ピエタ
ピエタ
大島真寿美
ポプラ社
小説は、現実世界に疲弊した人を、自身の世界に迎え入れ、力を与えてまた現実世界に戻す。新聞記事で見つけた言葉が、そのまま現実となる。
今この時期に出会うべくして出会った作品ではなかろうか。
ヒロインとの類似点。生い立ち、環境、そして性格。
彼女を取り巻く人々の中に、私は見つけるのだ。「彼女」を。
そして現実と空想の狭間で夢想する。
そうなればいいのに、と。
いや、そうならなくてもいい。
小説を読了することで、私は納得するのだ。自らの心の痛みを。そしてそれが癒されていく様を。
だから読書は止められない。