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surre_gather - シュールゲイザー

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目眩めくハーモニーの世界 2

目眩めくハーモニーの世界 2

目眩めくハーモニーの世界 1はこちらです。

MPB4.jpgCOOL FIVE.JPG

【ハーモニー指数 84
Carlton and the Shoes / Sincerely Yours
「Love Me Forever」(1968)


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ジャマイカ産、奇跡のコーラスグループと云う所以に異論なし。胸をキュッと鷲掴みされるような、甘酸っぱく高まる冒頭のハーモニーが最高。甘く切ないコーラスが十二分に活きる黄昏系のメロディも秀逸で、喉元に熱さが込み上げる瞬間です。オレンジ色に燃えたジャケットのイメージを彷彿とさせる、色彩鮮やかな名曲だと思います。豊潤なオルガンのテーマは狂おしく響き、引き続くリードと切ないハーモニーの緊張感を持続させているようです。歌、器楽ともにモコモコの処理が施され、奥行きのある空気感や高湿度の音響が素晴らしい。(試聴

カールトン・アンド・ザ・シューズはFantastic Plastic Machine・田中知之さんのコンピレーションで"Love to Share"が紹介されており、大学時代に初めて耳にしてひと聴き惚れしました。それまでレゲエの単調な音楽に殆ど興味がなかったのですが、なんと豊かな音響であるのかと絶句。その後ロックステディ、ラヴァーズロックについて泥沼に嵌るきっかけでした。

メロディコーラス効果和声純度BPM効果リヴァーブ器楽緩急イントロ長さボーナス(甘酸っぱく高まるコーラス)
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ハーモニー指数
84


VOX POPULI / DOMINGO
「VOX POPULI」(1967)


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ヴォクス・ポプリと云う、弾ける汗を撒き散らすブラジルの青春コーラスグループ。後のグルーポマニフェストに参加するAmauri Tristão、Fernando Leporace、Guto Graça Melo、またテンポトリオに参加していたHelvius Vilelaなどなど、ブラジリアンジャズボッサにつき関わりの大きいメンバーを擁するスーパーグループです。演奏のグルーヴは折り紙付ですが、コーラス好きが興じて集った印象の、ハーモニーに溢れた楽しい作品。このグループは全曲アルバム未収録のウルトラレアEPもあるようで、もしご存知の方居らっしゃいましたらぜひ内容の如何を教えて下さい。

3曲目の"DOMINGO"はイントロから爆裂ジャズボッサで度肝を抜かれる最高の仕様。冒頭の無茶苦茶なスキャットから一転して頬の緩むような優雅なムードまで、緩急緩と目眩めく展開にはドキドキしっぱなし。Helvius Vilelaの要所ごとの軽やかなピアノが堪らなく魅力的ですね。演奏のパートごとの粒も肌理が細かく、短い時間乍らも非常に豪華な時間を味わえます。男性7人女声一人と云うことで男声合唱特有のハーモニーの厚みに加え、女声コーラスの奥行きある印象も。混声コーラスでは珍しい編成ですが、効果が突出した理想的なコンボだと思います。こちらで全曲試聴出来ます。(試聴

メロディコーラス効果和声純度BPM効果リヴァーブ器楽緩急イントロ長さボーナス(無茶苦茶なスキャット)
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ハーモニー指数
84


Marcos Valle / Dia de Vitoria
「Mustang cor de sangue」(1969)


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2009年4月の下旬にマルコスヴァーリが来日されました。ブラジリアンソフトグルーヴのゴッドファザー、甘茶ソウルで云うならTHE MOMENTS、A&Mで云うならRoger Nichols、ムード歌謡で云うなら内山田洋とクールファイヴ、的存在(?)。数多くの傑作アルバムがあり、また本人名義意外でもサントラや覆面参加、シングルオンリー、企画モノまでとても追い切れる気がしないです。しかもどれも甘く危険に芳しい名作ばかり。cafe apres-midiでの良質コンピレーションがありますが、其れ一枚聴いて判った気になってたらとってもアブナイよ。アルバム単位で聴き進める程に、未知の可能性を示唆してくれる魔法がかった珠玉のポップソングを発見出来ると思います。

