【すずき・たたむ】の一日一then

2004/02/09(月)22:57

【日刊?日韓W杯10】「ヒデ引退」報道2

 サッカー日本代表、中田英寿選手が知人に「最後のW杯」について語ったと朝日新聞(2002年6月5日付け朝刊)が報じた件で、6月13日発売の週刊文春と週刊新潮が、続報を載せている。13日付け朝刊各紙に広告が載っていたため、早速購入して読んでみた。文春と新潮の書いた内容が正しいという前提で言うと、「【日刊?日韓W杯6】「ヒデ引退」報道」(http://hotwinter.rivals.ne.jp/default.asp?sid=210&p=2&stid=8088831 )で書いた「朝日は信念を持ってこの記事を書いた」という点を改めて強く感じた。他のメディアは、この問題をきちんと検証すべきだ。 両誌を比較すると、週刊文春の方がはるかによく情報を集めており、読み物としても数段面白い。 週刊文春には、中田英選手の所属事務所社長が、記事を書いた朝日新聞の忠鉢信一記者の携帯電話に連絡した様子や、スポーツ紙記者の話として、忠鉢記者本人がW杯公式ガイドブックで中田英選手をインタビューしたこと、さらに忠鉢記者は中学高校時代に日本ユースに選抜されたサッカー選手だったことなどが書いてある。 こういった背景を踏まえれば、6月5日付け朝刊で朝日が報じた「日本代表でプレーするのはこのW杯が最後だと、中田英寿(25)が周囲に伝えた。決意は固い」という書き出しの記事は、単なる「一サッカー担当記者」が十分な取材がないまま書いた「飛ばし」記事ではないと考えた方が自然だろう。 すなわち、実際に中田英選手がそういった「決意」を持っているかどうかは別として、忠鉢記者も、その原稿を載せた朝日新聞も、「絶対に間違いない」という自信を持って記事を掲載しており、いくら批判されようが、筋は曲げないのだろうと想像できる。 ということは、逆に言えば、ファンや読者の立場からは、朝日に対して、疑問点をどんどん指摘していいことになる。さらに、他の新聞が朝日の名前を伏せたまま中田英選手の否定会見を掲載したのは、やはり不十分だったと言える。なぜならば、マスメディアは、選手に直接会えないファンや読者の代わりとなって、疑問点を聞く立場でもあるからだ。 一方の週刊新潮は、簡単な取材で申し訳程度で書いたという印象を受けた。 中田英選手の所属事務所と、朝日OBのジャーナリストには取材しているが、週刊文春には書いてある忠鉢記者本人をめぐる部分が、全くない。このため、記事としての厚みが格段に違ってしまった。 両誌に対して、朝日は「真実性には自信を持っています」と答えている。しかし、現時点で、朝日の記事の信憑性が現段階で証明されたわけではない。他の新聞が真実の追究と、朝日の追及をやめてしまっている現段階では、両誌を含めた雑誌や電波メディアなどが、しっかりと責任を果たしてほしい。(rivals japan 2002年6月13日掲載)

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