今年も行って参りました。美輪さんの舞台に。
年に2回、春と秋に生美輪さん(笑)にお会いするのが、私の心のリフレッシュになっているかも。(笑)
今回も、つくづく思ったんですよね~。『あ~、最近美しいモノを愛でる時間が少なくなっている』って。
もちろん韓ドラは毎日のように見ていますから、
美しい者は鑑賞しているんですけれどね。
なんというか、それらは全部受動的なんですよね。以前のようにもっと能動的な美の鑑賞をすることが少なくなってきたと感じる今日この頃。
さて、美輪さんの「双頭の鷲」です。
この舞台、以前からとても見たかったんです。ジャン・コクトーの描いた美の世界に、とても関心があるんですよね。コクトーは絵画や映画でも、その才能を発揮した人ですから、彼がどのような舞台作品を作り上げたのか、楽しみでした。またそれを美輪さんが、どのようにして私たちの前に再現してくれるのか、それも楽しみでした。
コクトーの映画「双頭の鷲」は持っているので、見たことがあるのですが、美輪さんがどのように“料理”をされているのか、わくわくしながら、この日を待っていました。
舞台美術は、「黒蜥蜴」や「愛の賛歌」の時よりも、バージョンアップしていたようですね。もちろん王妃が住む城が舞台ですから、豪華なのは当然なのですが、作り物の安っぽさがないところが美輪さんのこだわりかしら。舞台美術をみているだけでも、目の保養になりました。
このおはなし、結婚式の日に夫である国王を暗殺された王妃と、彼女を暗殺しようとたくらむ詩人との恋物語なのですが、すべて城の中のシーンなので、動きが無く、さらに俳優のセリフが長かったので、第1幕は少々眠たくなりました。(美輪さん、すみませ~ん
![雫 雫](//plaza.jp.rakuten-static.com/img/user/emoji/h263.gif)
)
また残念だったのは、私はやはり美輪さんの相手役・木村彰吾クンがタイプじゃないんですよね・・・。今回は以前の舞台に比べて練れてきたという印象は受けたのですが、まだどこか青いかな?その青さが「愛の賛歌」の時は、役柄の上でよく合っていたのですが、今回はもっと男の色気が欲しかったです。(笑)
王妃が、亡くなった国王と瓜二つの詩人アズラエルに瞬く間に恋をするのなら、もっと彼女を惹きつける男性としての魅力があるはずだと。
それはなにもマッチョであったり、不必要に「男」を誇示するものではなく、もっと奥深い懐の広さと、少年のようなピュアさを併せ持った魅力があればなぁと思ったのです、(ちょっと注文が多すぎますかね)
高島兄のアズラエル、見たかったです~~~。(彼の演じる明智小五郎は絶品でございました~)
木村クンも、以前より痩せてスレンダーになったし、声はとても魅力的だし、これから伸びていくでしょうね。
他の俳優では、腹黒い警視総監フォーエン伯爵役の長谷川初範さんが、もうちょっとアクの強さを出して欲しかったなぁ~。表面的なワルに終始してしまったような・・・。
今回私が気に入ったのは、パンフレットに書かれた翻訳家・池田弘太郎さんの文章。彼は1999年に他界されていますが、その文章は1997年公演のパンフレットより全文転載されたものです。美輪さんの舞台美術のように、上品で、華麗な言葉が、流れるように記されているんですよね。目に入ってくるのは、何の変哲もない五十音の羅列なのですが、読んでいくと、その五十音が、宝石の輝きを帯びてきます。その変化の具合が、とても感動的です。このような文章を書いてみたいな・・・と思いました。
美輪さんの舞台、今度は「毛皮のマリー」を見てみたいんですけど・・・。