大好きな69年の「Mustang cor de sangue」と云うアルバム中、最もハーモニーに溢れた6曲目"Dia de Vitoria"。コンピ未収ですが、声による威風堂々とした壮大なオーケストレーションが素晴らしい一曲。ロマンティックに上昇し続ける旋律から零れ出すように豊潤なリードヴォーカル、途中に想い溢れて堰を切るように放たれるハーモニーの洪水には胸を掻き毟られ敢え無く昇天・・・。コーラスの変化を嫌味な程ドラマティックに仕立て上げた、アレンジ勝ちな面も顕著な名曲です。

メロディコーラス効果和声純度BPM効果リヴァーブ器楽緩急イントロ長さボーナス(ドラマティックな構成)
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ハーモニー指数
84


O Cafona - Trilha Sonora Original
O SOM LIVRE / BIA BIA BEATRIZ

SOM LIVRE (1971)


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ブラジルのTVサントラ、いわゆるノヴェラより。ノヴェラは一枚の盤で沢山の音楽性を楽しむことが出来ますし、ブラジルのこの手の作品はまずハズレなし。こちらのレコードはマルコスヴァーリが多く関わっておりますが、MPBに傾向した時代の黒いソウルを感じることが出来ます。サバービアスイート紹介盤でANGELA VALLE & PAULO SERGIO VALLEの表題曲がリラックス誌に掲載。参加アーティストやアレンジャーなどどれをとっても最高峰の一枚。

ハーモニー指数的に注目すべきは、O SOM LIVREと云う7人組みのコーラスグループによるナンバー。イヴァンリンスのグルーヴィソウルを、まるでファンクバンドのスウィートソウルの如くしなやかな筋肉で歌い上げた、奇知に富む名コーラス。パパパコーラス、横に流れる男女コーラス、跳ねるスキャット、若気の至りとも云えそうなあらゆる要素を詰め込めるだけ詰め込んだ楽しい作品です。同じくノヴェラ収録では「Minha Doce Namorada」、「O HOMEM QUE DEVE MORRER」で一曲ずつ確認しており、双方フレッシュな素晴らしい録音。単独シングルなどを見掛けないところみると、請負の職業コーラスグループなのでしょうか。彼らは若いエキスの躍動感溢れるコーラスが魅力ですが、単独作があるならぜひとも聴いてみたいところです。

メロディコーラス効果和声純度BPM効果リヴァーブ器楽緩急イントロ長さボーナス(しなやかなファンクマナー)
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ハーモニー指数
84


The Singers Inc. / Baubles,Bangles and Beads
「Bossa Nova!」(1963)


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ソフトロックの職業アレンジャーが集い、ひたすらただ楽しくハモると云う素晴らしい企画盤。ハリーニルソンのGeorge Tipton、ハーパスビザールのPerry Botkin jr.などの凄腕が喉を奮います。ボサノヴァの生誕が1958年、その後63年にはスタンゲッツのアルバムで人気は爆発的なものに。世界各地で熱狂的なボサノヴァブームが起こったと云いますから、その煽りとはいえ此の様なボッサmeetsソフロの傑作を聴くことが出来るのは大変幸せに思います。

各コンピ頻出の"Liebestraum"がやはりスムースで最高ですが、このアルバムは本当に捨て曲ナシ。ランタイム28分と云う潔さで、ヴォーカル好きには堪りません。お茶目なスキャットに溢れた"Baubles,Bangles and Beads"も聴き処。多くのジャズミュージシャンがカヴァーしていますが、此方の楽しさも抜群です。頬が緩んでしまうような軽快なリズムと、快活な混声ハーモニーはもたつかずよい流れ。言葉遊びのような歌詞が更に縦を強調するようで、高水準のダンスミュージックレコードですね。未聴でしたら、ぜひともご試聴下さい。(試聴)

