待ちに待った美輪明宏氏の舞台。
一昨年の「葵上・卒塔婆小町」(相手役・宅麻伸)でその美学に酔い、昨年の「黒蜥蜴」(相手役・高嶋政宏)で、完璧に美輪ワールドにはまり込んだ私。
今年はデュマ・フィス原作の「椿姫」
相手役は、昨年の「黒蜥蜴」で、黒蜥蜴に報われぬ恋をする青年、雨宮を演じていた木村彰吾。
背が高く、足が長く、声が魅力的なのだが、う~ん、丸顔なのが惜しいかな・・・。
今日はハプニング続きで、開演に間に合わなかったのだ。(号泣)
子どもが「お腹痛い」といったのが発端。
『風邪だろう』とタカをくくっていた私は、午後になって医者に連れて行った。
すると、「虫垂炎の疑い」と言われ、慌てた。
外科を紹介され、車で移動しすぐ検査をしてもらう。
『ああ、今日は大阪の楽日なのに・・・。昨日行けばよかった・・・。』と後悔しきり。
もし入院、手術となれば、観劇どころではない。
小1時間ほど検査をし、結果を聞きに診察室に入る。
レントゲン写真を見ながら、説明を受ける。
血液検査の結果や、レントゲンの画像、エコーの結果から、どうやら虫垂炎ではない様子。ほっとした。
様子を見ましょうといわれ、帰宅。
時計の針は午後3時をさしている。開演時間だ。
子どもの具合も落ち着いたようだし、家人に頼んで、私は遅れて行く事にする。
こんなときにドラえもんのどこでもドアがあればなあ・・・。
開演ギリギリに飛び込めるのに。
結局1時間遅れて、会場に着く。
マルグリットは、もうアルマンと出会い、恋に落ちていた。
二人で田舎に行って、落ち着いた暮らしをしようと言っているところで席につく。
なかなかマルグリットの恋心と同化できない。
なれそめがわからないからか・・・。
いきなり恋はできないものなのだ。
それにしても、アルマンって幼くないか?
マルグリットの心を察することなく、勝手に嫉妬して、勝手にいじけている。
そういうところがいとおしいと、マルグリットは思うのだろうけれど、私はアルマンの子どもっぽさに、少々辟易した。
切なさに胸が痛くなったのは、マルグリットが身を引いた後、傷心の二人がパリで再会するシーン。
アルマンは、マルグリットの心変わりが信じられず、裏切りだと怒りを覚える。しかし、それは今でも彼女を激しく愛しているからなのだと、友人のギュスターブに打ち明ける。
また、マルグリットもアルマンへの想いを断ち切ろうと、自暴自棄の生活をしているが、アルマンの姿を見て、激しく心が揺れる。
お互いに心から愛しあっている恋人たちが、義理とプライドから、自らの心のうちを吐露することができない。
見ている方は、恋人たちの心のうちが、わかりすぎるほどわかっているので、切なく苦しくてたまらない。
涙があとからあとから頬を流れる。
そして、いよいよラスト。
マルグリットが、アルマンの父の許しを得て、アルマンと再び一緒に暮らせると、喜びいさんでいる。
アルマンが駆けつけ、恋人たちは離れていた時間を惜しむように、抱き締めあう。
しかし、マルグリットの命の炎は、最期の輝きを見せたあと、ふっつりと消えてしまう。
アルマンの叫び。「マルグリット!!」
ん~、やっぱり私は木村彰吾クンに惚れなかったので、彼と一緒に悲しむことはできなかった。残念。
会場のロビーには、出演者への花の山。
美輪さんとの対談本を出した斎藤孝さん、昨年「黒蜥蜴」で共演した高嶋政宏さん、美輪さんファンの及川光博クンたちからの花があった。しっかり写真を撮る、ミーハーな私。
斎藤孝さんからのお花
明智小五郎さんからのお花
ミッチーからのお花
特に高嶋兄のがよかったね。「高嶋政宏 実は明智小五郎より」な~んて書いてあるんだもの。昨年、すっかり明智小五郎におとされてしまった私は、その文字を見ただけで胸がふるえたよ。
来年は再び、高嶋兄と「黒蜥蜴」を再演するらしいので、今から楽しみなのだ。