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surre_gather - シュールゲイザー

surre_gather - シュールゲイザー

カヴァー曲の世界

カヴァー曲の世界 1
カヴァー曲の世界 2はこちらです。容量オーヴァーの為移転しました。

大好きな曲がたくさんあります。そして、そのカヴァー、ヴァージョンを探すのも一興。このページではそうした多くの曲をまとめ、一覧出来るようにしています。また掲載されている曲で、もっと他にこんなカヴァーがある、面白音源があると云う情報をお持ちの方、ぜひとも教えて下さい。下記のリンクで投稿時の日記にジャンプしますので、コメントの形でご連絡頂けると助かります。


Through Spray Colored Glasses

Ooh Baby Baby

Tristeza
→Tristeza サバービアスイート編
→Tristeza ブリザブラジレイラ編
→Tristeza 未掲載テイク編

Guess I'm Dumb

Bird Of Beauty

LOVE'S THEME (愛のテーマ)

YOU'RE THE SONG

TELEFONE (TELEPHONE SONG)

VAGAMENTE

LOVE WON'T LET ME WAIT

双子姉妹の歌(Chanson des jumelles)


Through Spray Colored Glasses

follow me.jpgthe match.jpgloveletter.jpgtoday.jpg

"Thru Spray Colored Glasses"とも略記?されることもあります。オリジナルは69年のDino,Desi & Billyのサントラ「FOLLOW ME」より、ソフィスケイテッドロックの敏腕デヴィッドゲイツの作品。裏ロジャニコとも呼びたくなるような、草原を駆け抜ける爽やかなカッティングから軽やかに上昇する、流麗なメロディが素晴らしい名曲。撫でるようなソフトな歌唱と包み込むコーラスが最高の組み合わせ。若干録音時間に物足りなさを感じるのが惜しい!この瞬間が何時までも続いて欲しいとさえ思う、ソフトロック最高峰です。こちらのカヴァーヴァージョンが幾つか存在します。どれもオリジナルの特徴的な生暖かいウォールサウンドに忠実。(ところでデヴィッドゲイツのグループ、ブレッドのカヴァーヴァージョンは存在しないのでしょか??非常に気になるところです。)

Dino,Desi & Billy - Through Spray Colored Glasses

五人組ソフトコーラスを存分に聴かせるTHE MATCH。こちらも69年の「A NEW LIGHT」で最高のカヴァーを収録しています。5人ならではの見事に豊潤なコーラスワークが圧巻です。ブリッジに向けて常に上昇するメロディを生かし、織り成す器楽と重なり合う肉声が最高潮に達する瞬間が堪りません。上品な発声とクラシカルな譜割りも大変に端正な印象はソフトロックの鏡です。マッチは数少ないリリースの中でロジャーニコルスの作品を3曲も取り上げるという偏熱ぶり。数あるソフロ名盤の中でもかなり高水準なセンスを堪能出来ます。

続いてLouis Philippeによる覆面プロジェクトによるLOVELETTERのシエスタ盤「BEETHOVEN CHOPIN KITCHEN FRAUD」より。ヴォーカルはサイモンターナー(だと思う。)ソフロというよりサイケ側で攻めたこのテイクも中々味わい深いもの。全体を覆う重くグルーヴするベースラインが通低し、不安定なヴォーカルと浮遊感ある効果音がいかがわしい。それらを傍目に展開する、ルイフィリップの天性のコーラスワークが至上に美しい、技ありの一曲です。

取り敢えず僕の知り得るカヴァー最後は、日本のヒックスヴィル、96年「TODAY」3枚組7インチアナログから、"夏の終わりに"と云うタイトルで収録。CDには未収録ですが、アナログでもカスみたいな値段で手に入れることが出来ます。プチボッサアレンジで重厚なアコースティックサウンドが気持ちよいです。渋谷系ネ暗Jポップとは強い繋がりがある彼らですが、今ひとつ影が薄い。アルバム自体も取り立てて特筆すべき事なし、それでも今、このカヴァーを取り上げるセンスは買いたいです。そう云えば昨年のNHKFMライブビートの放送でもこの曲を演奏したとか。

