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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