MUSUPERUHEIMU

MUSUPERUHEIMU

第55話

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

兎面の少女は机に腰掛け今だ床で転がる少将を見下ろしていた

 「ぐぉぉ・・・ぐぐぐぐぅ・・・!!」

 「落ち着いたー?んじゃね、質問に答えてくんない?」

 「ぐぐ・・・し・・質問・・・?」

目を瞑った血糊まみれの顔で少将は少女の言葉に反応した

 「アタシもさっ、別にオジンをからかうほど暇じゃ無いわけ
  ちょっと聞きたい事があるだけでアンタをポアするのは別の人」

 「!」

少将は見えない目のまま床を這いずりその場から逃げ出そうとしたが

 「殺すよ?」

 「ヒッ!?」

少女の殺気に身体を凍らせる

 「ちょっとでも長生きしたかったら大人しく答なって
  別にそんな難しい質問じゃないからさ?」

そう言うと兎面の少女は机から降りた

 「質問はね本物の…」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 「…パイオニア2は何処にあるかって?」

 「ええ、なんか知らない?」

ノルは受付のカウンターから乗り出してそう聞いてきた

・・・ふるふる

 「知らにゃーです」

そう首を振りながら応えたのは赤い服に身を包んだ
淡い金髪のニューマンの少女だった

 「でもノルさん突然どったの?」

 「太平洋上で建造中のパイオニア2はフェイクだって情報を
  耳にしてねその辺の真相を確かめてる所なのよ
  それでスルトに聞こうと思ったんだけど…」

 「スルさんはヨコスカベースに備品受け取りですよ」

 「使えないわねーでもなんでチィさんが替わりに此処に居るの?」

 「あれ?ここ引き払うって聞いてません?
  スルさん軍からP2ラボの所属になったんでそれで相棒と言うか
  助っ人一人雇えるからってあたしにお声かかったんで
  此処引き払う為に荷物整理中のお手伝いなんでつよ」

・・・コト・・・

そういってチィはカウンターの上に緑色のアイテムキューブを一つ置いた

 「軍からラボに?軍の連中よく許したわね?」

 「なんでもパイオニア1と違ってパイオニア2のラボチーフは
  天下りの元政府役人らしいです、まあその辺に事情あるんでしょ」

 「…でもそれなら益々スルトに話を聞きたいわね」

・・きゅぴーん

 「ノルさん?目が怪しく光ってるよ?」

・・・ガシッ・・・!

 「へっ?」

ノルは突然チィの手首をガシッと掴むと

 「チィさんヨコスカ行きましょう」

そんな事を言い出した

 「…なんで?待ってればスルさん帰ってきますよー?」

 「あのね情報は入手するだけなら
  早すぎるという事はないの公開する事はまた別だけど」

 「そうなんでつか…でもなんであたしも?」

 「だってあたし一人じゃ基地に入れないじゃない!」

ノルの言葉にチィは不信な目を向けると

 「…ノルさん…それが本命でしょ?」

呆れるように呟いた

 「別に?極東の新皇が来てる事も
  EUの軍のお偉いさんが来てる事も全然関係無いわ」

 「………」

その返事にチィの目は完全に座っていった

 「決まり決まり、さっ善は急げよ!」

そう言ってノルはチィの腕を引いて外へ飛び出した

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 「本物のパ・・・パイオニア2の場所・・・?」

 「この前ウチの連中が襲撃した後、すり替えたでしょ?
  今、太平洋上にいるのは建造中のパイオニア3…
  本物のパイオニア2は何処いったの?」

 「し…知らん!」

今だ目を開けられぬ少将は必死で首を横に振った

 「ほ、本当だ私は何も知らないんだ!信じてくれ!」

 「…?…ねぇアンタさ…本当にゼウス少将?
  軍のクソ野郎は色々始末してきたけどさ
  大戦を生き残った軍人にしちゃまるで反応が変なんだけど?」

 「わっ私は・・・私は・・・」

 「上座で仰け反ってた奴にしてもさ
  もうちょっと腹芸ができると思うんだよね」

 「私は・・・うっ!?・・・ウガッ!?」

少将だと思っていた男が突然苦しみだし再び床を転げまわる

 「ウガ・・・ガ、ガ・・・GaGaGa!?」

喉から放たれる声が徐々に人間味を無くしていき
身体が2倍3倍にも膨れ上がった

 「…キャハ♪はじめて見ちゃった…バイオモンスターての?」

変化が完了した少将の姿は皮を剥いだ猿のような姿だった


© Rakuten Group, Inc.