~昔話~
~ポエム~
中学生だった。
私は大切な友人を2人同時にあっけなく失った。
彼らはとても仲良しだった。
そんな2人がとても好きだった。
一人は、とても「ハンサム」という言葉が当てはまった。
でも、私はそのルックスよりも、もっと気に入っていたのが
「何を言っても受けてくれる」点だった。
何を言っても笑ってくれるのだ。
芸人にとってこれほど嬉しいことはないだろう。
(ただし、私は芸人を目指していたわけではないのだが。)
多分、その頃の私はサービス精神が旺盛だったのだと思う。
言葉遊びが好きだったし、洒落も結構つい、言ってしまう方だった。
今なら、親父ギャグ~、寒い~!!って言われるのが落ちだろうけど。
でも、彼は「うけて」くれるのだ。
そんなわけで私は彼が大好きだった。
もう一人は、1年の時に転校してきた子で、2年生になって別のクラスになった。
思いやりのある奴で、「ねえ、これってどう思う?」って聞いたときに、必ず私の欲しかった答をくれた。
休み時間毎に彼のところに行っていた。
そして、その事が小さな学校内で噂になり取り沙汰されたりもしていたようだが、私は一向に構わなかった。
気にしなかった。
彼は本当にいいヤツだったのだ。
その頃、一目置いていた同級生が一人いて、私の大好きな星の話やブラックホールやなんかの宇宙の話ができるのは彼とだけだった。
他の人はそんなこと知らないし、興味もなかったようだ。
成績もそこそこよかった。
そんな彼だが、当時の私にはニヒリストに見えた。
と言うか、虚無主義。に見えた。
「そんなことはワタシには関係ない。」って感じ。
私と対等に話をしてくれるこの中学生がそんなことでいいのか!いや駄目だ!もっと高いモラルを持つべきだ!
そんな気持ちだった。
私は彼に自分の思いを押しつけたかった。
同じ気持ちでいて欲しかった。
例えば、同じ学年の(正確には覚えていないのだが)当時朝鮮人と言われていた(韓国人だったのかもしれないけど、私は気にしたことなかった。)
女の子が仲間はずれにされた。
「どう思う?」
「それはいけない。自分ならしない。」
私は彼にそう言って欲しかった。
でも、彼はそうは言ってくれず、そう言ってくれるのは先ほどの「いいヤツ」なのだ。
だから私は休み時間毎にヤツのところへ行って、満足な答をもらって、彼にはちょっと意地悪をした。
意地悪がどんなことだったか、具体的にはもう忘れた。
彼に対しては、何年か前の同窓会で「あの頃はごめんね。」と言えたからだ。
「好きだったから、意地悪だったの。」と言えた。
それは嘘ではないと思う。
当時は自覚がなかったのだ。
彼は優しい笑顔で許してくれた。
その時はまだ彼は独身だった。(その時、私が好きだった男と私を好きだった男、計3人が独身でなんだか胸が痛んだ。でも決して、いや断じて私のせいではないと思う。)
みんなが私はヤツのことが好きだと思っていた。
確かに好きだった。そういう意味じゃなく。また、そういう意味でも。
そんなある日、私は月刊少女コミックにポエムを投稿した。
6月の中間テストのときに思いついて作ったのだ。
「窓の下の雨粒小僧」 だったかな?
それが思いがけなく採用されて載ったのだ。
夢野一子先生のイラストだった。
私のイメージとは違っていたが、素晴らしく、嬉しかった。
私に少女コミックの素晴らしさを教えてくれたナオミちゃんよりも先に彼ら2人に報告した。
この喜びを分かち合いたかった。
一緒に喜んで欲しかったのだ。
でも、考えられないことに、彼らの反応は違うものだった。
二人して笑って、ポエムの一節を囃し立てたのだ。
トラーラトラ、トラーラトラ♪
ってところ。
許せない気持ちだった。
私は怒った。
そして次の瞬間から彼ら2人を無視することにした。
話もしたくなかった。
彼らは私に詫びを入れるべきだった。
こんなに私が怒っているのだから!
ナオミちゃんよりも先に報告したのに!
一緒に喜んで欲しかったのに!
でも、そのことは言えなかった。
怒りのためと自分の思いを伝える事があまり上手ではなかったためだ。
彼らは詫びを入れては来なかった。
多分、なぜそんな態度を取るのか分からなかったのだと思う。
そうして私は彼らから離れてしまった。
そんなこと、断じてしたくはなかったのに。
心が引き裂かれる思いだった。
でも、そうしたのは私自身だ。
辛かった。
自分から絶交状態を解除することができなかったのだ。
素直に言えばよかったのに。
私は大切な友人を2人同時にあっけなく失った。
前者の彼とは違う高校になったのでそれっきりだ。
同窓会で会ったとき聞いてみた。
「結構仲良かったの、覚えてる?」
「いや。」
やっぱり。
彼はその昔噂のあった彼女ではなく、コンテストでバイオリンを発表し、私が伴奏させてもらった事のある先輩と結婚していた。
なかなか目が高い。
後者の彼とは噂もあっただけに、その後もいろいろと胸を痛めることもあったのだが、今はまだ、整理がつかない。
でも、このことから、私は一つ学習した。
人は素直にならなくてはいけない場面(もしくはケース)に直面することがある。
この教訓から、私は今の夫の心を手中にすることができたわけだ。
でも、その話は別の物語……。
そうだ。
私はこれを書きたくて、これを載せようと、
HPを作ることを思い立ったのだった。
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