THE MATCH - Thru Spray Colored Glasses
「A New Light」(1969)


LOVELETTER - Thru Spray Colored Glasses
「BEETHOVEN CHOPIN KITCHEN FRAUD」(1996)


ヒックスヴィル - 夏の終わりに(Thru Spray Colored Glasses)
「TODAY」限定アナログ (1996)



Ooh Baby Baby

miracles.jpg

スモーキーロビンソン&ザ・ミラクルズ65年の大ヒットにして稀代の名曲、"Ooh Baby Baby"("Ooo Baby Baby"とも)。トロトロの三連リズムと生温かい吐息掛かったコーラスが聴くものを虜にする、甘く切なく遣る瀬無い甘茶ソウルの傑作。柔軟な印象のファルセットと弦のトレモロの絡みに、絶妙なゆらぎを感じ大変気持ちよいです。個人的にも甘茶を泥沼に聴き始めるきっかけになった曲のひとつですし、入門としても最適なのではないでしょうか。

Smokey Robinson & The Miracles - Ooh Baby Baby

みんな大好きウー・ベエビイ・ベエビイ、やはりたくさんのカヴァー、ヴァージョンが存在します。これだけ有名な曲ですので、甘茶グループの数だけテイクが存在してもおかしくないところ。ライヴやセッションなどで一回は演奏しているんじゃないか、と勝手に思ってます。甘茶ソウル百科事典ではP18にウィットに富んだ非常に楽しいカヴァー考が掲載されています。そちらでは定番のエスコーツ、ホワットノウツを推してますね。個人的にはエスコーツの後半、止め処ない白昼夢のようなシャッフルかかったビートには夢見心地、長尺に歌い捲る展開も嬉しい。また、記載のあるTamiko Jones版は唯一聴けていないので大変気になるところです。お聴きになられたことのある方は、どのような感想をお持ちになられたのでしょうか。

その他のソウルではファイヴステアステップスのテイクが抜群ですね。弦のピチカートに導かれて美味しいところを凝縮したようなスウィート。レイ、グッドマン&ブラウンも流石、甘さよりもビシッと空気を締める雰囲気がよい。ザップ&ロジャーはちょっと異色ですが、乱れ飛ぶトークボックスは印象的です。ガールズポップのハニーコーンは複雑な曲展開で豪奢なつくり。中盤でガラリとH-D-H調のビートポップスになり、王道のモータウンサウンドで聴かせてくれます。

甘茶グループに限らず、大変広いジャンルでカヴァーされているのが面白いです。意外なところでジャズヴォーカルのエラフィッツジェラルド、ジャズではなく、基本に則ったスウィートソウルを聴かせます。そしてやはり歌の巧さは格別。ポップスのトッドラングレンは普通の出来。15歳で歌ったというラヴァーズのSoniaはなかなか甘く気持ちいいテイク。ルーズな字余りと拙い歌唱力が妙にくすぐります。レゲエ調で下記のリストではKotch、Michele Holland、The Fuzzがありますが、いずれも凡庸な出来。Soniaのカヴァーは突出してますのでオススメです。甘茶Gラップとして有名なリルロブの2005年テイクは流石の出来。サンプルも巧いですが、やはりかなり歌える人です。ウーベエビイのネタ使いはありそうで余り聴いたことないです。もしご存知の方いらっしゃいましたら教えて下さい。

ところでプリンスの2005年のブート「When The Lights Go Down」では2テイクに渡りこの曲をカヴァーしています。繊細なアコースティックで鮮やかにインスト化したものと、ドロドロのヴォーカルスタイルによる熱の篭ったテイク。ホント、この人にスウィートコーラス演らせると危ない。テンプスのJust Imaginationしかり、デルフォニックスのLa La meansしかり、何処までも甘茶マナーに忠実な素晴らしい傑作テイクが多いです。

