MUSUPERUHEIMU

MUSUPERUHEIMU

第9話

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・・・・シュィーン・・・・

 「やぁやぁ待たせてしまってすまないね!」

自動扉が開き入って来た人物の開口一番はその言葉だった

 「やぁキミがスルト君だね?始めまして
  僕の名はジャンカルロ・モンターギュ宜しく頼むよ」

フォニュームの姿の人物はそう名乗った

 「…宜しく…」

俺は簡単に挨拶を返し頭を下げる

 「…それでドクター俺が受け取る物とは…?」

 「おやいきなりかい?ああドクターなんて堅苦しい呼び方で
  なくていいジャンとでも呼んでくれよ、でもせわしいねぇ
  トークでも交えつつ渡そうと思ってたんだけど」

 「…話なら…」

俺は視線を部屋の奥を向ける

 「…彼女が相手になってくれた…」

 「ウルトと?いやぁそれはありがとう彼女は他の人と
  会話出来る機会なんてまずなくてね
  良かったねウルト?」

 『ハイ、ハカセ』

 「それじゃ僕も渡す物渡さないとね」

そう言ってジャンは部屋の奥に入っていくき
しばらくすると赤いキューブを持って帰ってきた

 「キミの所のボスに頼まれたのはこれだよスルト君」

ジャンは俺にその赤いレアキューブを渡してくれる

 「一度中身見てもらった方がいいかな?
  ソードタイプの武器なので開く時に気をつけてくれ」

 「…承知した…」

・・・ポゥン・・・・

手の中の赤いキューブが変化し二又の黒い大剣が現れた

 「…これは…」

 「スルト君は似たようなモノを見たことあるんじゃないかな?」

 「…あの施設で遭遇した人馬の異形の右腕に似ているな…」

 「それは軍がダークブリンガーと名付けた異形の腕でね
  前大戦の最終決戦地に飛来してきた隕石の落下地点から
  発見された物を元に僕が加工したのさ」

 「…名付けた…?」

ジャンは俺に近づき口を手で隠し俺に囁いた

 (余り詳しい事は口止めされてるから言えないけどね
  ようするに君の見たものと極めて近いモノは
  十数年前にも存在したということさ)

 「…そうか…」

俺はもう一度その剣を眺めてみる
あのK地区の軍施設で見かけた異形の腕とは違うのは
剣先の形と剣の色…そして二又に割れた剣の腹
それぞれにに金色のルーン文字が刻まれている事だ

 「それは軍に頼まれて僕が加工したんだけどね
  軍に扱える者が居なかったんだよ」

 「…扱えないとは…?」

 「この大剣は意思があるんだよ
  僕が細工してマグと融合させたのさ
  装備する事でポテシャルが解放されるんだ
  でもねぇ剣が言う事聞かなくてねぇ
  それどころか勝手に動いて持ち主すら傷付けてしまうのさ」
  まぁそんな物だからキミに持たせてもいいと
  許可が出たんだろうけど」

 「…そうか…」

・・・・ポゥン・・・・・・

俺は大剣を再び赤いキューブに戻した

 「ちなみに作者と言う事で命名させてもらうと
  その剣の名前はストームブリンガーだよ
  いい名前だと思わないかい?」

 (…ストームブリンガー…『嵐を運ぶ者』か…)

 「…承知した…」

俺はキューブをしまい

 「…確かに受け取った礼を云う…」

 「いや礼には及ばないよ」

そして俺が部屋を出て行こうとすると

 「ああすまないコレを忘れてた」

ジャンはそう言うと俺に向かって
もう一つ赤いレアキューブを差し出した

 「こっちはある人物からキミへの餞別だよ」

 「…ある人物…?」

 「いや僕がちょっと頼み事した相手なんだけどね
  報酬代わりにコレをキミに渡してくれってね」

そのキューブを見るとそれにはモーンブレイドと名前があった

 「…礼を云う…」

 「いやいや僕はたしたことはしてないさ
  本人に言って上げるといいよ」

 「…そのつもりだ…」

そして今度こそ部屋を出て行こうとする俺の背中に

 「誰だか聞かないのかい?」

ジャンはそう声を掛けるが

 「……察しはつく…」

俺はそう答えた

 「…世話になったなジャン…ウルト…元気でな…又、逢おう…」

 『ハイ、スルトさんも御元気で』

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俺が去った部屋でジャンは部屋の奥に声を掛ける

 「ウルト彼とはどんな話をしたんだい?楽しかったかい?」

 『ハイ、色々お喋りしてくれました……とてもタノシカッタデス』

奥からはそう明るい声が返ってきた



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