メロディコーラス効果和声純度BPM効果リヴァーブ器楽緩急イントロ長さボーナス(踊れるコーラスアレンジ)
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ハーモニー指数
84



【ハーモニー指数 83
LES MASQUES - Mais Un Jour...
「Brasilian Sound」(1969)


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レ・マスケスというフランスのコーラスグループ。こちらはブラジルのトリオ・カマラとの共演盤。強烈なスキャットと唸り痺れるホーンから拡がる甘ったるいコーラスはしっとり充実。更に曲調ががらりと変わり、ホーンを模した勢い付く分厚いハーモニーが雄雄しい男声リードを包む。各テーマの性格がはっきりしており、行き交う曲調は大変楽しいです。メロディもコーラスも一筋縄ではいかない。一曲で二粒も三粒も楽しい、最強のモンドミュージック。この他に各ミックステープでお馴染みのキラー"Il Faut Tenir"や強烈なバトゥカーダが衝撃的な"ECHO"など、聴き処満載。

69年のオリジナルが再発したのは確か00年くらいで、その時買った本盤は個人的にはブラジリアンコーラス筆降ろし、あまたあるコーラス作品から泥沼迄追詰められる契機となった張本人。マスケスとの出逢いは衝撃そのものでしたし、死ぬ迄聴き続けると誓う。再発元のDARE-DAREっていうレーベルがまた激ヤバでして、中でも「LA GUEPE」っていうコンピシリーズは間違いなく即悶絶、絶対にオススメします。
メロディコーラス効果和声純度BPM効果リヴァーブ器楽緩急イントロ長さボーナス(スキャット)
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ハーモニー指数
83


Luiz Arruda Paes seu Coro e Sua Orquestra / O Apitono Samba
「Brasil em Tempo de Danca」MOFB 3121 (1961)


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ブラジルのルイス・アフダさんは古くから自分の楽団を従え、指揮者としてもアレンジャーとしても活躍されてきたようです。50年代から60年代にかけてたくさんの録音を残しており、ジャズのコーナーやワールドのコーナーでしばしばお見かけします。(70年代からは主にアレンジャーとしてMPBの作品に名を連ねる。)50年代のブラジルのレコードって殆ど退屈で詰まらないものばかりなのですが、このluiz Arruda印はまず、間違いない内容です。アレンジが濃く、奇知に富んでいる。情念に満ちたねちっこい演奏も聴きどころがたくさんあります。残念ながらご本人さんの詳しい情報を知る術がないのですが、もし人となりについてご存知の方いらっしゃいましたら是非とも教えて下さい!youtubeにタクトを振ってられるご本人の動画があります。6分くらいから始る、ラヴェルの"ボレロ"が何といっても素晴らしい。変わらずネチネチしてます笑

彼の合唱団と彼の楽団を率いた「Brasil em Tempo de Danca」は、極めて濃厚なビックバンドが大変魅力的な、最オススメ盤。繊細なコーラスは感じられないまでも、本当に、凄すぎる。2曲目"O Apitono Samba"は鮮烈なイントロのサンババトゥカーダが強烈過ぎる。ランバート・ヘンドリックス&ロスよろしく、こちらも器楽を模した大編成スキャットが豪華絢爛な耳心地です。途中でブレイクするヴァイヴの音色は一瞬涼やかですが、火傷するような合いの手コーラスの激情ぶりを寧ろ引き立てるかのようです。ラストのスパートも感極まる印象。大合唱コーラスものは単調になりがちですが、ここまで飽きない演奏もなかなか無いのでは?(試聴)なお、「幻の名盤解放同盟~大映レコード蒸発編 おじさまいや?」収録の黒沢良,麻里エチコ"キッスしてっ"はこちらの9曲目"adues"のコーラスアレンジをパクっている。まあ、いいんですが、凄いトコからもってくるなぁ、と思いまして・・・。

