MUSUPERUHEIMU

MUSUPERUHEIMU

第54話

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

―――中央司令部地下シェルター――――

 「・・・外の状況はどうなっている?」

 「襲撃してきたガーディアンは武神衆や騎士団が
  ほとんど撃退したようですが港の方で
  何やら異変があったようです」

准将の質問に将校は専用回線で外からの報告を伝えた

 「そ・・そんな事より奴は・・・奴はどうした!殺ったのか!」

 「ゼウス少将どうか落ち着いてください」

蒼白の顔でうろたえる上官を将校の一人は必死になだめる

 「上の階も極東保安部の連中が守っています
  この部屋に外部から入ることは不可能ですし・・・」

 「馬鹿か貴様等!そんな事で安心など出来るものか!
  相手はあのアークズの円卓騎士の一人なんだぞ!」

 「大戦中名を馳せたテロリストの一人とはいえ
  たかが一人の老いぼれフォーマーなのでしょう?
  心配には及びませんよ」

やれやれといった感じに准将は肩をすくめた

 「大戦が終結してから10年以上も経って我々の
  技術も兵器も格段に進歩しています
  牢の中で時代遅れになった犯罪者など恐れるに足りませんな」

 「…へぇ~?そうなんだぁ~?」

 「!?」

突然、場違いな少女の声が部屋の中に響いた瞬間

・・・バシュッ!!

下座に居た将校の一人の首が飛び

・・・ゴッ!・・・ゴロゴロゴロゴロ・・・

 「ヒッ・・・!」

飛んだ首は机の上を転がり上座のゼウス少将の前に止まった

 「…キャハ♪」

首が消えた将校の隣りにいた将校が可愛らしく笑う

 「き・・貴様!?」

それに気付いた将校が慌てて腰の銃を抜くが

・・・ヒュッ・・・パシィ!

 「ぬぉ!?」

笑っていた将校は頭のベレー帽を銃を抜いた将校の顔に投げつけた

・・・ズバァッ!!・・・ドンッ・・・

 「ぎゃぁぁぁぁぁ・・・!!」

銃を抜いた将校の腕の手首から先が床に落ちる

 「慌てない慌てない」

ベレー帽を外した将校の顔にはファンシーな兎のお面が被さっていた

 「軍人は死ぬ事がお仕事なんだって?」

・・・バサッ・・・!

お面の少女は着ていた軍服を掴み力任せに引っ張ると
少女の服装は陣羽織を模した服装に変わっていた
その少女は長い銀髪をポニーテール状に結び
首元から覗く肌は黒く、その耳は長く
左手に紅い杖のような物を持っていた

 「ニューマンッ!?貴様アークズか!?」

それを見た准将の質問に少女は答えず

 「でもね、アンタらは只の犬死なんだよね、残念残念」

・・・キィン!!

少女が右手で杖の頭を掴み引き抜いた瞬間、銀光が閃いた

・・・ブシュゥゥゥゥゥゥ・・・!!

その右手には刀が握られ少女の側に居た兵士が血飛沫を上げる

・・・ダンッ!

仕込み刀を逆手に持ったまま少女は机の上に飛び乗った

・・・キィン!キィン!キィン!キィン!キィン!!

下座から上座の方へ机の上を進みながら少女の刃が舞う

・・・バシュゥゥゥゥゥ・・・・!!!

机の側に居た准将以下全ての将校の首筋から血飛沫が上がった

・・・ヴンッ・・・ビシャッ!

少女は刀を強く振り目の前のゼウス少将の顔に血糊をぶつけた

 「ぐぁ!・・・うううぐぉぉぉ!眼が!眼が!」

少将はフォトンチェアから転がり落ち
両手で目を抑えながら床をのたうちまわった

 「アハハハハチョロダサ!
  そんなんで少将なんて笑わせないでくんない?」

・・・スッー・・・カシャン!

兎のお面をした少女は再び仕込み刀を鞘に収めた


© Rakuten Group, Inc.