急用で行けなくなった友人の代わりに、娘たちと3人でレニングラード国立バレエの
「白鳥の湖」を見に行ってきました。
私自身、小学生の頃にクラシックバレエを習っていたので、バレエには関心があるのですが、きちんとした舞台を見たのは初めてかも。
娘たちも、友人のバレエ発表会には行ったことがあるものの、本格的な舞台は初めて。
少々の緊張とともに、『小3の次女が2時間半も退屈しないだろうか?』という不安を抱いて、大阪フェスティバルホールへ向かいました。
まず梅田のヒルトンプラザ ウエスト地下2階の
「コリアンダイニング 市場(シジャン)」で昼食。大阪や三宮の韓国料理店を探しては食事をしにいっている私。(笑)
ここも落ち着いた雰囲気でなかなかよかったです。
さてフェスティバルホールでは・・・。
座席は2階の前列。子どもたちとバタバタと座ると、パンフレットを見る暇もなく開演。
きらびやかな舞台装置に子どもたちは目を見張って、「すごい~!」
踊りが進んでいくと、「セリフはないの?」「今どうなっているの?」と質問攻勢が始まりました。私は小さな声で、「あれが王子様」とか「もうすぐ白鳥にされたお姫様が出てくるのよ」などと解説。
さすがに第1幕の終わりごろには、次女は舟をこぎ始めました。(苦笑)
ようやく20分の休憩が入り、ジュースを飲んだ子どもたちは、ぱっちりと目が開いたようです。
そして第2幕、3幕が始まります。休憩中にパンフレットに書かれているあらすじを読んだということも功を奏してか、子どもたちは最後まで眠りもせずに熱心に眺めていました。
やはり彼女たちの眼をひいたのは、ダンサーたちの跳躍力と見事な回転だったようで、男性ダンサーが全身のバネを使って高く飛び上がったときや、女性ダンサーがくるくると、機械仕掛けの人形のように回転をしたとき、「すごい!」と言って身を乗り出していました。
私はというと、ダンサーたちの肉体の美しさを楽しみつつも、オーケストラが演奏する曲のほうに関心が行きました。
というのも、前述したように幼い頃にバレエを習っており、当時聞き覚えたメロディが何度も耳を楽しませてくれたからです。聞き慣れたメロディというものは、それがインプットされたときの心情まで再現してくれるんですよね。さまざまな気持ちや思い出が溢れてきて、すっかり頭の中でタイプトリップをしてしまいました。(笑)
さて今回のレニングラード国立バレエの「白鳥の湖」は、1895年にサンクトペテルブルグで上演された原典版の復元だったようで、いろいろな点で現在公演されているものとは違ったようです。
第1幕第1場での農民たちのワルツの場面では、原典版にあるように小さな椅子を使っていたし、(これは私も初めて見ました。小さな椅子に農民の男女がかわるがわる上ったり降りたり、単調ながらリズミカルな演出です。)この踊りのクライマックスに、農民の一人が掲げ持ったポールから色とりどりのリボンが飛び出してきたりします。そしてそのリボンを持った農民の男女が、リボンを編むようにダンスを踊るのです。
「白鳥の湖」というと、有名なのは第1幕第2場の王子とオデット姫との出会い場面ですが、他のシーンにも楽しめる演出が数多くあるのだなと感じました。
ラストシーンでは、王子とオデット姫は悪魔と戦い、湖水に沈んで亡くなります。
私は「白鳥の湖」はハッピーエンドだとばかり思っていたので、このラストには驚きました。
もちろん悪魔も破滅し、他の白鳥たちは無事に魔法がとけたのですが、王子とオデット姫の2人は抱き合いながら湖へと消えていきます。
子どもたちと一緒に「え?これで終わり?あの2人はどうなったの?」と首を傾げました。
パンフレットによると、原典版にかかわったM.プティパは、主人公たちが自らの死で悪魔の呪いを解くという悲劇的な結末を考えていたようでしたが、当時の検閲により実現しませんでした。それで今回彼の残したメモや振り付け原案を元に再現したようです。
王子とオデット姫は、自らを犠牲にして悪魔を滅ぼしました。その後の日の出シーンに、新たな完全な愛、忠誠、世界の平和を宣言するという意味をこめられているそうです。