メロディコーラス効果和声純度BPM効果リヴァーブ器楽緩急イントロ長さボーナス(激情のスキャット)
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ハーモニー指数
83


The Doodle Town Pipers / Under The Sea
「Love Themes」(1968)


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総勢20名の大所帯の高圧コーラスグループ。1st(3枚目)、2nd(4枚目)は確かに20人居るのですが、3rdアルバムの裏ジャケで確認出来るのは19名のみ??男性ひとり脱退したのか死んじゃったのかですかね。3枚のレコードは全て趣向も音楽性も変わらず、若くて躍動感のあるコーラスで有名曲をカヴァーしています。それぞれに聴き処あり、其れ程レアなわけでもないので簡単に手に入ると思います。

"Under The Sea"は彼らの十八番とも云える青春爽やかポップ。憂いを帯びたメロディは滑走し、ちょっぴり切ないパパパコーラスとの絡みが何だかこの季節にぴったりです。澄んだ空気に突き抜ける秋晴れの空を見上げながら聴きたい一曲。他の楽曲がビートを強調して若者向けであるのに対し、アコースティックピアノと控えめな管楽器がとても上品。それでいてやはり、若さが息吹くような色艶あるハーモニーワークは堪りませんね。(試聴)この盤はASSOCIATIONの"Cherish"の複雑なハーモニーや、BOBBY HEBBの渋い"SUNNY"など多彩に収録。

メロディコーラス効果和声純度BPM効果リヴァーブ器楽緩急イントロ長さボーナス(青春爽やかポップ)
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ハーモニー指数
83



【ハーモニー指数 82
LETTERMEN / PUT YOUR HEAD ON MY SHOULDER
「PUT YOUR HEAD ON MY SHOULDER」(1968)


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60年代カレッジフォークの名グループとして数々のヒット曲を持つアメリカの3人組。ホワイトDOO-WOP以降の洗練されたドリーミーなコーラスを堪能することが出来ます。とは云っても所詮ユルユルのオールディーズ。多くのバラードは美しいだけで毒の無さすぎるものが多いですが、注意深く聴くと此のような素晴らしい曲に出逢います。

グループの最充実期に放たれたシングル。オリジナルはポールアンカのヴァージョン。冒頭の溌剌としたストリングスに淀みない気流を感じます。ユニゾンの後に膨れ上がるハーモニーは効果抜群で全く以って絶品。ラストで転調する箇所は少々あっさりしていて物足りないですが、感動的な重み付けは印象的です。この曲は山下達郎さんが、昔ウェディング曲特集でオンエアしていました。やはりこの6/8と云う3連のリズムが功を奏し、純白のムードを盛り立てている気がしますね。他の6/8のバラードではジャズスタンダート曲"The Way You Look Tonight"、"When I Fall In Love"などが大変スムースに演奏されており、お気に入りです。(試聴)

メロディコーラス効果和声純度BPM効果リヴァーブ器楽緩急イントロ長さボーナス(溌剌としたストリングス)
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ハーモニー指数
82


AQUARIUS / Chega de Saudade ~想いあふれて
「AQUARIUS」Continental (1976)


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プロデュースのハイムンド・ビッテンコウルさんは60年代のオ・グルーポと云うソフトコーラスグループを率いた後、主にプロデューサーとして数々の名盤を生み出してきました。ブラジル音楽のディスクガイド、「ムジカロコムンド2」には、その導入、引いてはブラジリアンソフトロックの要として彼の関わった以下の五枚のディスクが紹介されています。どれも脳内を覆い尽くすようなハーモニーが心地よい快楽盤。それぞれで演奏曲が微妙に被っており、アレンジや手法の聴き比べも大変楽しいです。

