MUSUPERUHEIMU

MUSUPERUHEIMU

第8話

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 「…ふぅ…」

僕は胸を撫で下ろしながら軍基地への道を歩いていた

 「フレイア、食後だったら普通お腹をさするんじゃない?」

横を歩いていた叔母がそんな事を言ってくる

 「…シルヴィおねーさん僕はお腹膨れた行為に
  間違えても胸は撫で下ろしませんて…
  僕が胸を撫で下ろしたのはあの保安部の
  人に見つからなかくて良かったと思ったからですよ」

僕の言葉を聞いた叔母は突然、神妙な顔で僕の肩をぽんっと叩き

 「フレイア…オネエサマに正直に言ったんさい…
  新撰組に睨まれるような事したのならしたと…!」

 「コラコラコラコラ!違いますってコレですよコレ!」

僕は不可視の左腕の篭手を指差す


コラコラコラ
 『正直に言ったんさい…』
 『コラコラコラコラ!』



 「あの御侍さんの刀に反応しちゃってたんですよ…」

赤毛のハニュエールの人にひきあいに出されていた
男の人には悪いけど、あの騒ぎのおかげで
侍の人は僕には気付かなかったんだと思う

 「あ~あの女侍の刀か確かにあれは業物だったわね
  つくりは顎門だったけど…でも見た事の無い
  顎門だったわねぇ…?」

そう言いシルヴィおねーさんは首を傾げ考え込む

 「おねーさんさりげなく鑑定眼を自慢してませんか?」

おねーさんはニヤッと笑い

 「やっぱわかる?」

そうして僕達は目的の場所、横須賀ベースへと到着した

 「わぁ…」

入口のゲートを見上げ僕は感嘆の声を漏らす

 「…おっきい基地だなぁ」

昨夜僕が居た基地よりかなり立派なゲートだ
この様子じゃ施設内のセキュリティも尋常じゃないと思う

 「そりゃあね軍のみにならず自衛隊も居るからね」

 「自衛隊?軍とは違うの?」

 「軍というと国連軍でしょ?自衛隊はこの国だけの防衛組織よ
  正式名称は武神衆、原型はいくつもの屈強なハンターズチームが
  集まった武闘派連合だけどね」

 「えっ…(汗)」

聞き覚えのある名前に思わず聞き返してしまう

 「それって基本的には徒手空拳で『気』を使うって言う…?」

 「そうそう♪」

 「おい其処のニューマン二人!」

突然大きな声が聞こえてきた

 「何をウロウロしている!ここは軍の施設だぞ!」

声のする方を見れば軍人が一人
こちらへ近づいてきながら僕らを怒鳴りつけてくる

 「あれは普通の軍人?」

 「そーねフォトンライフル持ってるし」

 「おい!聞いているのか!?」

 「あの~僕、事情聴取に呼ばれたハンターズなんですけど」

ぷりぷりと怒る軍人に僕はそう説明するが

 「駄目だ今日は、さる要人が来ておられる
  ニューマンなど入れるわけにはいかんな!」

 「なっ!?」

要人云々と言うのはともかくニューマンだからと
否定され僕は怒りを感じ

 「そんな…!」

文句を言おうとしたその瞬間

 「待てよ、その子はそのお偉方に呼ばれているんだ入れてやれよ」

僕の言葉を遮る声が響く

 「なんだと!?」

軍人がその声に振り返るとそこには

 「きさっ…いや貴方は」

真っ白なヒュ-マーの服に身を包んだ赤毛の男性が立っていた

 「「ホルスさん!ホルス?」」

僕とシルヴィおねーさんの声がハモった

 「俺の言葉じゃ信用が出来無いか?」

 「い…いえ…」

 「じゃぁ通らせてもらうぞフレイア、シルヴィこっちだついてきな」

ホルスさんは僕達に向かって人差し指を曲げ、招くように動かす
そうして僕達はホルスさんに従い基地の中へと入っていった

 「ホルスさんお久しぶりです」

 「ああ久しぶりだなフレイア大きく…もなってないかw」

 「…どうせ僕は相変らず小さいままですよー」

 「悪い悪いw」

…どーせ…
 『…どうせ僕は相変らず小さいままですよー』
 『悪い悪いw』



ホルスさんは僕の父さんの弟子で僕の剣の師匠でもある人だ
もっともシルヴィおねーさんに言わせれば自称弟子だったらしいけどw
今はEUにある由緒ある騎士団のひとつ
『ナイツ オブ クラッシュドーン』(闇砕く明光騎士団)
の騎士団長をしている

 「でもどうして此処に?」

 「どうせ騎士団を首にでもなったんじゃないの?」

僕の質問におねーさんが厳しいツッコミを入れてくる

 「あいかわらずシルヴィはキツイ事言うなぁ」

ホルスさんは苦笑しながらおねーさんの言葉を流す

 「昨夜のフレイアの事件を含め今回の一連のテロに対して
  軍と政府、そして企業、ハンターズが合同で対策にあたるんだ」

そうか…さっきの武神衆みたいに騎士団は宮仕えだし
統合軍とは別のその国の政府の武力と言う事なのか……

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――横須賀基地――

俺は基地の廊下を歩いていた

 (…秋子には迷惑を掛けてしまったな…)

先刻の秋子飯店の騒ぎを思い出し俺は俯く

 (…しかし保安部の連中と対立している所をみると…
  …スゥ達は組織的にかなり強いようだな…
  …あのナターシャ・ミラローズも関係があるのだろうが…)

俺はそのナターシャ女史に言われ
軍の下で研究しているある博士の所へ来ている
前を見ればその博士の助手のシモンズという
青年が道案内をかってくれた

 「あっこちらです」

・・・シュィーン・・・

ひとつの部屋の前で立ち止まり自動扉が横へずれていく

 「博士?例のスルトさんをお連れしましたよ?博士?
  ・・・・あれ?又どこか行っているのかなぁ?
  すいません少し待ってていただけますか?
  ちょっと博士探してきますので」

 「…ああ…承知した…」

・・・・シュィーン・・・・

シモンズは再び自動扉をくぐり部屋の外へと出て行った
そうして俺はしばらく其処に立っていたが…ふと

 『誰か其処にイルノ…?ハカセ?エルノア?シモンズさん?』

そんな声が部屋の奥から聞こえてきた

 「…いや…此方に用があって来た者だ…此処まではシモンズが
  案内してくれたが今は博士を探しに行っている…」

 『あら…お客さまなんて珍しい…声だけで失礼します
  始めましてワタシ、ウルト・カミュエルといいます』

 「…スルト・スカイリーだ…」



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