被差別の食卓 上原善広 新潮社
以前読んだ「被差別のグルメ」の前編に当たる。
世界各国の被差別民たちのソウルフードを取材している。アメリカではアメリカ黒人のソウルフード「フライドチキン」やモツ煮込みを、ブラジルでは奴隷たちの食べていた「フェジョアーダ」を、ブルガリアやイラクではロマのハリネズミ料理を食する。ネパールでは不可触民サルキの牛肉料理を、自分たちの持っていったスキヤキと共に食べる。最後は日本の被差別地域で食べられている献立が登場する。
驚いたのは、イラクの被差別民たちに、サダム・フセイン人気があったこと。アメリカや日本の報道では、彼は国民を虐げた悪人のイメージだが、イラクの被差別民にとって、自分たちを保護し、住居を提供してくれた恩人なのだ。たとえそれが兵隊確保のためだとしても、差別から生活を守ってくれたということになる。
この本にも思い込みの危うさを教えてもらった。そして知ることのなかった、世界各国の被差別民たちの存在とその食生活。先ずは、自分が何も知らないのだという自覚、そして謙虚に他国の歴史を学ぶ姿勢が大切なのだ。
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最終更新日
2016/03/06 12:30:58 AM
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