蘇芳色(SUOUIRO)~耽美な時間~

2004/08/08(日)16:09

「HERO~英雄~」は様式美の追求か?

映画(193)

久々に映画館に足を運ぶ。なんたってレディースディですもの。 映画館の中は、見事に女性ばかり。 監督はチャン・イーモウ。彼の作品は、出演作も含めて初期のものをよく見ていた。「古井戸」(主演作)「紅いコーリャン」「菊豆」「紅夢」「秋菊の物語」など。 最近の「あの子を探して」「初恋の来た道」「至福のとき」はまだ未見。レンタルビデオを借りて見る予定。 私が見た彼の初期の作品は、ストーリーが余り印象に残っていない。ただ鮮烈に心にあるのは「色」の記憶。 今回の「HERO」も色彩の美しさが心に残った。 ストーリーは、秦王を狙う刺客を倒した無名が語る、刺客を倒した経緯と、秦王が想像した経緯、最後に本当の経緯の3つの話が順を追って再現される。 それぞれの話によって、衣装や背景の色が鮮やかに変わる。 見ている者の脳裏に、強烈なインパクトを与えようとするように。 確かに綺麗だ。インパクトもある。 なのにストーリーが付いていってないな~という感想。 最初の「赤の場面」は陳腐な展開だし(秦王でなくても気がつくかも)「青の場面」は美学で固めすぎる。 やはり真実の「白の場面」が、見ていて一番しっくりくる。 ワイヤーアクションもふんだんに取り入れていた。 香港映画のワイヤーアクションは大好きなのだが、今回の「HERO」では使いすぎの感が否めない。 決闘などのシリアスなシーンで、ワイヤーアクションが多用されており、なんだかコミカルな印象を受けたのだ。 ワイヤーがないほうが、力強いアクションシーンを楽しめたと思うのだが。 しかし、トニー・レオン、今回はマギー・チャンに切られっぱなし。どの回想シーンでもマギーにグサッとやられて、かわいそう・・・。 彼に注目したのは台湾映画「非情城市」からだが、本当に素敵な俳優だと再確認。男前だし・・・。 あと秦王役の陳道明さんが、歌舞伎俳優の中村勘九郎さんにそっくりで、目が離せなかった。(笑)素敵・・・。 スタッフとして、アクション監督に程小東の名があった。彼が監督をした「チャイニーズ・ゴースト・ストーリー」は、私が香港映画にはまるきっかけを作った作品だ。懐かしい。 他にスタッフは、ヴァイオリン演奏にイツァーク・パールマン。 なかなか豪華な顔ぶれである。 豪華なスタッフとキャスト。色彩を際立たせた形式美、とでも言おうか。

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