アクエリアスと云うグループ、ブルニエール&カティエールのブルニエールとの共作で、「Burnier & Cartier」のアルバムから2曲を再演しています。リードヴォーカルは主にルイスアントニオ、その他皆さんがコーラスを取っています。圧倒的に柔らかい彼のヴォーカルを、オーロラのように分厚く輝く多重コーラスが包み込む蕩ける音像が誠に素晴らしい心地。特に7曲目はトム・ジョビンとヴィニチウスの有名曲"Chega de Saudade(邦題:想いあふれて)"ですが、簡素なボッサが寧ろ栄える、高圧なコーラスアレンジが堪らなく個性的なテイク。和声を主体にし飛び交う声をクールに纏め乍ら、決してコーラスだけに固執しない、各々の素材が最大限に活きバランス感覚に優れたカヴァーだと思います。ソフトコーラスの何足るかを知り尽くした、ハイムンドと云うコンポーザーあってのサウンドです。(試聴

メロディコーラス効果和声純度BPM効果リヴァーブ器楽緩急イントロ長さボーナス(ソフトグルーヴマスター)
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ハーモニー指数
82



【ハーモニー指数 81
Piri - Cupido Esculpido
「Vocês Querem Mate?」LP-RSQ3(1972)


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ピリ、という魔法。ブラジルの浮世離れどマイナーレーベル"QUARTIN"から発表された、"モラルの欠片もない"ジャケの怪盤。荷車に全裸で4人満面の笑み、あんたら一体ナニ考えてんだ・・・。同志のサックスVictor Assis Brasilなどスピリチュアル・ジャズサンバ風な印象があるレーベルですが、本盤も他に負けず劣らずの、人知を超えた魅力を存分に味わえる傑作です。(02年に出た3アーティストのコンピレーション盤により、彼らの音を聴くことが出来ます。)

6曲目に配置された"Cupido Esculpido"は深い霧の中を闊歩するソフトサイケ。前半はエキゾチックなメロディの唄もの、その微妙な雰囲気での胡散臭さで曲のベクトルが方向付けられています。以降、メンバー各者、ランダムに発しているかのような伸びのあるコーラス、突飛なスキャットが主体ですが、考えていないようで考え抜かれている?、不協和音も協和音も全てが一瞬に同居した、何とも居心地のキモ良い音楽。後半にかけて無尽蔵に繰り出される声、声、声の応酬には武者震いさえ致します。。。そして特筆すべきは全体を覆い尽くす、フリーキーなフルートによるハーモニーの彩り、此方でより楽曲が感動的なものに仕立て上がっています。

メロディコーラス効果和声純度BPM効果リヴァーブ器楽緩急イントロ長さボーナス(スピリチュアル)
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ハーモニー指数
81


The Golddiggers / Montage
「The Golddiggers」(1969)


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歌謡ショーとポップコーラスの組み合わせでお茶の間を賑わしたとされる、ディーンマーティンショー率いる、The Golddiggers。日本で云う処のステージ101のヤング101といったところか。歌謡ショースタイルのポップグループはキングファミリーやシングアウトなど、柔軟かつポップなハーモニーが聴けるものが多く、ソフトコーラス好きは見逃せません。こちらのゴールディッガーズは女の子12人組と云うことで、乱れ放つコーラスの業は華美で見事な心地。ソフトロック本には1枚目2枚目のディスクを揶揄している箇所が見受けられますが、アッパーなストリングスやソフトなオーケストレーションと漲る大合唱の組み合わせは充分に耳当たりまろやかです。寧ろ、ビートを強調した3枚目「TODAY!」は個人的に趣向ではない。

