MUSUPERUHEIMU

MUSUPERUHEIMU

第19話

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 「爆誕!!」

・・・ゴォォン・・・!!

シルヴィおねーさんのラフォイエが行く手の通路を塞ぐ
黒いシノワビート達に炸裂する

 「邪魔よ!」

ラフォイエで出来た粉塵が収まらない中を
おねーさんは突っ込んでいく

 「ちょっ…ちょっとおねーさん!」

・・・ガシャン!

 「!?」

慌ててその後を追おうとする僕の前に
再び黒いシノワビートが遮り攻撃を繰り出してきた

・・・ギィィン!

シノワビートの攻撃を僕は左手の篭手の魔方陣で防ぐ

・・・ジャキン!

僕の戦闘意思に反応してフォトンブレイドの刃が起きる

 「せいっ!」

・・・ヴォン!

・・・ガシャ・・・!

シノワビートは僕の反撃を後に飛び避けるが

 「焔(ほむら)!」

・・・ボォン!!

僕の出した追撃のフォイエがシノワの胸板に炸裂する

・・・ガッ・・・!

僕はそのまま前に飛び出しながら足元に転がる鉄の破片
おねーさんが破壊したシノワビートの残骸を蹴り上げた

・・・・ガシッ・・・!

 「はあっ!」

宙に浮いた破片を手に掴み意識を集中させる

・・・ボゥン・・・・・ビシュゥン!!

破片を掴む手の周りに錬成陣が浮かび上がり
手の中の残骸は一本の鉄の棒へと形を変えた

 「閃迅連撃!!」

・・・ガァン!ガン!ガガガガァン!!

高速に回転させた鉄棒でシノワビートを激しく連打した

・・・バチ・・・バチバチバチ・・・・ガァァァン!!

火花を起こした後シノワビートは砕け散った

 「ふぅ…久し振りだけど上手く錬成できてよかったぁ」

僕は手の中の鉄の棒を見つめそう呟いた

 「障害も倒したしおねーさんの後を追わなきゃね」

だが僕がそう口にした瞬間ふと気がついた事があった

 「あれ…?」

元々この通路を塞いでいたシノワビートは4~5体いたが…

 「2体しか無い…?」

足元に転がる残骸はどう見ても2体分しか見当たらなかった
おねーさんのラフォイエは確実に3~4体は破壊したはずだ

 「一体これは…」

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 「見渡すがきりに黒いわ」

基地内の監視塔の上から見下ろしながらスゥはそう呟いた

 「アークズもセコイ真似するものね」

 『…何がだ』

スゥの背後に居た紫色のヒュ-キャストは
その言葉の意味を聞いてきた

 「この光景よ旦那、外部からこんな大量のシノワビートを
  この短時間で送りこめる訳無いじゃない
  施設内の軍用のトランスポーターでもこんな数は無理よ」

 『…それで?』

 「この前K地区で遭遇したアークズにウェアDビーストが居たの
  ようするにあのシノワ達は半分くらいが幻術なのよ
  それくらいなら考えられる数だしね」

 『フン…くだらんな』

 「あたしもそう思うわ、わざわざノーマルのシノワビートに
  光学屈折用の特殊な塗装してるしね
  まっそれでも無能な軍人共には…」

 『十分通用するという事か』

 「そう軍の下の連中はこんな機密扱いの
  カラクリ知るわけも無いわ」

 『そんな事よりもターゲットは見つかったのか?』

 「せっかちねぇ…まぁちょっと聞いてみるわ」

スゥは左腕の通信機を操作する

 「まったく連中の妨害電波のせいで
  バースト通信しか出来ないなんてね」

・・・ピッ・・・ガガ-・・・ヴォォン・・・

 『あっアネさんですかい?』

 「連中は見つかった?」

 『基地内のカメラは軒並み壊されていたんで
  結局手分けして探している途中なんですがね
  一人らしい奴を見つけた奴がいますぜ』

 『…何処だ』

 『うおっ・・・キリークの旦那も其処にいたんですかい(冷汗)
  ・・・ええとですねそっから見えるというか判ると思うんですが
  東地区第23フィールドのギャランゾ部隊の所です
  派手にミサイル飛んでいるって言ってましたから目立つと
  思うんすが・・・』

