MUSUPERUHEIMU

MUSUPERUHEIMU

PSO創作小説

第2部『ソードダンサーインザダーク』


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今から24年前、この星で大きな大戦があった
数えきれぬ人が犠牲になり、大地の傷つき
残された人が住める貴重な土地に人々が溢れていた
そんな折、無人探査機により発見された惑星ラグオルへの
大規模移民計画『パイオニア計画』が発案され実行される

母星コーラルから最初に出発したパイオニア1が
ラグオルに到着して7年、パイオニア1からの招聘を受け
本格的な第2移民船『パイオニア2』が惑星ラグオルに向けて
出航の準備が始まったがそれを妨害する組織が現れた…


(イメージのため一部、地名は地球の物です)


≪1部のあらすじ≫

軍の監視下に置かれていたアンドロイドのスルトは軍の命令で
ハンターズギルドへの監察官として極東ギルドのとある部署に所属していた
ある時、軍から依頼された任務から帰らぬ兄の捜索を頼む少女の依頼で
K地区にある閉鎖された鉱山へと訪れた

同時期、ギルドで仕事を受けていたユキとピノコのコンビも
行方不明の捜索でK地区へと来ており
その数時間後、総督府保安部からミフネ・アミの両名も
後を追うようにK地区の軍施設へと入っていった

その施設は鉱山の地下に広がる軍研究所への入口になっており
研究所では大戦中に閉鎖された20年前まで
ヒューマン、ニューマン、アンドロイドの強化実験が行われていた

その確保に来ていた所属不明の軍特殊部隊とそれに同行していた
ハンターズ達はハイニューマンと思われる少女に返り討ちにあう

なんとか目的の人物を見つけたスルトだったがそこに
大戦中最強の反政府組織『アークズ』の幹部の一人
アヌビスが現れ強化ヒューマン『ベルセルク』を触媒とした
ダークドラゴン『ニーズホッグ』の幼体を外へ連れ出そうとする

スルトはアヌビスを退けニーズホッグの体内から
カオスエメラルドを取り出すがもうひとつのカオスエメラルドが
ニーズホッグを再生させ海へと逃げられてしまう…



一部エピローグ&二部プロローグ


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 「それで?」

 「アークズが用意した異形は海へと逃げたようです」

 「なにそれ?結局阻止失敗って事?」

 「いえエメラルドの一つは『魔王』が奪った模様です」

 「ハンプティダンプティの方は~?」

 「ハンプティ…?ああDrエッグマンの事ですか失敗したようですね」

 「折角エメラルドの位置教えてあげたのに~ダッサ~イ」

 「社長が情報を出し惜しみするからですよ」

 「だってあの卵親父、からかうの楽しいんだも~ん♪」

 「結局アークズへの確実な報復は失敗ですか」

 「そうでもないわよ色々な人が掻き回して
  連中には痛手になったでしょーしねー」

 「ではまだ利用するので?」

 「まぁ色々とそれはおいおい考えてからにするわチェシャ」

 「……社長、私の名前はチェルシーです」


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K地区の事件の後、俺は軍の命令でラボに召喚されていた
…おそらくあの軍施設研究所の事で問われるのだろうが…