個人的に聴くことが出来たOoh Baby Babyカヴァー一覧です。まだまだあると思うのですが、もし他にこんなカヴァーがある、面白音源が有ると云う情報お持ちでしたら、ぜひとも教えて頂けると有難いです。(リストはABC順でソート、THEは省略している場合があります。)

edwin starr & blinky - ooo baby baby (1969)
Ella Fitzgerald - Ooo Baby Baby
the escorts - ooh baby baby (1973)
The Five Stairsteps - ooh baby baby
the fuzz - ooh baby baby (1971)※SOUL VOCAL GROUP DELIGHTS VOL.16収録

gary bartz - oo baby baby (1975)
honey cone - ooo baby, baby (1972)
Kotch - Ooo Baby Baby
lawrence & the arabians - ooh baby ※LOST SOUL OLDIES VOL.2収録
Lil Rob - Ooh Baby Babyちょっと雰囲気の伝わらない試聴です。

Linda Ronstadt - Ooh Baby Baby
magnificent 7 - ooh baby baby ※LOST SOUL OLDIES VOL.3収録
Michele Holland - Ooo Baby Baby
ray, goodman & brown - oo baby baby (1976)
Rick Webb - Ooo Baby Baby

Romeo - Ooh Baby Baby ※RAREST OF THE RARE SOUL HARMONY Vol.2収録
ruby turner - ooo baby baby (1988)
shalamar - ooh baby, baby (1977)
sheer magic - ooh baby baby
San Francisco TKO's - Ooh Baby Baby ※BIG BAD BAY AREA VOL.1収録

sylvester - ooo baby baby (1981)
Sonia - Ooh Baby Baby
Todd Rundgren & Utopia - Ooh Baby Baby
the whatnauts - ooo baby baby (1972)
zapp - ohh baby, baby (1989)


TRISTEZA

briza.jpg

アロルドロボ、ニルチーニョの作。65年?のカーニヴァル曲でオリジナルテイクを発表する前にアロルドは脳卒中によりこの世を去ったと云う記述がある。原曲はサンバカーニヴァルらしい手数の多い賑やかなインストですが、歌詞やあの特徴的なスキャット等は一体誰のアイデアが元なのかちょっと判りません。兎に角、沈んだ気持ちをぶっ飛ばしてくれるハイテンションなリズム隊、アッパーなメロディなど数あるブラジル曲の中でもかなり好きな一曲。当然乍ら数多のカヴァー、テイクが存在します。トリステーザとは"悲哀"の意のようですが、悲しみよさようならと唄う歌詞の如く、湿り気など微塵も感じさせない楽しいテイクが多いです。(なおTRISTEZAと付くタイトルの曲は沢山あり、全てが本稿で云うTRISTEZA該当曲ではありません。またメドレー中の一節、タイトル違いで収録されている場合もあり、注意が必要です。)

ブラジル音楽ディスクガイドの老舗、ブリザブラジレイラではまんま"tristeza"と云う項が存在し、数々の収録盤の掲載には全国のトリステーザ愛好家たちを偏熱させたのでした。橋本徹のコンピCDフリーソウル、カフェアプレミディ等にも沢山のテイクが収録され、恐らくカヴァー曲数番付では最多じゃないかな?みんな大好きトリステーザの魅力を深く掘り下げようと、surregatherが個人持ちのデータを纏め紹介致します。今回は取り敢えずリストのみですが、今後の投稿でサバービアスイート編、ブリザブラジレイラ編、未掲載編と聴き所をアップしていく予定です。

サバービアスイート編はこちら
→Tristeza サバービアスイート編


また、こちらに挙げさせて頂いたトリステーザのカヴァーはほんの一部だと思われます。リストに漏れている、知る人ぞ知るトリステーザのテイクを是非とも教えて下さい。(宜しければお聴かせ下さい。)


サバービアスイート推薦曲 - 赤色
サバービアスイート推薦 + ブリザブラジレイラ掲載 - 赤色下線あり
サバービアスイート推薦 = 橋本徹氏のコンピCD収録曲と雑誌RelaxのFREE SOUL 2001掲載曲を反映しています。
ブリザブラジレイラ掲載曲 - 橙色

