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カテゴリ:「心もよう」今昔(詩歌)
金子みすヾという詩人がいたという話をはじめて聞いたのは恥ずかしながら数年前の居酒屋でのことだ。友人を「いい年こいて何で」と思ったのであるが、「自分の心に透徹した感性を呼び起こしなんともすばらしい世界を、否自分が表現したかった世界をものの見事に表現してくれているんだよ」と情感込めて私に迫ったのだ。そのときの詩がこれだ。
「大漁」 朝焼け小焼だ 大漁だ 大羽艦の 大漁だ。 浜は祭りの ようだけど 海のなかでは 何万の 鰮のとむらい するだろう その客観性或いは対峙するものへの問いかけと同時に見つめる主観的な思い、それらは詩人金子みすヾの胎内で宇宙生命の次元から地球を見渡し愛と慈しみを端的に表現する。 確かに友人のその時の思いがよく解る詩である。「生あるもの・ないもの」の区別なく森羅万象に人間の智慧を与え、あまりにも穏やかに公平・平等の視点から頑ななまでに澄んだ瞳を貫き通す。ここまできれいな命に遇ったことはない。その輝きは、時の壁を透過して普遍のパワーを持つ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2012.10.18 21:02:44
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