MUSUPERUHEIMU

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第50話

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 「あれ?」

ホルスさん達と別れた後、シルヴィおねーさん、アッシュと共に
目的の方角へ向かっていた僕は辺りの視界の変化に首を傾げた

 (まるで陽炎のように空間が歪んで先がはっきりと見えない…)

 「おねーさんこれはいっ……って」

原因が聞いてみようと後ろを振り返るがそこには
たった今まで側に居た筈の二人の姿が見当たらない

 「はぐれたのかな…おねーさーん?アッシュー?」

足元に気を付けながら二人を呼び進んでいると
僕の目の前の視界だけが突然、開けた

 「…潮の匂いがする…」

場所が場所だけに今までも匂いはしていたけど
その匂いがもっと強くなった気がする

 「おかしいなぁ…海とはが逆の方向に来てた筈なんだけど…」

さっきよりは晴れたけど相変らず回りの視界は歪んでいて
現在位置を確認する事が出来なかった

 「せめて中央施設塔の方向が判ればなぁ…
  …立ち止まっててもしょうがないしもうちょっと進んでみよう」

そうして歩いていると視線の先に不安を感じさせる
紫色の煙のようなモノが立ちこもってきた

 「うっ…なんかこっちに迫ってくるような気が…」

思わずたじろいているとその煙の中から

・・・バシュゥゥゥン!

誰かがが飛び出してきた

 『………』

それは一体の蒼黒のヒューキャストだった
その人(?)はそのまま僕の方へ走り込んで来ると突然

 『…危ないぞ…』

そう言って僕のお腹の辺りを右腕で抱え込んでそのまま走り出した

 「わっ!わっ!わっ!?」

突然で抵抗する間も無く僕は脇に抱えられそのまま運ばれていく
だけど抱えられたまま後ろの方に視線を向けると

 「うわー!?」

あの妖しげな煙がまるで意思でも持ってるように高速で迫っていた

 『…汝…秋子の店に居た少女か…?』

 「へっ?」

突然、話し掛けれて僕は驚いてヒュ-キャストの顔を見上げた

 「えーと…何処かでお会いしましたっけ?」

 『…相席を頼んだ者だ…』

 「えっ!?あれ?えーと?……アンドロイドだったんですか!?」

 『…ああ………そうかこの風体では無理も無いか…』

 「…すいません」

 『…気にするな…』

僕…男性型の擬人アンドロイドなんて始めて見た気がするよ
そうしてるうちにヒューキャストの人は追いすがる煙から
ある程度距離を取った位置で足を止めた

 『…動くな…』

そう言って彼は左手を開いたり閉じたりして
何かを取り出すとそれを煙の方へとばら撒く
そしてもう一度何かを取り出すとそれは幾つかに分けたメセタだった

・・・ビシッ!ビシッ!ビシッ!!

それらを器用に指で弾いて先程、ばら撒いたモノを撃ち抜いた

 (…あっ指弾って奴だ)

・・・ドゴォォン・・・!!

撃ち抜かれた瞬間ばら撒いたモノは爆発を起こし煙の進行を止める

 「やれやれ…困りました」

煙の中から若い男性の声が響いてきた

 「メギドの雲から脱出した事も驚嘆に値しますが
  まさかそんな止め方をするとはね」

煙は薄まり声の主の姿がはっきりとしてくる

 「私の薄っぺらなプライドが砕けてしまいますよ」

声の主は角の付いた仮面をつけた髪の長いフォーマーだった

 「…薄いんですか…」

 「体裁など気にしてたら人生楽しめませんよ、お嬢さん?」

思わず呟いてしまった僕の言葉に仮面の男はそう返してきた

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