MUSUPERUHEIMU

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第24話

・・・キィン!

ゾークの鋭い斬撃を化物は蟹の爪のような腕で受け流した

・・・ガッ!

そしてそのまま化物は後へと飛び退いた・・・が

 『ムッ!?』

化物に張り付くようにゾークは間合を詰める

 「…破ァァ…!」

・・・キィン!キィン!キィン!!

ゾークの両手の刀が流れるように舞い化物を斬り付けていく

・・・ガキィ!キィン!ガキィン!!

化物は腕で二度三度とそれを弾くが

・・・ズバァ!!

・・・ブシュゥゥー!!

捌ききれずに化物の左腕が紫の血を撒き散らし宙を舞う

 『フむ…』

化物は失った左腕を見ながら呟く

 『たダの鉄ノかタまりデPアーむずノ甲殻ヲたツとはナ』

そして化物は爬虫類のような瞳をこちらへと向き

 『ナらバしュこウヲカエるトしヨウ』

そう口にすると

・・・バシュゥゥン・・・!!

突然、斬り落とされ床に落ちていた化物の左腕が爆ぜた

 「……赤兎…!」

その現象を見た途端アタシは小さな声である名前を呟いた

・・・バショォォォオン・・・・

爆ぜた腕が巨大化し

 『Kisyaaaaaaaaaa!!!』

肉食系昆虫と巨大な花を融合させた様な生物に姿を変えた

 「道を塞ぐか……だが」

・・・キンッ・・・!

ゾークは両手の刀を十字に組み合わせ構える

 「…逃さん!」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ゾークとの間を完全に遮った巨大な生物を見つめ

 『マだイまノ能力デハかテヌ…ヨそデ餌ヲクらウとスるカ』

そう言って化物はこの場から去ろうとしたが

 「そう慌てる事も無いだろう?」

 『!?ッ』

・・・ビシュゥン!ビシュゥン!!

アタシの至近距離のヴァリスタの銃声が響き
化物の両膝を撃ち抜いた

・・・ブシュゥゥ!!

紫色の血が噴き出し化物は倒れさえしなかったが
足をガタガタと震わせ驚きで見開いた瞳をアタシに向けた

 『オまエいツノま二…?』

 「普通豪刀相手なら逃げた方が利口ってもんだからね
  おたくの左腕が変化し始めた時に回り込んだのさ」

 『らいカンすろープでモナいオまエが
  ソんナすピーどでウゴけるハずが…』

それはアタシの背後に浮かんでいる赤い物体の所為だ
会社から渡された特殊マグ『赤兎馬』
(アタシは赤兎(せきと)と呼んでいるが)
アポカリプスナイツの4人は全員通称騎馬と呼ばれる
特殊マグを連れていてそれ故にライダーという肩書きが付く
通常のマグには無いゼロシフト能力があり
直線でなら驚異のスピードで間合を詰める事ができる
もっともその中でもアタシのは特製なのだが…

 『おノれ』

化物が残る右腕での刃でアタシに斬りかかってきた

・・・ビシュゥン!ビシュゥン!!

 「アタシの方が早い」

化物の攻撃より先にアタシは化物の右肩と右肘を撃ち抜き
そして続けざまに

・・・ガッ!

相手の頭に回し蹴りを放ち

・・・ドガガガガァ!!

連続して数発の蹴りを化物に一瞬で打ち込む

・・・ガァァン!!

化物は壁に叩きつけられ床に倒れこんだ
これが『赤兎馬』専用の能力…要するにバトルって事
アタシは見ての通り戦士としちゃあ小兵なんでね
攻撃力の無い分手数で勝負しろってさ

 「あまり使いたくは無かっただが…
  ほっておくにはおたくは危険すぎる
  『まだ』弱いうちに潰させてもらおうか?」

・・・カチャ・・・

アタシは床に這いつくばる化物の頭にヴァリスタの銃口を向ける

 「この星は今ヒューマンもニューマンも必死で生きてるんでね
  おたくをみたいな存在を受け入れられる程寛容じゃないのさ」

 『グぐぐグ…』

床でうめきながらも化物はアタシを睨みつける

 「…恨むならおたくを作った科学者でも恨みな」

・・・・・・ビシュゥン・・・・!!

ヴァリスタの銃声が廊下に響き渡った


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