 「ああ…あそこね確かによく見えてるわ」

スゥが見た方向には緑色の固まりと共に
いくつもの爆発が起きているのが見えた

 『アークズの連中とは関係ないとは思うんですが
  軍服着たパンク頭のニューマンの女と
  なんか馬鹿デカイ鉄の大剣持ったジジイが居たらしいですよ』

 「軍人にニューマンがいる訳無いし…
  鉄の大剣?ラストサバイバー?」

 『いえ俺もそう思ったんですがもっとデカイ剣らしいです』

 「どっちも何者かしらね?ねぇ旦那…って」

スゥがキリークと呼ばれたヒュ-キャストの方を向くと…

 『…ククク』

 「だっ…旦那何笑っているのよ」

 『…死にぞこないがよくやる』

 「え?」

 『スゥ其処には俺が行かせてもらうぞ』

 「いや旦那それは構わないけど…退屈してたから言うと思ったし」

 『…ククク』

キリークは笑いながら下に降りる転送装置に入っていった

 「…一体何なのかしら?」

 『あっそういやアネさん』

今だ繋がっていた通信からスゥを呼ぶ声が聞こえてくる

 「ん?なによ?」

 『アネさんの彼氏WORKSの『弾丸』とやりあってるらしいですよ』

 「ええっ!?」

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・・・シュィーン・・・・

大きな自動扉を通って僕は施設から屋外へ出た

 「さておねーさんは何処へ行ったのかな?」

僕は辺りを見渡すが軍の人達と黒いシノワビートとの
戦闘繰り広げているのしか見当たらなかった
…いやよく見ると素手でシノワと闘っている人達もいたが

 「あれが武神衆か…」

成る程、伊達に元極東最強のハンターズチーム名乗るだけはある
…まっそれはともかく

 「まいったなぁ…通信機もマップレーダーも通じないし
  どうやって探そうか…」

僕が探す方法に困っていたその時

 「お~いドノフさん聞こえたら返事してくれ」

大きな声を上げながら近づいてくる男の人の声が聞こえてきた
その声の聞こえてくる方を見るとそこにはツインブランドを持った
オレンジカラーのヒュ-マーの服を着た男の人が居た

 (あれ?あの人…)

僕がその人に見覚えがあるような気がしていると

 「ん?あれキミは…」

僕の視線に気がついたのかこちらに近づいて来た

 「ああやっぱり昨夜俺を病院へ運んでくれた子じゃないか
  まともに礼も言えず悪いと思ってたんだ…すまない」

ああ思ったとおり昨夜、僕と同じ基地で警備してた人だ
中央施設を破壊された後、僕が生存者を探していた時に
負傷して倒れていたんで病院に連れて行ったんだ

 「昨夜は仕方なかったですよ怪我の方は大丈夫ですか?」

 「ああもうすっかり平気さ、ありがとな」

 「いえいえ」

 「…そう言えばキミが昨夜の三本角の敵を退けたって聞いたが?」

 「あれはおとりだったみたいだったから退けた訳じゃ…」

 「でも張り合っていたんだろう?小さいのに凄いな!」

 「ちっ…小さい…」

 「あっ…御免悪気があった訳じゃないんだ…ほんとすまない」

ショックが顔に出ていたのか彼は突然謝りだした

 「いや…いいです」

そうは言ったものやっぱりちょっとショックだった

 「え~と…あのな…あっそうだ名前名乗って無かったよな
  俺はアッシュ=カナンって言うんだキミは?」

 「僕はフレイアです」

 「…いい名前だな…あっ別に誤魔化してる訳じゃないぜ?」

 「ぷっ…あははホントに誤魔化してませんか?」

でも名前を褒められた事はちょっと嬉しかった
…僕も現金かな?


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