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2009/05/31(日)21:32

拳闘暗黒伝セスタス

漫画(11)

拳闘暗黒伝セスタス 技来静也 ヤングアニマル連載(現在休載中)  古代ローマを舞台に、奴隷拳闘士セスタスが自らの運命を切り拓いて行く姿を描く漫画です。主人公は小柄で細い少年。100kgの巨漢と50kgの少年が闘うこともある階級制の存在しない古代拳闘では圧倒的に不利ですが、師匠ザファルの唱える新しい拳闘、体格を活かした殴り合いではなく、理詰めの技術による芸術的戦法で苦難を乗り越えて行きます。  本作はセスタスのみならず、セスタスの運命的なライバル総合格闘士ルスカの成長をも描いています。ルスカは自由民ではありますが、過酷な運命に投げ出されている点ではセスタスと同じです。  本作はこの二人を中心に、皇帝ネロ、ルスカの父デミトリアス、セスタスの師匠ザファル、その他多くのキャラクターが物語を紡いで行きます。重層的で奥の深い魅力的な物語です。また舞台である古代ローマの生活様式が活き活きと描かれていて、単なる格闘漫画の範疇には収まりません。  ただ惜しむらくは物語の進展が非常に遅い!! アシスタントを使っていないらしく、雑誌でも集中連載方式です。単行本は第1巻発売が1998年5月、第15巻発売が2009年5月、11年15巻かけて第一部完結です。魅力的な世界をいつまでも続けて描いて欲しい反面、著者も読者も死なないうちにきちんと完結して欲しい気もします(笑)。  さて本巻では衛帝隊のルスカが不死隊ハンムラビと対戦する話の続きが描かれています。ローマは宿敵パルティアとの戦争を前に、ローマの衛帝隊とパルティアの不死隊が対抗戦を行います。これはアルメニアの親パルティア派がローマ皇帝ネロに恥をかかせようと仕組んだ対抗戦で、ローマとしては全勝で迎え撃たねばなりません。しかしルスカは陰謀に巻き込まれ、しびれ薬で体の自由が効かない中で闘いを強いられることに。結果はコミックスで(笑)。  また、本巻後半ではネロとその母アグリッピーナの確執が描かれています。ネロは後世暴君として扱われますが、それが真実かどうかはともかく、この二人の確執によって二人の主人公セスタスとルスカの運命が大きく影響されることは確実です。どう影響されるのか、10年後くらいにわかるんでしょうけど(苦笑)。 拳闘暗黒伝セスタス(15)  買い物のページを見ればわかりますが、1~8巻を大人買いしました(笑)。この後の巻は既に所有。

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