ジミーウェッブの"MONTAGE"を湿度タップリにカヴァーしたこのヴァージョンが素晴らしい。ラヴジェネレーション版ではもたつくような部分を、爽やかなコーラスと濃密なオーケストラで息吹かせました。あどけないヴォーカルや女声コーラスが無垢な印象でとても好き。溌剌、というよりは3連の箇所などで顕著な優しく包み込むような温かさが全体に滲み出ててよいですね。上昇するストリングスの調べは常に高揚感を満たしてくれます。アルバムはスタンダードやフィルムのカヴァーなどてんこ盛りで、なかなかグッとくるテイクが多いです。(試聴)

メロディコーラス効果和声純度BPM効果リヴァーブ器楽緩急イントロ長さボーナス(12女子の華やかさ)
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ハーモニー指数
81


Edgar e Os Tais / Quem Vem La
「CANTARIDA」(1970)


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"エドガーとたいした奴ら"、鮮やかなコントラストが印象的な高額取引盤。須永辰緒さんがダブルスタンダードと云うディスクガイド本、あと雑誌米国音楽掲載の彼の100ディスクセレクトで紹介されていたと記憶しています。レア度は高いようですが、取り沙汰するほどの曲は数曲で全てマストと云うわけではないので、何万も払って手に入れてもガッカリするかも。

エリスレジーナのVem Balançarという曲ので良く知られる演奏のカヴァー。ボサノヴァの巨匠ワルターサントスの作曲で、軽やかにシンコペイトする風通しの良い楽曲です。エリス盤より幾らかキーが高く、女声の透き通ったリードに洗練された男性コーラスが乗るという、粋な内容。目が回りそうな高速スキャットは機械で測ったように淀みなく爽やかに、歌い手各々の音符処理能力はずば抜けています。難易度の高い転調の箇所もまったくサラリと笑顔でやってのける、プロの業を堪能出来ると思います。

メロディコーラス効果和声純度BPM効果リヴァーブ器楽緩急イントロ長さボーナス(高速音符処理)
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ハーモニー指数
81



【ハーモニー指数 80
Strawberry Alarm Clock - Tomorrow
「Wake up...It's Tomorrow」superb psych usa(1968)


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カルフォルニアのサイケバンド。混沌とした雰囲気のジャケそのまんまのソフトサイケが主ですが、ポップな音造りのハーモニー作品も多く残して居るので見逃せません。ソフトロックとキモ心地よいサイケ感がバランス良く配合された音楽は、この時代ならではの気持ちよさ。こちらは彼らの2枚目のアルバムで、その世界は確立されているように思えます。3枚目が名盤と謳われることが多いですが、コーラスがより繊細に、楽曲も複雑化した分、重厚なハーモニーを味わうにはちと薄味な印象。

ラテンのフレイヴァで軽快に闊歩するヒット曲、"Tomorrow"がなかなかの出来。フレまくるマラカスや手数のやたら多いオルガン、そして極めつけにシャウトで理不尽に途切れるアウトロ(コレはピチカートファイヴのネタですね。)など、将しくどサイケの手法。その中で爽やかなパパパコーラスの強引な引用や、甘い旋律を笑顔で振舞う様は絶妙なバランス感覚を保っています。勢いで出来たようなアレンジで、これはこれで無骨な方が荒削りなハーモニーを楽しむことが出来ると思います。(試聴)

メロディコーラス効果和声純度BPM効果リヴァーブ器楽緩急イントロ長さボーナス(サイケバンドのラテンフレイヴァ)
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ハーモニー指数
80



【ハーモニー指数 79
TERRA TRIO / Esta Santa Casa
「TERRA A VISTA」(1969)


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Tamba Trioスタイルの洗練されたジャズボッサ+コーラスを聴かせるグループ。60年代にはとにかくこのコーラススタイルが雨後の竹の子の如く存在、猫も杓子もタンバトリオ。然し乍らどれもいちいち放っておけない小粋な演奏を聴かせます。中でもテハ・トリオは特に高音の密集和音を得意とする珍らハーモニーで、発表はこちらのアルバム一枚のみとのこと。

