MUSUPERUHEIMU

MUSUPERUHEIMU

第28話

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・・・パァァァン・・・・・・ガシャァン!!

ヤスミノコフの最後の銃弾がシノワの身体を貫く

・・・ガシャコ・・・・!

拙者は空になったヤスミのマガジンを排出する

・・・カラカラ・・・ガラン・・・・

足元には空のマガジンカードリッジの山が積まれ

 「撃った弾はざっと87発…手応えのあったのは53体…
  チッ…約3分の1はフェイクっスか…」

拙者の周りには黒いシノワの瓦礫の山が出来ていた

 「見事に無駄弾を撃たせやがったスね」

ふと頬に何か液体が付いているのを感じ指先で拭う
指先を見ればそれは赤黒い油だった
拙者は改めて自分の身体を見渡してみると
まるで返り血を浴びたように油が付着していた

・・・ペロ・・・

拙者は指先に付いた油をちょっと舐めてみる

 「…ふん…安い油使ってやがるス…」

・・・ガシャ・・・ガシャ・・・

瓦礫を乗り越え拙者は辺りを見渡す

 「…アークエネミーの野郎は何処行ったスか?」

・・・・・・・・バシュウン・・・・・

 「ん?」

何かが空を裂く音に視線を向けてみるとその方向に
戦闘する蒼黒のヒューキャストの姿を発見した

 「そんなトコにに居やがったスか」

拙者は腰の後ろに手をやり
ジャジメントを取り出し其方へと向けた

 「今度こそ決めてやるっスよ」

アークエネミーをロックオンをして引き金を引くが

・・・・カチッ・・・・・

 「…何?」

・・・カチカチカチ・・・・

何度引き金を引こうともジャジメントは沈黙したままだった

 「…あん?どういう事っスか…?」

・・・ピー・・・!!

突然通信を受信した音が拙者の左腕から響いた

 『ジャジメントの使用は封印させてもらったぞ弾丸』

 「…軍専用回線…その声はゼウス将軍スか」

 『貴様にはパンドラの守護を任せているはずだが?
  それが何故、審判兵器を持ち出してこんな所にいる?』

 「アルカトラズの襲撃に誰も行かなかったからっスよ」

 『ここはUSではなくJPの極東だぞ』

 「…あそこから老人が抜け出したからっス」

 『…テスカトリポカか…!?』

……通信機ごしに将軍の焦燥の声が伝わってきた……

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 「どうやら軍へのチクリは上手くいったようね」

少し離れた場所からブリッツを見ていたスゥはそう呟いた

 「でも姐さん弾丸の奴の衛星兵器を使用不能に
  しただけでいいんですかい?」

横にいた黒服のレイマーがそう尋ねると

 「大丈夫よジャジメントさえ押さえれば
  スルトだって簡単にはやられないわよ」

スゥはそう答えた

 「・・・姐さんひとつ聞いていいすか?」

 「何?」

 「やたら気にしているみたいですが
  ほんとの所あのヒューキャストとはどういう関係なんすか?」

 「言ったじゃない?」

首を傾げ微笑を浮かべながらスゥがそう言う

 「・・・あのですね姐さんのFCの連中じゃないんですから
  そんな言葉を盲目的には信じませんぜ・・・
  第一この前K地区施設で会ったばかりなんでしょ?
  まさか一目ぼれとか言わないで下さいよ?」

 「あの施設が初対面じゃないわ」

 「えっ?」

 「…もう10年以上前にはなるけどね」

スゥは遠くを見つめるような眼差しをしながら誰とも無くそう呟いた


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