"*"は当方未聴分です。宜しければお聴かせ下さい。

* Ana Gonzzola,Sonia Santos / Tristeza
* Annete Sanders / TRISTEZA
Antonio Adolfo / Tristeza New!
Antonio Carlos Jobim / Tristeza
ASTRUD GILBERTO & WALTER WANDERLEY / GOODBYE SADNESS 〔TRISTEZA〕

baden powell quartet / tristeza
Baden Powell, Sergio (bass) and Milton Banana / TRISTEZA
birgit lystager / tristeza (christina)
* Bob Mover / TRISTEZA
Bonfa & Toledo / Tristeza

BORIS / Teresa(tristeza) New!
BRAZIL / TRISTEZA
Bruno Battisti D'Amario with Edda Dell'Orso / tristeza
Calros Lyra / Tristeza
Chip Shop Boyz / Tristeza

Claudette Soares, Taiguara & Jongo Trio / Tristeza
Clementine / Tristeza
* Coconuts Crew / TRISTEZA
CORCOVADO / TRISTEZA
Daniel Barenboim / Tristeza New!

Dom Salvador Trio / tristeza
* DON CUNNINGHAM AND COMPANY / TRISTEZA
DORIS MONTEIRO E MILTINHO / MEDLEY; TRISTEZA
EL CHICLES / TRISTEZA
Electro Dub Tango / tristeza
ELIS REGINA / TRISTEZA
ELIS REGINA E JAIR RODORIGUES/ TRISTEZA

Elza Soares / Tristeza
Eumir Deodato e Os Catedratico / TRISTEZA
* Evaldo Montenovo and His Group / TRISTEZA
FREDDY COLE / TRISTEZA
GIMMICS / THERESA (tristeza) New!

GREETJE KAUFFELD / TRISTEZA
haroldo lobo & niltinho / tristeza
* Hugo Luiz / TRISTEZA
Jack Parnell & His Orchestra / Tristeza
JAIR RODORIGUES/ TRISTEZA

Jair Rodrigues / Medley- Triste Madrugada-A Minha Madrugada-Tristeza
* Jim Pirie / TRISTEZA
* JOSE BARRENSE-DIAS / TRISTEZA
L.A. Transit / TRISTEZA
les baxter / tristeza that sadness

* Les Tropicaux / Tristeza
Lill Lindfors - Teresa (Tristeza)
LOS MACHUCANBOS / Tristeza New!
Lyrio Panicali and His Orchest / Tristeza
Marcos Valle & Azymuth / Tristeza

Maysa Matarazzo / Tristeza
Mike Falcao / TRISTEZA
Miltinho - Tristeza
Milton Banana Trio / Tristeza
* Opa / TRISTEZA

Organo Meloico / Tristeza
Os Bossa Tres, Leny Andrade & Pery Ribeiro / Medley O Pato
Os Poligonais / TRISTEZA
Oscar Peterson / TRISTEZA
Paul Mauriat Quarteto / tristeza

Pery Ribeiro + Bossa Tres / TRISTEZA
Rita Reys & The Pim Jacobs Orchestra / GOODBYE SADNESS 〔TRISTEZA〕
* Rob McConnell and The Boss Brass / TRISTEZA
Rosamaria Murtinho & Bossa Jazz Trio / Tristeza
Samba Trio / Tristeza

* Sambatuque / TRISTEZA
* Sebastiao Tapajos / TRISTEZA
SERGIO MENDES & BRASIL'66 / TRISTEZA (GOODBYE SADNESS)
SONIA ROSA / TRISTEZA New!
* Steva & Eydie / TRISTEZA
SUSANNAH McCORKLE / TRISTEZA(SADNESS, PLEASE GO AWAY)

* Tete Montoliu / TRISTEZA
Toquinho & Vinicius / tristeza
Toquinho / Tristeza (Instr)
* Tres Na Onda / TRISTEZA
* TRIO PAGAO , T. MISAGO & HIS TOKYO CUBAN BOYS / TRISTEZA

* Two Man Sound / TRISTEZA
* Viva Brazil / TRISTEZA
WALTER WANDERLEY / TRISTEZA
* Ximo & Judy / Tristeza
Zimbo Trio / Tristeza

沢田駿吾クヮルテット / トリステッサ(TRISTEZA) New!
* 金子晴美 / TRISTEZA
* 桜田淳子 / TRISTEZA
小沼ようすけ / TRISTEZA
渡辺貞夫とブラジリアンオクトパス / Tristeza (Goodbye Sadness)
長谷川きよし / TRISTEZA