 「スカイリー特佐!どうぞ此方へ」

ラボの男性職員に先導され俺は一つの部屋に通される
入口にはチーフルームと書かれていた

 「主任、スカイリー特佐を御連れしました」

 「御苦労だった持ち場に戻ってくれ」

 「はい」

・・・・シュィーン・・・

案内をしてくれた職員が退室し自動扉が閉まる

 「ようこそスルト・スカイリー」

部屋の奥の端末に囲まれた椅子に一人の女性が座っていた

 「すまないがそこにでも掛けて待っていてくれ」

女性はこちらに顔も向けず一瞬そこにある
質の良いソファを指差すがすぐに手を端末に戻す
俺は座る事に執着はなかったが勧められた事もありソファに腰を下ろした

・・・・ピッピッ・・・・ピッピッピッ・・・・

室内に端末を操作する音が響く

・・・・ピー・・・・・・

少し大きめ音が鳴り、端末に浮かび上がっていた
立体映像のウインドウが次々と閉じられていく

 「此方から呼び出しておいて待たせてすまなかった
  パイオニア2ラボ主任ナターシャ・ミラローズだ」

此方に体を向け女性…ナターシャ女史は謝罪と自己紹介をする

 「…いや構わん…軍監察官代理スルト・スカイリーだ…」

俺の言葉に一瞬、気を削がれた顔をしたがすぐに苦笑し

 「なるほど、聞いていたとおり君は誰に対してもその口調なのだな?」

 「…気に障るか…?」

 「構わんよ、君の言動は不敬と言うのとは違うからな」

そう言いナターシャ女史は軽くモノクルを直す

 「さて今回君に来てもらったのは単刀直入に言うと辞令だ」

 「…辞令…?」

 「そう軍からの出向ではなくラボの直轄に入ってもらう」

 「……質問して構わんか…?」

 「なんだ?」

 「…俺は一応罪人として軍の管理下に居る筈だが…?」

 「監視ではなく管理とはいい得て妙だな
  …だが君の罪など実際は無いに等しいのだよ
  残りは軍の面子なだけだ、軍は君の戦闘能力を
  武器を取り上げて削いだつもりかもしれんが
  焼け石に水だったようだ例の施設では
  大活躍だったそうだな?」

 「…結局は出し抜かれている…」

 「謙遜する事はない、あの状況では充分以上の働きだ」

 「……」

 (…あの状況…?)

この女史…言葉に見え隠れするモノを含ませて何を考えている

 「おや?驚かせてしまったか?何、別に大したカラクリではない
  あそこには私の部下も居合わせていて一部始終を
  見ていたというわけだ、その部下が君をえらく評価しててね
  是非、うち(ラボ)に呼びたいと『強く』勧めてきてね」

 「……」

彼女の言動に嘘は感じない…だが彼女は自分の部下とは
言ったがラボの者があそこに居たとは到底思えん

 「それにもう一つの理由は君はラボ関係に知人が居るだろう?」

……それがあったか……

 「本人は遥か遠く惑星ラグオルだが君も
  少しは彼女の専門を知っているのだろう?
  私はそれにも少し期待している
  さて私からの話は以上だ、
  異動の書類はこちらが全てやろう
  細かい事は後日補佐官にでも聞いてくれたまえ」

今日の所は此処までという感じを受けた
だが確かに俺もこれ以上話す事は『今は』無かった

 「…承知した…」

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・・・・・シュィーン・・・・・・・・・

俺はチーフルームから出てラボの廊下を歩きながら出口を目指す

 (…あの闇の異形ははやはり彼女の言っていたモノだったか…)

俺は遠い星に行ってしまった友人の言葉を思い出す

 (…この星には宇宙(ソラ)からの落とし子がいる…と…)