陰湿な雰囲気を象徴するようなイントロは、アルバム全体を覆う湿り気をより印象つけます。"Esta Santa Casa"は暗く叙情的なパートから始まり、煌びやかな長調のフレーズを交互に繰り返す、不思議な曲。一瞬で終るパートではありますが、小刻みな高周波のピアノ、アコースティックギターの乱反射とファルセットコーラスが神々しい。3人のソフトなコーラスくちは絹の心地で、これは本当に宝物。曲全体のパンチ力は弱いですが、余りにも散漫な構成には逆に個性的で一聴の価値があります。(試聴

メロディコーラス効果和声純度BPM効果リヴァーブ器楽緩急イントロ長さボーナス(ファルセットの密集和音)
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ハーモニー指数
79


CONJUNTO ARPOADOR E VOZES / Eu Quero Um Samba
「SAMBAS DE TODOS OS TEMPOS」CAMDEN CALB 5193 (1969)


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サンバチームを小規模編成で模したかのような家内製パーティサンバ。いや、本当は当時のリオでの最有力サンバエンヘードだったのかも。あらゆる音色で綴る、血がたぎるアッパーなナンバーやグッと淑やかに囁くバラードまで感情表現豊かな一枚。ベースにあるのは弾けるブラジリアンリズムと最高にグルーヴィなユニゾンコーラスで、この辺のレコードは幾ら探しても掘れば掘るだけザクザク出てくる。(高いけど。)

ジョアンジルベルトで有名な一曲目の"Eu Quero Um Samba(喜びのサンバ)"が白眉です。弾け飛ぶコーラスは上手いとか下手とかどうでもよくなるような、肩の力が抜けた楽しさが。男女のユニゾンコーラスが主ですが、周囲の音響に支えられてか異常な豊かさを感じさせます。ハーモニーはないにせよ、コーラスの楽しさはこういう演奏でも全く充分です。間奏で浸る優雅なおしゃべりなんかは当時のクラブや横丁などでのリラックスしたムードそのものって感じで素敵ですね。是非とも試聴してみて下さい。他にもシコブアルキやノエルホーザなど素晴らしいサンバクラシックスを独自のグルーヴで表現。(試聴)

メロディコーラス効果和声純度BPM効果リヴァーブ器楽緩急イントロ長さボーナス(リラックスムード)
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ハーモニー指数
79


ORQUESTRA & CORO SOM LIVRE / SELVA DE PEDRA
「SELVA DE PEDRA」composed by MARCOS VALLE


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ブラジルの"ノヴェラ"と呼ばれるテレビ映画のサントラです。アーティストの単独作品ではなく、時にはオムニバス形式でそこでしか聴けない音源などもあり、油断は出来ないアイテムです。橋本徹の「SUBURBIA SUITE;FUTURE ANTIQUES」"Soundtrack of my Tear"の項にはマルコスヴァーリの関連作品として、12枚のサントラが紹介されています。アートワークの色遣いひとつとっても最高にヒップで、音を聴けば更に感動の渦となること請け合い。マルコスヴァーリのファンなら全作品、必聴に値する大推薦盤です。また、これ以外にサントラで関連作をご存知の方いらっしゃいましたら、是非とも教えて下さい。

「SELVA DE PEDRA:石の森」と題されたソフトロック最高傑作のひとつ。タイトル曲"SELVA DE PEDRA"はオクターヴユニゾンで疾走する混声コーラスと、重なり織り成す威厳あるストリングスの調べが絶妙です。声によるハーモニーは薄いですが、肉厚な弦がしっかりと不足分を補い、完璧とも思えるメロディ・リズムの要素で楽曲として完成度はかなり高いです。後にご本人がインストでカヴァーしていますが、こちらもかなり格好いいです。

メロディコーラス効果和声純度BPM効果リヴァーブ器楽緩急イントロ長さボーナス(オクターヴコーラス)
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ハーモニー指数
79




工事中


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