Masato. 岩城けい 集英社
父親の仕事の都合で、家族とオーストラリアにやってきた小学生の真人。姉は日本人学校に通い、翌年の日本での高校受験に備えている。真人は英語が出来るようになるようにと、現地の小学校に転校させられた。最初は全く英語が分からず、意地悪なクラスメイトに「スシ」といってからかわれていた。悲しく惨めな日々。それでも日を追うごとに英語にも慣れ、台湾人のケルヴィンや、オーストラリア人のノアらと友だちになる。真人の世界はぐんぐん広がってきた。反対に英語が苦手な母は、異国で孤立していく。オーストラリアに残りたい真人と日本に連れて帰りたい母。オーストラリアで子どもから少年に成長していく真人の姿がイキイキと描かれ、読後感が爽やか。オーストラリアの小学校にもいじめはある。少数派は何処ででも標的になる。しかし違う点もある。真人は考える。
「最近、英語でないとかんじんなことが言えなくなってきている。英語のほうがしゃべりやすくなっているっていうより、日本語だと、言いたいことがあっても、みんなから目立ちたがり屋とか、へんなやつ、って思われるのが怖いから言えないときがある。でも、英語だったら、『こいつ、こんなことを考えてたのか、すげえな』って友だちに感心されたり、自分の意見が言えてえらいって先生にもほめてもらえる可能性のほうがダンゼン高い」
なるほど、思い当たる。出る杭は打たれるではなく、どの杭も尊重される日本社会になって欲しいと思った。
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最終更新日
2016/01/03 10:35:54 PM
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