MUSUPERUHEIMU

MUSUPERUHEIMU

第32話

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・・・キィィン・・・!

・・・・ガシャガシャン・・・ガァァァン!

あたしは目の前居た黒いシノワを斬り伏せた
何体倒したのかあたしの居る通路には
鉄屑と化したシノワの山が出来ている

・・・カチンッ・・・

敵の気配がしなくなった為、あたしは刀を鞘に収めた

 「よっ!敵の排除ご苦労さん」

通路の奥から声がしてそちらを向くと

 「リチャードか…お偉いさんの安全な所への移動はすんだのか?」

役人としての正装に身を包んだリチャードが立っていた

 「ああ一応な」

 「一応?」

 「一番偉い人がイの一番に飛び出していったからさ」

リチャードはちょっと呆れたように肩をすくめた

 「…マサカド公か…まぁ仕方ないだろう」

 「だな…あの人は生粋の武闘派だからな」

そう…前大戦中テロリストの脅迫に屈してテロ活動資金まで
出しそうになった当時のこの国の政府にクーデターまで起こして
成功したのが今のこの国の王…親皇マサカドだ…
敵が攻めてきたので大人しく隠れるなんてまずないだろう
リチャードも少なからずその事件に係わってたらしいのだが…

 「ん?どうした?俺の顔になんかついてるか?」

あたしの視線に気付いたリチャードが
そうい言って自分の顔を撫でた

 「いや…お前のその制服と言うか正装が似合わんなと思ってな」

「いや別に」と、そう言おうと思ったのだが
ふと気付いた事を口にしてみた

 「重要会議に出るんだ私服や戦闘服を着る訳いかんだろ?」

 「お前も自分の格好が似合わない事は自覚があるようだな?」

 「ほっとけ」

リチャードは笑いながらそう言った

 「そういや飯屋で会ったスゥの男な、身元判ったぞ」

 「…?…そんなモノ調べる暇あったのか?」

 「いやたまたま会議に軍の知り合いが来ててな
  ちょっと暇を見て聞いてみたんだが…
  あの男ある意味軍関係者だったぞ」

 「軍の人間が組織(ブラックペーパー)と?ある意味ってのは?」

 「ああヒューマンじゃない」

 「何?」

 「彼はヒュ-キャストだ」

 「…格闘戦アンドロイド…もしや」

 「言っておくがハウンドじゃないぞ」

頭に浮かんだ推測を即行で否定された

 「ミフネお前アークエネミーって聞いたことあるか?」

 「いや?」

 「だろうな、古い話だし軍の者でも
  古参でないと知らない名前だからな」

 「…なら聞くな」

 「フフフ…まぁそう膨れるな」

あたしの不貞腐れた表情が愉快だったのか
リチャードは笑いながら説明を始めた

 「アークエネミーてのはな大戦末期に軍の大隊に
  匹敵する戦力を無力化させたヒュ-キャストの悪名だ」

 「いまいち歯切れの良くない説明だな?」

 「匹敵するというのは正式な部隊ではなく1将校が
  勝手に扇動して集めた戦力だからさ」

 「無力化ってのはどういう意味だ?」

 「言葉どおりに重火器装備を全部壊されギャランゾなどの
  装甲戦車も破壊されて将校も兵隊も
  全員、死なない程度に叩きのめされたって事」

 「……なんの冗談だそれは?」

 「だよな~倒すならまだしも、素人じゃないそれだけの
  戦力相手に手加減なんて普通やってられないよな」

 「それ程に腕がいいのか?」

 「…ところがなあのヒュ-キャスト戦闘技術はゼロだそうだ」

 「何?」

 「戦闘プログラムがインストールされていないし
  誰かに師事された事も無い…判るか?
  あの男は今も昔もズブの素人なんだってよ」

 「…解せないな…大戦中なら軍の連中の質も
  そう悪くはないはずだろう?」

 「俺はなんか裏があると思うんだがな…軍としては
  面子を潰された訳だしな…そんなアンドロイドがなぜ
  まだ解体もされず稼動しているのか」

 「それで当時はその後どうなったんだ?」

 「後から来た白髭の大将に止められたそうだ」

 「フロウウェンか…」

 「…ところでウチの髭持ちは何処行った…?」

リチャードは辺りを見渡しあたしの相棒の猫娘を探した

 「施設の外で暴れられると越権行為だなんだと
  軍の連中にイチャもんつけられるぞ」

 「あいつもそこまで馬鹿ではないと思うが…」

通路の角などを覗き込みあたしもアミを探してみると遠くから…

 「料理長ぉぉ~晩御飯のカレーの大鍋の1つが
  空になってますぅぅ~!!」

 「なんだってぇぇぇぇぇぇ~!?」


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 「アミだ」「アミだな」

あたしとリチャードの意見は珍しく一致した


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