MUSUPERUHEIMU

MUSUPERUHEIMU

第63話

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・・・ピッ・・・ピッ・・・ピッ!

軍基地への道を走りながらチィは左腕の端末ではなく
バイクに備え付けてある端末を片手で操作すると

・・・ピッ!

目の前に小さなホログラフウィンドウが出現して
画面に相手の映像が映し出される

 「もしもーし?ノルさん生きてる~?」

チィが画面に話し掛けると

 『一応怪我はないんだけどさー』

それに気付いた画面のノルは返事したものの覇気の無い返事が返ってきた

 「だけど?」

 『……変なの拾っちゃったのよ』

 『はっはっはっはっ!…いや悪い悪い、確かに俺は変な奴だよな』

聞き覚えの無い男性の笑い声が画面から聞こえてきた
チィは画面のアングルを変えると後部座席に座るレイマーの姿があった

 「…どちらさんで?」

 『俺か?ええと…まぁバーニィでいいか…って事でバーニィで宜しく』

 「そーですか…じゃあ、あたしはチィ様でいいですよ」

 『…あんた面白い奴だな?』

 「バニーさんには負けますよ」

 『………』

 「…にゃー」

画面越しにお互い相手を探るように二人は睨みあう

 『二人共、何にらめっこしてんのよ?』

状況が判ってないノルが口を挟んでくるが
その言葉に二人は睨みあうのを辞めた

 「今日はこのぐらいで勘弁してやらー」

 『まっそういう事にしとこうぜ』

 『?』

二人の言葉にノルは首を傾げる

 「それでそのバニーさんは何でその車に…」

・・・ガシャ・・ガシャガシャ・・・ガシャ・・

耳に聞こえてきた音にチィは言いかけた言葉を途中で止めた

 「ん?」

走る二輪に跨りながらチィは首だけを曲げ後を振り向く

・・・ガシャ!ガシャ!ガシャ!

金属の足音を響かせながら虎縞のシノワが追いかけて来ていた

 「う~んしつこい…やっぱ顔の事で怒ってるのかなー?」

ちょっと申し訳無さそうに言うチィの言葉の通り
追って来るシノワの顔部分には黒いタイヤの跡がついていた

 「と、言う訳でノルさん一旦切るね」

 『えっ!ちょっと大丈…』

・・・ピッ!・・・シュン・・・

通信をオフにした事でウィンドウが閉まった

 「ちょっと振り切るとしますか」

・・・グォン・・!!

バイクの速度を上げ追走してくるシノワを振り切ろうとしたが
追って来るシノワは走りながら上体を前に倒していき

・・・ガシャン!・・・

 「え?」

・・・ガシャ!ガシャ!ガシャ!ガシャ!ガシャ!ガシャ!

両手をも地面に着け四つん這いの格好でさらに速度を上げた

 「うわっ…やっちゃったって感じ」

速度を上げたシノワもバイクより速くは無かったが引き離す事も出来無かった

 「このまま行くとシノワ連れてノルさん達に追いついちゃうなー」

チィが先を行くノルの事を思い前を見た時

 「おんや?」

道からそれた所に『Keep off』と表示がされた宙に浮かぶ警告文字と
レーザーフェンスで封鎖された地下へ降りるスロープの入口が見えた

 「ふむ…使えるかにゃー?」

チィはそう言うと再びガトリングを取り出した


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