※2009.7.25 追加修正致しました。


Guess I'm Dumb

glen campbell.jpgbigwave.jpgivory.jpgワンダフルワールドのWondermints.jpg

雄大な自閉的世界が拡がり続けるようなミニマムシンフォニー。ビーチボーイズのブライアンウィルソンの楽曲の中でも一、二を争う大好きな一曲です。オリジナルがグレンキャンベルの65年と云うことで、ブライアンウィルソンがライヴ活動を放棄しスタジオに没頭するようになる初期の作品になります。エキゾティックなベースラインと空間を駆使した打楽器が、妙な神秘性を醸しています。漠々と厚みが増すオーケストラアレンジや、ここぞと云うコーラスにもゾクゾクする心地。YOUTUBEで聴くことの出来るグレンキャンベルの堂々の歌いっぷりが見事。正装が似合う素晴らしい交響曲ですね。そしてたった3分間のポップスにこれだけのアイデアと可能性を詰めこんだブライアンの手腕には惚れ惚れ致します。

オリジナルテイクの関連でビーチボーイズの「Today」期にまつわるブートレグには初期の録音段階と思われるテイクが聴けます。オリジナルより10数秒間アウトロが長い。コーラスが荒くミックスされており、逆に構成をよく聴き取ることが出来ます。また、ハニーズのテイクは女性3人のガールズポップだと思いきや、グレンキャンベルのテイクそのまんま。イントロのミックスがほんの少し違うだけです。コーラスにハニーズが参加しているのでしょうか。詳細はよく判りません。

Glen Campbell - Guess I'm Dumb (1965)

以下、あまたあるカヴァーについて。一番古いところで67年のジョニーウェルズのシングル、(どういった方でしょうか??スタンダート歌手?)こちらが大変味わい深いです。ややおっとりと重みのあるスピードで、伸びのある歌唱にはリヴァーヴたっぷりの豊潤な音像。よいカヴァーです。続いてお馴染みな感がある山下達郎さんのテイク。爆音で浴び続けたい音のシャワーと、上昇する高気圧ハーモニーが堪りません。このテイクでゲス・アイム・ダブを初めて聴いたと云う方が多いようです。個人的に初聴が続いてのルイフィリップのテイク。静かで壮言な雰囲気から徐々に熱を帯び、一気に急加速してトップギアに持っていく、緩急極めた構成が素晴らしい。ただでさえ美しいメロディに、ルイの国宝級に艶やかな歌声と多重コーラスに圧死。かなりオススメです。この辺までがオールドスクールでしょうか。

93年のデヴィッドガーランド。ビーチボーイズのマニアックな曲中心のカヴァーアルバムを発表していますが、隙間だらけのアコースティックサウンドはどこか味気ない。新しい視点と云えなくも無いが歌も巧くないし・・・。新世代筆頭のワンダーミンツはブライアンの現在のバンドをサポートしているらしいです。大変なビーチボーイズフリークで、あの幻の名盤スマイルのブライアン盤にも一役買ったとか。大変愛のあるカヴァーで、シンセ主体の新めの質感ではありますが、基本に忠実なコーラスにより鮮やかに現代に転身。好感がもてます。続いてジュールズシアーというカルトSSWのカヴァーですが、新しい発見の少ない微妙な出来。好みの問題でしょうが、歌声も繊細なメロを表現するだけの味がないです。最後にDumb Danと云うテクノ系?の方の打ち込みトラック。原曲を冒涜するような荒いぶっこ抜きサンプリングで聴くところなし。まあ、好みの問題でしょうかネ。

尚、2002年に「The Songs of the Beach Boys 」というダサいジャケのトリビュート盤が出ており、Dani Sheridanと云う人のカヴァーを確認出来ますが、此方は未聴。(お聴きになられたことのある方はどのような感想をお持ちになられたのでしょうか。)また、他にもこんなカヴァー、テイクが存在するといった情報ありましたら、是非とも教えて下さい。

JOHNNY WELLS - GUESS I'M DUMB
PARLOPHONE R5559 (1967)

