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葉隠餡

葉隠餡

結婚祝金

Mが逮捕され、日々悩みつつも仕事の最繁忙期で1日酷い時は20時間拘束にいたることもあった。(Mとの面会はまだ成し遂げていない)
確か、逮捕されて1月経つかたたないかの頃だ。
今までMあての借金の督促らしき郵便物が大半だったのに、少々系統が違う郵便物を発見した。(正確に言うなら郵便局の不在連絡表が入っていたのだが)
それは新たな悩みを誘発するのだが・・・


宛名はMと私と二人宛。
差出人は私の親戚。
封書の種類は「現金書留」である。


私はすぐにピンときた。
おそらくそれは「結婚祝」だろうと。
そうでない限り、現金書留が親戚から届くはずがない。



ちょっとここで説明をしたい。
私とMは北海道で6年だか一緒に暮らしていた。
だが、Mは私の母と弟以外一度も顔を合わせたことはない。
Mと私はあまりに突然の他県への引越だった。
Mの職場は北海道から撤退と決定。北海道の社員数名は全員解雇。その話を聞きつけたMと懇意の長野営業所の所長さんがMを「長野にこないか」と誘い、長野に引っ越してきた経緯がある。
解雇通知はきっちり30日前であり、長野に引っ越したのも1月に満たないうちに引っした。
私たちもこのまま別れるか、一緒に行くかで話し合った。
結果としては私は長野に行き、あちらでついた日に籍を入れようとなった。

そんなこんなで・・・結婚も長くはいたが、籍を入れる日を急に決めたようなものだ。親戚にもMを紹介する時間もなく、私は長野に来てから親戚一同に葉書で「結婚報告」をした次第である。また、その時に
「正月にはMと二人で帰るので、そのときに改めて挨拶に行く」
と葉書にしたためたのだ。



そんな経緯あってか、結婚祝をもらったのは私は自分の母とMの両親からと、Mの弟夫妻の3組からしか結婚祝をもらわなかった。私もMも不思議に思わなかったが、親戚は親戚で「正月に帰ってくるというから、二人一緒のときに渡したほうがよいのでないか」とか「すぐにでも送ったほうがよいのでないか」と皆で「結婚祝い金」の足並みを揃えていたらしいのだ(後に母から聞いた話)




そして結果は親戚からの「現金書留」である。
(実家に隣接して住んでいる母の弟夫妻から真っ先に届いた)
これには・・・本当に困った。
自分の母にすら、しばし隠したい事実なのだから。
だが、離婚は成立していないが私の中で裁判を起こしても離婚するつもりだった。だから、この親戚からのお金はもらえない。
いや、それどころか母になんと言う?


逮捕後2週間位の時だろうか、私の母にはわかっているだけのことを伝えていた。母の取り乱しようは酷かった。何とかなだめすかして、こっちへくるという母を静止した。高い飛行機代をかけて仕事を休んできてもらったって何もやってもらう事はないのだからね。
「私に見る目がなくてごめんね、ごめんね」と謝りつづける母。
母が選んだ相手でなく、私が勝手に連れてきただけなのに、
「娘がお世話になります」
と言って頭を下げた事をどうやらは母後悔しているらしい。
「ごめんね、ごめんね」
と取り乱す母。そして娘がこんなことになり恥ずかしいと思っている母。そんな時に、親戚からの結婚祝が届いた。一人が届いたということは・・・時間の問題で、まもなく皆から届くだろうと予測された。
「一刻の猶予もない」
と私は思った。



「あ、お母さん。あのさ・・・」


仕方なく、正直に説明した。
このような時に嘘をつくのはあまりよくない。
もらった親戚の名前もいった。母の弟夫妻であり、隣に住んでいる親戚だと。まぁ、よりによって・・・・な話だ。



「でね、私はなんとしても離婚するからこのお金は受け取れない。だから自分で電話して今回の離婚に至る事情を説明してもよいだろうか、お母さんは恥ずかしい思いをすると思うのだけど・・・」


散々話し合った末、母が直接話しにいくという結果になり、現金書留は受け取りを拒否して返送することにした。



そうやって、また、自分は「何をやっているのだろう」という事実に直面したのだった。普通なら、夫婦そろって「ありがとうございます」と頭を下げてるべきなのに、なぜ、私の母が結婚祝い金を返しているのか。
金をもらえるのが結婚とかそう言う事ではない。
何故、私は「祝福」されないのか。その祝福を返しているのか。
遠い土地で私はその意味を考えていた。





追記。
私の母は自分でそういったが、私は「ありのままを話してほしい」といったのに、母自身が言えなかったのと、話を誤解していたのもあり、「売春の斡旋(援助交際の斡旋)や下着売り買いとかをしていたらしい」という話に親戚には伝わり、未だにその誤解は解けていない。
事実はちょっと違うんですけどね…(苦笑)




<補足っつうか・・・>
第2章はこれにて終了します。
下着泥棒第3章へと入ります。
ここからが・…本当につらい事でした。
私の人生の恥でもある部分です。























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