俺が考え事しながら歩いている時

 「やっ又、逢ったわねスルト」

後ろから突然声を掛けられる

 「…汝か…」

振り返るとそこには一人のハニュエール……スゥが居た

 「あれ?あまり驚かないのね?」

 「…部下かどうかは知らないがナターシャ女史に
  今回の詳細を説明したと言うのは汝であろう…?」

 「…あの女どこまで喋ったの?」

 「…部下が俺の事を『強く』推薦したと言っていたが…」

 「…(怒)…あの女狐め、あたしは推薦なんか
  した覚えなんか無いわよ」

 「…だろうな…」

俺はそう呟きながらラボの廊下をスゥと並んで歩きだす

 「へぇ…?信じてくれるんだ?」

 「…そうだな…」

 「あら…嬉しい事、言ってくれるじゃない♪」

 「…待ち伏せていたようだが俺になにか用か…?」

 「キミに逢いたかったからとか言ったら喜んでくれるかしら?」

 「…アンドロイドがか…?」

 「クールなお答えありがとうw…まぁね挨拶ってとこよ
  この先同じ仕事で組むかもしれないじゃない?」

 「…そうか…」

 「…後悔してる?」

 「…いや…」

 「そう……まぁとりあえずはこれからもよろしくねスルト?」

 「…よろしく…」


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・・・・・カチャカチャカチャ・・・・・・・・

 「…と言う訳で今回、K地区を襲撃したのは…」

 「あっこらアミ一人で炒飯を全部食べるんじゃないぞ」

 「おそらくアークズの残党と思われます…」

 「だったらリチャもその餃子よこせよ」

 「…なおブラックペーパーの者も見かけましたが…」

 「俺は餃子、お前は焼売だろう?」

 「…今回の事件には直接は関係ないと思われます」

 「あに言ってんだリチャさっき俺の焼売喰っただろうが」

 「一応、確認はしますがおそらく何も出てこないでしょう」

 「…ちっ気付いていたかバカバカ食っているから
  気付かんと思ったんだがなぁ」

 「後、保安部の者を眠らせたのはやはりハンターズだった様です」

 「ふっ・・・あめぇぜリチャ、単に無作為に食べているように見えても
  俺はちゃんと見ているぜ」

 「その辺はジムの方から報告書がくると思います」

 「しかし最近またここの味があがったよな?焼売も美味かったし」

 「企業の方から依頼されて正式に許可をもらった
  レンジャーもいましたが」

 「そうそう日々精進してるって言ってたぜ、まさに料理人の鑑」

 「その彼女の話ではここ最近の兵器企業襲撃は
  おそらくアークズのようです」

 「本店にも直接食事に行きたいなぁ」

 「アークズに関しては企業、軍、ハンターズ、政府、が
  合同で対策に当たる事になりました」

 「おぅ今度みんなで横浜中華街行こうぜ」

 「あと未確認ですが…」

 「それならついでにラーメン博物館も行きたいな」

 (…ブチッ…!)

・・・・ドンッ!!!

あたしは力任せに目の前の机を叩いた
それと共に机の上に乗っていた料理が軽く浮く
リチャードとアミが驚いたようにこっちに顔を向けた

 「どうしたミフネ?」

 「春巻ならちゃんと残してるぜ?」

二人の手には秋子飯店と書かれた
デリバリー用の箱型の容器があった

 「…話ちゃんと聞いてたか?(怒)」

怒りで震える声であたしが呟くと

 「ああ聞いてたさ」

 「企業と軍とハンターズと政府がみんなでラー博行くんだろう?」

・・・キンッ・・・・!!

強烈な金属音が響き

・・・・・ガタンッ!

目の前の机が真っ二つに両断される

 「おいおい端末も兼ねた机を斬るなよ」

 「あぶねぇな食いモン落とすとこだっだぜ
  もったいないお化けが出るぞ」

崩れ落ちる寸前リチャードとアミは机の上の料理を全て退かしていた

 「…自分達の心配でもしろ!」

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・・・・・シュィーン・・・・・

 「失礼します報告書持って・・・・え?」

 「おっジムじゃんか、まっ入れや」

報告書を持って部屋に入ってきたジムが見たものは

 「この事態にお前は責任者としての自覚はないのか!」

 「まったりしてただけじゃないか」

 「まったりしている場合か!!」

 「おじさん久し振りに体動かしてちょっと疲れたんだよ
  いわゆる小休止ブレイクタイム」

 「それなりの誠意をみせろっっ!!」

・・・・キンッ!キンッ!キンッ!

あたしが振り回す刀を受け流すリチャードの図だった

 「パイオニア2を攻められたんだぞ?
  危機感と言うものはないのか!!」

 「パイオニア2には軍と一緒に雑賀衆も守りについているから
  すぐには奴らも手はだせんさ」

 「元を断つ事を考えろ!!」

事態が把握できず、きょとんとした顔のジムにアミが声を掛ける

 「まぁしばらくは二人も手を離せねーだろうし俺が受け取っとくぜ」

アミはジムの手から報告書の入ったディスクを抜き取る

 「冷えると勿体ねぇしお前食っていいぞ」

替わりにアミは持っていた料理の箱の一つを渡す
ジムが呆然としながらもそれを覗いてみるとそれは

 「春巻・・・ですか?」


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