山下達郎 - GUESS I'M DUMB
「BIG WAVE」(1984)

Louis Philippe - Guess I'm Dumb (ご本人のHPより。中段辺りにダウンロードソースがあります。)
「Ivory Tower」(1988)

David Garland - Guess I'm Dumb
「I GUESS I JUST WASN'T MADE FOR THOSE TIMES」(1993)

Wondermints - Guess I'm Dumb
「ワンダフルワールドのWondermints」(1996)

jules shear - guess i'm dumb
「sayin' hello to the folks」(2004)

Dumb Dan - Guess I'm Dumb (2006)


Bird Of Beauty

stevie.jpgsol.jpgmash.jpgCecil Brooks.jpg

天才スティービーワンダー数ある名曲のひとつ。詞にあのセルジオメンデスが関わっていると云うことです。(セルメンの新作もなかなか充実でしたね~。)軽やかなミディアムボッサ風のリズム隊も相まって、清涼感のある女性のスキャットコーラスを全編で聴かせ、若さ溢れる傑作ヤングソウルとしたい。Aメロ、Bメロの素晴らしいメロディは筆舌に尽くしがたく、それに続く黄金率的Cメロも全く美しい。後半の興奮が頂点に達するかのような、オクターヴ上がってのソウルフルな歌唱の展開は最高。スティービー自身の抑えられない感動表現を堪能することが出来て幸せです。

Stevie Wonder - Bird Of Beauty
「Fulfillingness' First Finale」TAMLA332 (1974)


聴くことの出来ているカヴァーヴァージョンが下記にありますが、どのテイクもほぼ外れなしで素晴らしい出来ばかり。一発目の75年、SOLは昨今の再発で話題となったメキシコのグループのようです。須永のテープ、MUROのテープにも収録の二冠テイク。このヴァージョンが一番BPM早く、振り乱すラテン汁でフロアを爆発させること請け合い。高速パーカッシヴが気持ちよくて堪りません。76年のエスタースターフィールドはラフながらもヴォーカルが巧い。77年、アーネスティンアンダーソンは橋本徹のCAFE APRES-MIDI収録。正統派バップジャズの自由度の高い演奏で、転がり舞うようなピアノが印象的。

面白いところで80年の和モノコーラス、ITS'のテイク。リードの男性に続き、スパークする女声コーラスがラテンの弾ける風味に加え、開放感いっぱいで素晴らしい。90年のTスクエアの和フュージョントラックも完成度高し。不思議な音色のシンセの音圧が飛び交うエレクトロサンバといった態で血圧上がります。96年のMASHはなんとあの、新世紀エヴァンゲリオンの音楽を担当した鷺巣詩郎氏のプロジェクト。ロリータヴォイスのヴォーカルと腰グルーヴの利いたトラックでなかなか聴けます。エヴァの音楽も色眼鏡なしで聴けば良いですよね。鷺巣詩郎さん、かねてからbmr誌での連載でお名前を拝見していましたが、最近気になる方のひとりです。

06年のカチア、橋本徹が熱を込めて推していましたね。オーソドックスなラテンヴォーカリストで個人的には可もなく不可もなく。続いてCecil Brooks III & Gene Ludwigと云う、ちょっと詳細分からないのですが、このテイクが最高。粒の揃ったドラムに支えられ、冴えまくったオルガンを豊潤に響かせる、こちらもBPMかなり高めのファンキートラック。6分半と云う長尺も嬉しく、後半のいきり立った展開には汗が噴出します。最後、アンジェリークと云う無名の女性。スティールパン使いのラテン風味割増で、ヴォーカルも艶がある。

こうして聴いてみるとジャズアレンジが多く、どれもオリジナルよりBPM早いのが面白いですね。カヴァーはざっと調べただけでもやはり多くあり、全てを網羅しているとはとても思えません。下記に年代順のリストを記載しましたが、まだまだ個人的に知り得ないカヴァーヴァージョンが存在するような気がしてなりません。とても大好きな曲ですので、もしこの他にもご存知の方がいらっしゃいましたら、是非とも教えて下さい。

SOL - Bird Of Beauty
「SOL」(1975)


