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こんにちは♪ ス~ジ~です♪ 

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南の島の音楽

2002年1月23日(水) 南の島の音楽

いまから80年前の大正11年3月、東京の上野公園でひ
らかれた「平和記念大博覧会」に黒人バンドが出演し、日
本ではじめてジャズが演奏されました。そのバンドのサッ
クス奏者は、南の島出身の16歳の少年でした。

100年前、ジャズがニューオリンズでうまれたころ、南
の島はアメリカの植民地になりました。少年たちは、ジャ
ズ・ミュージシャンとして腕をみがき、香港へ上海へ東京
へと海をわたりました。昭和初期、日本のダンスホールで
は、数百人の南の島のジャズ・ミュージシャンがはたらい
ていたそうです。

「スペインもアメリカも、植民地時代には、南の島の人々
に対して、学問はおしえず、音楽ばかりやらせていた。南
の島の人々が楽器をこなすのがうまいのは、悲しい歴史の
結果なのである」と『昭和のバンスキングたち』という本
で斎藤憐さんは解説しています。

「悲しい歴史の結果」ということだけでなく、南の島の人
たちは、ずっと昔から音楽がだいすきだったように私には
おもえます。沖縄の人たちがあつまるとすぐ、うたとおど
りがはじまるように。

16歳のサックス奏者ウィディ・コンデが初来日してから
80年後、私は南の島の空港におりたちました。むっとす
る空気のなか、荷物をひきずって通路をあるいていると、
やってるやってる、南の島のおじさまがたがアコースティ
ック・ギターやウッドベースをかきならしながら、私たち
のためにうたをうたってくれています。おもわず笑顔にな
る私。その後は、タクシーのなかでも、ショッピングセン
ターでも、レストランでも、友人の家でも、音楽、音楽、
音楽。南の島の生活と音楽は、きってもきれない関係に
あるのでした。

友人の家の居間には、ソニーのカラーテレビとパイオニア
のコンポーネントがおいてありました。友人はケーブルテ
レビに加入していて、60チャンネルくらいみることがで
きました。もちろん、南の島のテレビ放送だけでなく、ア
メリカ、インドネシア、インド、中国、韓国など、さまざ
まな国の放送をみることができます。日本語放送は、NH
K衛星第1、第2と、在留邦人むけ現地放送で日本テレビ
系のWINSの3チャンネル。音楽専用放送は、南の島の
シンガーも登場するMTVをはじめ3チャンネル。そのひ
とつはカラオケ専用放送で、視聴者のリクエストにこたえ
る形で、一日中カラオケをながしつづけています。方式は
、日本のカラオケとおなじで、画面下方に歌詞が表示され
、うたう部分の歌詞の色が変わっていきます。背景には、
ちょっとエッチでシュールなイラストが次々とうつしださ
れていきます。

パイオニアのコンポーネントは、現地仕様なのか、サウン
ドにあわせて原色のライトが点滅するイルミネーションつ
き。カセットテープとCDとVCD(VIDEO CDと
もいいます)をたのしめます。私には、VCDとDVDの
ちがいがわかりませんが、南の島では、映像と音楽がたの
しめるディスクをVCDといいます。

私たちがショッピングセンターにでかけるときボディガー
ドをつとめてくれる友人のおじがちかくにすんでいて、毎
朝、自転車でまちのレンタル屋さんへ出かけて、アメリカ
映画のVCDをかりてきてくれます。みていると中国語の
字幕がでて、映像がときどきみだれるので、中国製の海賊
盤だとおもいますが、おじさまは、日本語だとおもって、
かりてきてくれているのかもしれません。

映画のVCDのほかに、カラオケのVCDがたくさんあっ
て、パーティのとき活躍するのは、こちらのほうです。居
間のテレビをかこんで近所の人たちがあつまり、お酒をの
みながら、おしゃべりが一段落すると、カラオケタイム。
マイクをとりあって次々とうたい、居間はカラオケボック
ス状態となり、パーティはよふけまでつづきます。

カラオケのVCDには、2種類あって、ひとつは南の島の
人がつくったうたを南の島の人がうたうOPM
(Original Pilipino Music)というジャンル。現地のこと
ばのうたもあれば、英語のうたもあります。映像は、南の
島のタレントさんが出演して、うたにあわせてラブストー
リーが展開したり、経費節減で南の島の名所の風景がうつ
しだされたりします。

もうひとつは、アメリカを中心とする英語圏のポップスの
カラオケで、こちらの映像に登場するのはきまって白人の
タレントさんで、ロケ地もオーストラリアあたりのようで
す。私はオーストラリアにいったことがないので推測です
が、南の島からオーストラリアまではちかいのです。

私の友人は24歳で、ブリットニー・スピアーズのファン
なのですが、30年前に流行したカーペンターズ、イーグ
ルス、ボズ・スキャッグスなどのうたも、ほとんどうたえ
ます。誰のうたか知らないこともありますから、カラオケ
でおじさまやおばさまがうたっているのをきいておぼえた
のだろうとおもいます。カラオケのVCDには、うたもは
いっているので、うたをききながらおぼえることもできま
すし、カラオケだけにして熱唱することもできます。

南の島の人たちは、感情をこめてうたいあげるラブ・バラ
ードがだいすきです。ラブ・バラードをうたって、どこま
でもあまく、ゆめみるような、やさしくだきしめるような
センチメンタリズムにひたるのです。私もバラード・ソン
グをうたうのがだいすき。だから、中学生レベルの英語し
かしゃべれない私でも、カラオケで、うたをとおして、南
の島の人たちとコミュニケーションすることができました
。2年前、友人が私にプレゼントしてくれた
JESSA ZARAGOZAのカセットテープにはいっていた
DI BA'T IKAWというきれいなメロディのうた。
くりかえしきいて、うたえるようになり、南の島をはじめ
てたずねたときに、みんなの前でうたったら、拍手喝さい
、一気にうちとけることができました。私はいま、南の島
へいくたびにCDを買いこんで、うつくしいうたをさがし
ています。


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