「2・28事件」と映画「悲情城市」
今朝、新聞を読んでいて、ある記事に目が留まりました。「2・28事件 あす60年」「台湾 癒えぬ後遺症」と題された記事の内容は、60年前に台湾で起きた「2・28事件」が明日で60年を迎えるのですが、事件の真相究明や責任追及はまだで、台湾の政治と社会に残した傷跡は消えていないというものでした。この「2・28事件」というのは、60年前の1947年2月28日に起きた住民への武力弾圧事件を指します。闇タバコ売りの取り締まりによる死傷事件をきっかけに起きた住民の抗議行動に、国民党が武力弾圧を加えたのです。犠牲者は18000~28000人にも上るといわれています。国民党(外省人=戦後、中国から台湾に渡ってきた人)と住民(内省人=戦前から台湾に住んでいる人)との対立が決定的になった事件です。しかし事件について語ることは、1987年に戒厳令が解除されるまではタブーとされていました。ここ数年で、ようやく犠牲者の遺族たちが重い口を開き始めたといいます。私の大好きな映画の1つに侯孝賢(ホウ・シャオシェン)監督の「悲情城市」があります。台湾の一都市、基隆に住む林文雄一家の物語です。主人公は文雄の四男、文清(トニー・レオン)。彼は幼いころの事故が元で、耳が聞こえません。文清と、彼を慕う寛美を軸にお話が進みます。映画の後半は、先に話した「2・28事件」が文清たちの生活に大きな影響を与えることになってきます。激動の時代を翻弄されながら、しかし誠実に生きる文清たちの姿が目に焼きつきます。ひっそりとつつましく生きていこうと思っていても、それが出来なかった時代。淡々とした映像の中に、自分も入ってしまったかという錯覚を覚えるような映画でした。そうそう、この映画には、思い入れがあるんです。映画が公開された当時、「関西ぴあ」で映画を見た感想を募集していたんですよね。1名に日本~台湾往復航空券をペアで、残りの30名には「悲情城市」オリジナルTシャツをプレゼントと聞き、さっそく応募。審査結果はTシャツプレゼントでした。数日後、トニー・レオンのイラストが印刷されたTシャツが届きました。トニー・レオンのTシャツもゲットしたし、「ぴあ」誌上にも名前が載ってうれしいな~なんて思っていたのですが、まだ驚くことがあったのです・・・。(続く)