HERBIE MANN - Bird Of Beauty
「DISCOTHEQUE」(1975)


ESTHER SATTERFIELD - Bird Of Beauty
「THE NEED TO BE」 A&M/AMERICA (1976)


Ernestine Anderson - Bird Of Beauty
「Hello Like Before」Concord/CJ31 (1977)


Hank Marvin - Bird Of Beauty
「The Hank Marvin Guitar Syndicate」(1977)


ITS' - Bird Of Beauty
「Rainbow」VIJ-28002(1980)


Svante Thuresson - Bird of Beauty
「Just In Time」(1982)

須永辰緒「Organ b. suite no7」収録

Stanley Turrentine - Bird of Beauty
「WONDERLAND」(1987)


T-Square - Bird Of Beauty
Wordless Anthology I (1990)


MASH featuring Hazel fernandes - BIRD OF BEAUTY
「BLACK BEAUTY」(1996)


Marilyn Scott - Bird Of Beauty
「Take Me With You」(1996)

橋本徹「音楽のある風景」(ショップ特典CDR)収録

Nnenna Freelon - Bird Of Beauty
「Tales of Wonder」(2002)


Noa Noa - Bird Of Beauty
「Bebe」(2004)


CATIA - Bird Of Beauty
「Saudade De Paris」(2006)


Cecil Brooks III & Gene Ludwig - Bird Of Beauty
「Double Exposure」(2006)


Angelique - Bird Of Beauty
「Around World In A Groove」(2006)


2008.3.12更新


LOVE'S THEME (愛のテーマ)

barry white loves theme.jpgErlon Chaves.jpgWARM HEART COLD STEEL.jpgrudyrodalp.jpg

無限の愛を奏でる男、バリーホワイト。問答無用の名曲、"LOVE'S THEME (愛のテーマ)"を何かのCM、何処かの街できっと一度は耳にしたことがある筈。一糸乱れぬストリングスが脳天を突き抜けるイントロ、溌剌としたリズムギターに絹の輝きを持つホーンが絡み、至福の如く愛の旋律に溜息が出ます。愛を語り、愛に溺れ、愛を誓う、言葉に成らないドラマを抽象した傑作中の傑作。数多くのカヴァーが存在するようですが、個人的に聴けたのが以下のみです。他のカヴァーテイクをご存知の方がいらっしゃいましたら、是非とも教えて下さい。

LOVE UNLIMITED ORCHESTRA (Barry White) - Love's Theme
「Rhapsody In White」(1973)


ラヴアンリミテッドはバリーホワイトがプロデュースした3人娘ですが、同年にヴォーカルの付いたテイクを発表しています。なかなか艶のあるヴォーカルワークを聴かせてくれており、そしてやはり従える豪華なオーケストラが見事なこと。Erlon Chaves(エルロン・シャーヴィス)はブラジルの職業アレンジャーといったところでしょうか。自らが指揮する本テイクは、南国の陽気な混声コーラスを肉厚に用いた、トロピカルでアッパーなヴァージョン。途中で纏わり付くエレピも最高の雰囲気です。続いてアンディウィリアムズのテイクは昨今の鈴木雅尭氏による「premium cuts #006」で鮮やかに冒頭を飾った素晴らしくジェントルな一曲。ラウンジィな柔らかさと包容力のあるヴォーカルの温か味が魅力的です。

Fausto Papetti(ファウスト・パペッティー)はイタリアのサックス奏者らしいですが、少々重いグルーヴで端正なプレイを聴かせてくれます。同じく75年の20th Century Steel Band、フリーソウル2001で紹介、またMUROの収録テープでも珠玉の輝きを放っていたスティールパンクラシックス。清涼感溢れるプレイはアルバム通して聴きたい真夏の必須アイテムですね。JULIO IGLESIAS(フリオ・イグレシアス)はスペインの国民的歌手だそうで、ネオアコのような爽やかカッティングに似合わないもちもちしたヴォーカル。これでロリ声だったら最高だったんだけど、残念ながらおっさんです。

