断熱材考察2前のページでは、断熱についてのキーワードを2つ紹介しました。・熱貫流率 K値 ・熱伝導率 今回は具体的な数字を計算してみることにします。 計算式 1/断熱材の厚み(メートル)÷熱伝導率 それではフツーの家のK値を計算をサクッとしてみます。 与件 グラスウール100ミリ16k、熱伝導率0.039 0.1÷0.045=2.22 (←熱貫流抵抗R) 1÷2.22=0.45(←熱貫流抵抗の逆数がK値) 細かい話になりますが、実際の外壁は合板や石膏ボードなどのすべての建材についてそれぞれ計算してK値を求めますが、それらの数字はとても小さいものなので無視します。 ちなみにグラスウールと同等の断熱性能をコンクリートに持たせようとすると 14倍、壁厚1.4Mも必要になります。コンクリート住宅が熱いわけがわかりましたね。壁厚1.4Mの家なんて見たことがないのですから。 住まい計画株式会社のノーマル仕様の断熱材は発泡ポリスチレン3種B50ミリです。この仕様のK値は0.47(壁・熱橋無視・外壁材複合計算)です。 グラスウールより悪い数字じゃないか!とピンと来た人、正解。住まい計画株式会社のK値は普通のグラスウールを使った建物に比べ、若干数字が落ちます。 それなのになぜ使う? 答えは簡単。 たしかにグラスウールは断熱性能に比較して他のものよりコストが安い。市場に一番流通している。残念なのは湿気に弱い。結露にやられてしまうと、所定の断熱性能はがた落ちになってしまう。しかも隙間なく施工することが難しい。4地域の場合、室内側に防湿シートを張る規定がないから余計そうなる。 ポリスチレンフォームは、単価ははっきりいえばグラスウールの4倍は高い。でも板状になっていて、隙間なく施工しやすく、切り貼りもしやすい。透湿性が低い(湿気に強い)。経年変化が少ない。グラスウールの場合と比べ、長期間にわたって性能保持が期待できると判断しているからです。 理解していただければ幸いです? 先回、「高気密・高断熱・外張り断熱」住宅のウソとあおってしまいました。 ウソと断言するには、それなりの理由があります。 「高気密高断熱」の家は「断熱性能が高い」というイメージがありますが、今回習ったK値を計算すると、意外にも「断熱性能は低い」ということがわかります。 たとえば EPS=ビーズ法ポリスチレンフォーム特号 熱伝導率0.034、厚み30ミリを外壁側に張る外張り断熱の家のK値を計算します。 0.030÷0.034=0.882 1÷0.882=1.13 (←K値)これじゃぁかわいそうなので、ダイライトやモイスなど面材類や室内側熱伝達抵抗(空気)もあわせて計算してやっても K値は0.916にしかなりません。 ちなみにK値0.916は耐火レンガより悪い数字になります。レンガって熱くするととことん熱くなりますよね。そんなものがなぜ「高断熱」住宅というのか、まったく理解できません。「高熱」住宅の間違いなのでしょうか? まるで○ギのようです。 しかもこの上に重ねて外装材を張らなくてはなりませんから、厚みを厚くすることもできません。外壁材の「ずり落ち」事件がありましたから。 ソーラーサーキットSCなんぞは、この上にさらにもう一枚外装材が・・・。 釘の長さは5寸、15センチにもなります。ブルブルです。 「高気密・高断熱」の順番を並べ替える方が建築史上は正解で、もともと「断熱材を厚くすりゃいいってもんじゃない。高断熱のためには湿気を壁の中に入れさせない気密化が大事だ」という流れがありますから、本来は「高断熱・高気密」と言う順序で言うのが正しいです。(余談です・・・知っていても一銭の得にもなりませんよ) 「高気密・高断熱・外張り断熱・二重通気・WB」など、どうのこうのいっても、高断熱と言える建物は私の知っている限り、ありません。 ただし規定以外のお金をだせばできるのかもしれません。 次回はいよいよセルロースファイバーについてです。お楽しみに。(いつになるかわかりませんけど) ジャンル別一覧
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