一気に00年代、まずは元シンバルズの土岐麻子。ヴォーカルが少々さっぱりし過ぎる感じの譜割で流れが悪い。無限の愛を唄うには自力が足りないのでは??然し乍らどっしりグルーヴのある演奏や転がるエレピなどバックは聴き処が多いです。あと20年くらいして、酸いも甘いも噛み分けたドロドロの熟女になったらもう一回再演して欲しいところ。マニーマークのカヴァーは音子飛び交うドメスティック音響なテイク。最後に、年代不詳なのですがRudy Rosaのカヴァーが物凄いのでご紹介。重なり増幅する電子音とナマのドラムブレイクが疾走する人力テクノ?ピコピコした無機質な音色からは愛の温か味もクソもないですが、何故か飛びぬけて楽しいテイク。愛をオモチャにし、愛に遊ばれる不貞な一曲です。

Love Unlimited - Love's Theme (vocal Version)
(1973)


Erlon Chaves / Love's Theme
「Banda Veneno Internacional Vol.4」(1974)


Andy Williams - Love's theme
「The Way We Were」(1974)


Henry Mancini - Medley (Love's Theme & T.S.O.P.)
「Pimpin' With Mancini」(1975)


Fausto papetti - Love's theme
(1975)


20th Century Steel Band / love's theme
「Warm Heart Cold Steel」(1975)


JULIO IGLESIAS - Love's theme
「El Amor」(1986)


土岐麻子 / Play Our Love's Theme
「Love's Theme」(2004)


Kim Waters / Love's Theme
「In The Name Of Love」(2004)


Rick Braun / Love's Theme
「Yours Truly」(2005)


Woodrow Jackson Orchestra with Money Mark / Love's Theme
「Guilt By Association」(2007)


Montefiore Cocktail / Love's Theme

Rudy Rosa - Love's Theme
「Musical Climax with Ray Rosa and his Custom X-66 Hammond Organ and Synthesizer Complex」



YOU'RE THE SONG

TR harmony works inthe studio 71-93 insert.JPGJackie Wilson.jpgThelma Jones.jpgJIMMY BARKAN.jpg

ブリティッシュ・キング・オブ・ハーモニーこと、トニーリヴァース渾身の一曲。元々はジョンペリーというシンガーとのデュオでハリウッドフリーウェイのテイクが原曲。このテイクに満足いかなかったと云うトニーリヴァースが75年に再演、此方のヴァージョンがやはり凄い。

幾つかのカヴァーが確認されています。76年のジャッキーウィルソンは地声の力強いヴォーカルスタイルで印象付ける、オリジナルに忠実なテイク。ハーモニーは控えめに、飽くまでメロディライン主体のソウルに仕上げた。どうも、リヴァーのテイクに喰われている感はある。77年のUDELL(ウデル?)は詳細が良く判りませんが、70年代スウィートコーラスのひとつでしょうか。凡庸な出来で、リヴァーのように突き抜けたイメージの押しが足りない。

78年のテルマジョーンズ、土臭く自分の歌にしている所が好印象。アーバンディスコな雰囲気もあり、フリーソウル好きな方には受けるかも。当方で聴けているテイクが2分40秒と、ちと物足りない。ロングヴァージョンがあるなら、其方で堪能してみたいところです。JIMMY BARKANもディスコ臭くてなかなかいい雰囲気。独自のキャラクターを持ったストリングスアレンジも興味深い。当方未確認で、フランキーヴァリ、またチャックジャクソンのカヴァーヴァージョンが存在するようです。(他にもあるのかな。)其方をお聴きになられたことのある方は、どのようなご感想をお持ちになられたのでしょうか。非常に気になります。

Hollywood Freeway - You're The Song(That I Can't Stop Singing) (1973)

RIVER - You're The Song(That I Can't Stop Singing) (1975)


Jackie Wilson - You're The Song
「Nobody But You」(1976)


* FRANKIE VALLI - You're The Song
「VALLI」(1976)


UDELL - You're The Song
「This is the Magic」(1977)


Thelma Jones - You're The Song
「Thelma Jones」(1978)


JIMMY BARKAN - You're The Song
「LOVE IN YOUR LIFE」



つづき カヴァー曲の世界 2はこちらです。

工事中


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